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2020.11.9

ジャルジャル・福徳秀介さんインタビュー|小説家デビュー作に込めたほろ苦さとせつなさ

『キング・オブ・コント2020』で優勝し、YouTube「ジャルジャルタワー」も大人気のジャルジャル・福徳秀介さんが、待望の小説家デビュー! 自らを重ねて書いたという『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』は、共感と涙があふれる「私小説」的な恋愛小説。そこに込められた思いとは―。全3回にわたってインタビューをお届けします。

自分を重ねて、喫茶店で泣きながら書いていました

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―今回が初めての小説となります。小説を書こうと思われたきっかけは?

実は2年くらい、こっそりと書いていたんです。僕が初めて小説を読んだのが中学生のときで、内村光良さんの恋愛小説でした。それがめちゃくちゃ面白くて、その後も恋愛小説ばかり読んでいました。恋愛ものって、いちばん心が動かされるんですよね、やっぱり、人生の大きなテーマのひとつでもありますし。内村さんの本みたいに、僕も誰かの心に残る1冊が書けたらと思って書き始めたのですが、完成するまでに3年半かかりました…。

 

―恋愛小説のはずが、途中から生と死という新たなテーマが加わったりと、方向性が変わっていったそうですね。

12万字くらい書いたところで担当編集の方に見てもらったら、「ここは削りませんか」というご提案が半分くらいあって(笑)。さすがのアドバイスでしたが、あとの6万字、何を書けばいいのか途方に暮れました。ちなみに僕、人の意見を聞かないと思われがちですが、アドバイスはめちゃくちゃ聞くタイプです!

その後、気合いを入れて書き始めたら、思いのほかすっと書けたんです。書き始めたら止まらなくなった、というほうが近いかもしれません。高校のとき、親父が事故で亡くなったこと、大学時代、どこにも居場所がなかったこと。そんな自分を思い出すと涙が止まらず、書く手も止まらない状態で。喫茶店で涙を隠しながら書いていました。

ひとりでいる自分を正当化するため、下駄を履いた

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―主人公の“僕”=大学生の小西は、友達はたったひとりで、キャンパスにも居場所がありません。モデルは福徳さんご自身だそうですね。

そうなんです。僕は大学時代、友達もいなくて、学生生活を謳歌しているキラキラしている人たちをイラつきながら眺めていました。

小西は、「あいつ、いつもひとりでいる」という周りの視線を遮るため、常に日傘を差していますが、これも僕自身の経験から。僕は下駄を履いていたんです。Tシャツ、デニムに下駄という、昔のフォークソング歌手みたいな格好をわざとして、変なやつぶって、「だからひとりなんや」と周りに思われたかったんですよね。ただ、下駄は正直、歩きにくかった! 阪急電車で車両移動するときとか、足音が響いて恥ずかしかったですね(笑)。

 

―自分から、仲間の輪に入ろうとしたことは?

うまいことできなかったんですよね。本当はみんなと一緒にいたいのに、素直になれなかった。だから、「集団でいるやつらはダサい」「友達おらんほうがカッコいい」と考えて、ひとりでいる自分を正当化していました。20代はそんな感じでとんがっていましたね~。今振り返ると小っ恥ずかしいですが、当時はとんがることで自分を守っていました。僕にとっては必要な時期だったのだろうなと思います。

 

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『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』
福徳秀介

大学2年生の僕は、キャンパスでは日傘を差して人目を避けるような、さえない日々を送っている。ある女子学生の凜とした姿に惹かれた僕は、必死の思いで初デートに成功するが…。暗闇から抜け出させてくれるような珠玉の言葉が響く恋愛小説。¥1,500/小学館

予約・購入はこちら>>https://www.shogakukan.co.jp/books/09386575

Profile.
ふくとく・しゅうすけ/1983年兵庫県生まれ。関西大学在学中の2003年に後藤淳平とお笑いコンビ「ジャルジャル」を結成。独特のシュールな世界観とセンスで人気を博し、毎日コントを配信しているYouTube「ジャルジャルタワー」も評判。「キングオブコント2020」で優勝。

 

構成/松田亜子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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