與真司郎さんカミングアウトから1年、本当にハッピーになれたのか。與真司郎が“今、思うこと”
「今やっと皆さんにこのことを打ち明ける決意ができました。それは僕がゲイであるということです」――2023年7月26日にカミングアウトした與真司郎さん。“自分らしさ”を追い求めてあれから1年が経つ今、與さんの“今”に迫ります。
カミングアウトをして1年が過ぎました。今の心境は?
「『カミングアウトしてハッピーになったでしょ?』とよく言われるのですが、実はカミングアウト後の半年間が精神的にはすごい辛くて…。公表しない方がよかったんじゃないかなとか、どう見られているのかとかも気になるし、だからといってモデルがいないから理想の道がなんなのかもわからなくて。友人や家族、スタッフさんはとても力になってくれたけれど、孤独感もあったりで、とにかく精神的にはしんどかったです。
『自分らしくいこう!』という切り替えができたのが半年後。そこから今度は頑張りすぎちゃいました(笑)。あれもこれもやろうとしたら、今度は帯状疱疹になって肌も荒れたり、疲れも気になるようになって…。
そこでようやく『自分らしく生きるには、まず自分に優しくしよう』という気持ちが芽生えました。」與さん(以下同)
「そこからは、すごい人生が変わった気がします。今は、自分のペースで自分のやりたいことをやっているし、やったことは自分にいい意味で返ってくるのでやりがいもあるし、今は本当に絶好調です。今までとは違った満足感もありますね!」
カミングアウト半年後にようやく「自分に優しくしよう」と思えた、きっかけはあったんでしょうか?
「ずっとLAにいたし全然帰っていなかったので、たまには実家に帰ってみようと帰省したことですね。そこで家族の“愛”を感じて。肌が荒れていても、髪の毛がボサボサでも、パジャマでも、何もジャッジをされないというか。それに安心を得て、今さらだけれど帰ってくる場所があったんだって初めて気付けたんです。15歳で家を出て、26歳でLAに行っていたので、家族のありがたみをちゃんとわかったのがこのタイミングで。
完璧じゃない自分を受け入れてもらうことができると思うようになってからは、今まで嘘をついていたわけじゃないけれど、『完璧じゃない自分ももっとみんなに知ってほしい』と思うようになりましたね。」
カミングアウトから1年が過ぎましたが、ファンの人や周りの人たちからはどんな言葉をかけられますか?
「傷ついたのはやっぱりカミングアウトの時ですね。誹謗中傷は覚悟をしていたのでショックは少なかったですが、一番悲しかったのはファンから『真ちゃんのことを今まで好きだったけれど、ゲイということが受け入れられないからファンをやめます』と言われたとき。ファンの気持ちもわかるから申し訳ない気持ちもあるんだけれど、悪いこともしてはいないので…なんて言ってよいのか、複雑な気持ちになりました。
でも、それ以上に嬉しいこともあって!『カミングアウトしたらファンも減っちゃうだろうし、ライブもできないかもしれない』と思っていたのですが、カミングアウトの後に「歌を作りました」と言ったら会場に拍手が沸いてきて。あの時の涙はまさに“心の底から”ですね。不安と辛い思いが一気に晴れたのと、今自分がいる場所の有難みとで、とにかく胸がいっぱいになりました。」
ちなみに、カミングアウトを決意しようとしたきっかけはありましたか?
「やはりアメリカでの生活は大きかったと思います。日本でゲイであることがバレたら居場所がなくなりそうと思っていたので、アメリカに基盤を作っていたんですけれど…、アメリカのカルチャーやそこでの友人と触れ合う中で、「あれ?そもそもゲイって悪いことじゃないじゃん!」って気が付いたんですよね。
その時『これだけ自分はアメリカで学んだことがあって、これだけ変われたんだから、何か世界に勇気を与えたい』と思うようになったのがきっかけですね。
カミングアウトする2、3年くらい前に公表を決めたんですけれど、当時は事務所にも所属していたし、家族にも言わなきゃいけなかったり、色々なプロセスを踏まなきゃいけなくてそれなりに大変でした(笑)時間はかかったけれど、いいタイミングで言えたと思っています。」
日本はやっぱり生きづらいですか?
「僕はアメリカに住んだことによって、日本の良さにも気付きましたね。
日本人は色々気にする性格だってよく言われるけれど、要は、自分が考えすぎていただけだった(笑)!今まではプライベートでもかっこいいところを見せなきゃと常に気を張っていたのですが、今は着飾らずに楽に生きれています(笑)」
與さん自身の心境の変化は楽曲にもつながっていますか?
「それはすごくありますね!以前の曲は空想の人を演じるような感じだったので、自分の体験談を入れた歌を出せるっていうのはめちゃくちゃうれしくて。もちろんラブソングも制作していますし。今は心の底からパフォーマンスもできるし、1曲1曲への思い入れも違いますね。」
以前より與さんといえば、“ポジティブな姿”が印象的でしたが、より“ポジティブ”になりましたか?
「もちろん、“ポジティブ”は変わりません!でも、今までは無理矢理“ポジティブ”になろうとしていたんですよね。メンタルヘルスの勉強に力を入れていたのは、多分“ネガティブ”にいっちゃわないように。今は『人生を楽しむべきだったんだ!こうあるべきだったんだ!』と、“真のポジティブ”を身に着けたと思います。
でも“よりポジティブ”じゃなくて、“より自由”になったって言った方が正しいかも(笑)。」
もし今、何か秘密を抱えて言いたいけれど言えないという人がいたら、どんな言葉をかけますか?
「話す相手のことを「この人大丈夫かな?」って思いながら無理に言うのは違うと思うんです。
だからまずは、一人でもいいから信頼できる人を見つける旅に出てほしい!一人で抱え込むと本当に辛くなってくるし、それが長ければ長いほどどんどん辛くなっちゃう…。やっぱり心の底から自分のことを理解してくれる友人、家族、同僚、この人だったら感覚が合うな、何を言っても安心できるっていう人を見つけることが一番だと思います。
その点では僕は恵まれていて、本当に助かりましたね。」
今後はどのような生き方、活動をしていきたいですか?
「今目標がありすぎて…どうしよう(笑)。
仕事は無理せず頑張りたい!この春やったツアーで、いい音楽を作ってもっとパフォーマンスもしたいっていう思いも改めて実感しました。実はそのツアー中に「フルバンドでライブもやってみたい!」ってひらめいて、それも今準備中です。。今は個人事務所で活動しているので、全部自分でやらなきゃいけないけれど、やりがいはありますよ!
プライベートでは世界を巡ってみたくて。今までは、LA=ハッピープレイスだったけれど、9年住んでいるとイヤだったり大変だったこともあったし、何かモヤモヤもしてきて…。それに気づいた時点で『LAの家、全部引き払います!』ってなって(笑)。
ということで、今年の夏からは、世界を周ることになりました。」
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次回與さんにお会いできるのは海外の旅の後――どんな“與真司郎”が見られるのか、今から楽しみです!
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撮影/古水 良(cheekone) ヘアメイク/佐藤真希、スタイリスト/SUGI
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