「美人の世界遺産」ファン・ビンビンの美貌に物申す!【齋藤薫「大人美のマナーとルール」vol.17】
「失踪?」と言うニュースまでが世界中を駆け巡ったファン・ビンビンが5年ぶりに公の場所に姿を現した。巨額の脱税疑惑、芸能界追放の憂き目にあったにもかかわらず、変わらぬ美貌と女王ぶりに、誰もが目を見張ったが……。【齋藤薫「大人美のマナーとルール」vol.17】
何事もなかったような堂々たる登場に誰もが2度驚いた
左:脱税発覚前、2018年頃のファン・ビンビン 右:2023年3月、アカデミー賞アフターパーティにて
巨額の脱税で2018年、追徴課税や罰金までを合わせて、なんと約146億円の支払いを命じられた超絶美女、ファン・ビンビン。そればかりか中国芸能界から追放され、一時は消息不明となり、「失踪」のニュースが世界を駆け巡ったのに、そんな致命的ダメージをものともせず、先ごろ表舞台に帰ってきた。 2023年アカデミー賞受賞式のレッドカーペットに姿を現し、その圧倒的美貌にカメラマンが殺到、最大級の注目を浴びて、女王健在を見せつけたというのだ。既に新作映画を1本取っており、今年ベルリン映画祭にも登場している。
ともかく何事もなかったような堂々たる登場に、世界中が目を見張ったはずだが、何よりも、約5年ぶりの復帰でもう40代に入っているのに、わずかの劣化も見られない、冷凍保存されていたかのような美しさはまさに奇跡的。今年は胸の谷間が見えすぎるドレスが一大トレンドとなっているが、その辺もしっかり押さえ、豊満な美胸も垣間見せてくれる。正直、完璧すぎて、放心状態になるか、もう笑ってしまうかしかない感じ。
もはやここまで完全無欠な美しさを見せられると、ルッキズム云々の議論を超え、この人はもう「美人の世界遺産」ということで良いのではないか、と思えてくる。
何もこんなに美しくなくてもいいのに?
それにしても不思議なのは、この5年間一体どんな暮らしをしていたか知らないが、嘘か誠か146億円もの支払いを強いられ、不当な追放にあって、自業自得とは言え、散々な目にあったのに、なぜこんな平然ととてつもない美しさが保てるのか。素晴らしいと感動もできるけど、むしろ不思議すぎて怖いくらい。全く人間味を感じないという声もある。
いや、これで少しでも衰えが見えたら、さすがにあんな目にあったらねえ、などと、世間は同情とも冷笑ともつかない反応を見せるのだろうけれど、こんなに何のダメージも受けていないとなると、逆にツッコミたくなるのが世の中と言うもの。
正直私はこう思った。何もここまで美しくなくてもいいのに……。妙な言い方だけど、人間生きていればいろいろある。実際この人には誰も想像ができないとんでもないことがあったはず。幽閉されていたのかと思うほどの不在において、実際仕事はなく、5年間干されていた状態にあったわけで、だから何もこんなにキレイじゃなくても、この半分の美しさでもやっぱりファン・ビンビンは美しい! と拍手を浴びたに違いないのだ。
うがった見方をすれば、これが13億人の目がある中国という国で“トップ女優をはる人”の、常軌をしたモンスターパワーということなのかもしれないけれど。
ただ、こんなに美しいと、“人間いろいろあっても美しいこと”の尊さが見えなくなる気がしたのだ。逆にそこまで求めてしまうって、欲張りだろうか。
一方、シャネルの顔となった小松菜奈の美しさに感じたこと
先ごろ、パリコレでシャネルの秋冬コレクションのヒロインに小松菜奈が起用されて大きな話題となっている。その招待状にも、コレクション会場の大きなスクリーンにも、またステージ中央の巨大なカメリアのオブジェにも、小松さんの顔が大きく映し出されたというのだ。
日本人としてはもちろん初の快挙だが、単にアジアン・ビューティーがもてはやされている、からだけでなく、ズバリ顔が思いっきりモードだからなのだろう。単なる美を超えた、ずば抜けた洗練を宿したモード顔。それは芸術的と言ってもいいレベルだからこその起用になったはずなのだ。
ファン・ビンビンには正直もう憧れてもどうにもならないくらいの距離感がある気がするけれど、この“シャネルの顔”には、目指すべき何かがある。今を紛れもなく生きている力強さがある。喜怒哀楽、表情のひとつひとつがファッションのようにカッコいい。改めて小松菜奈の顔はなんと魅惑的なのだろうと思った。
美しさの意義は、今そんな風に変わりつつあるのかもしれない。ひたすら、ただひたすら美しい“圧倒的な美女”よりも、ライブで、リアルで、モードな美しさを求める時代へと。
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。