伊藤沙莉さん「『なんだこいつ!』と思われないように頑張りたい」|舞台『世界は笑う』スペシャルインタビュー
どんな役でもスッとハマる伊藤沙莉さん。演技巧者の伊藤さんにお話しを伺いました。
舞台出演は“ご褒美”。うれしくて緊張ずくめな毎日です
自分という色と音を消して周囲に溶け込んでから、チャーミングな笑顔と声で役を、空間を彩る――。そんな印象をもった。デリヘル嬢、こじらせOLに新人刑事…と、どんな役でもスッとハマる(ように見せる)演技巧者の伊藤さんにとって、今回、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)氏の舞台への出演は執念にも近い“夢”だった。
「ちょっとしたブラックさやユーモアが気になって作品を観たり、直接お話をする機会もある中で、KERA作品に出ることが目標になっていました。でも、オーディションを受けた作品には落ちたり、オファーをいただいた作品はコロナで中止に。『いつか絶対に参加する!』と執着していたら、3度目の正直でうれしかったですね。『なんだこいつ!』と思われないように頑張りたいです」
満を持して臨む舞台『世界は笑う』は、高度経済成長前夜の喜劇人たちを描く群像劇。伊藤さん自身、三の線も多く演じ、お笑い芸人を兄にもつが、芝居で笑いを届ける難しさも感じている。
「コメディ作品を演じていると、喜劇俳優と芸人の違いをよく考えるんです。コントをやっている芸人の方々のお芝居はとても素敵ですし。でも、闘う場所の違いだけで、表現するという意味では大きく違わないのかもしれませんね。稽古する前から、緊張とワクワクが止まりません。舞台は私にとってご褒美。稽古期間を通して、役や台詞を共演者の方々と迷いがない状態まで作り込んでいけるのは舞台ならではだなと思います。しかも生で観ていただけて、観客の方からいただく感想も毎日違う。芝居に思う存分浸れる幸福な場所です。それに、映像のお仕事とは違い、舞台稽古や公演が始まると生活リズムが整うんですよ。ルーティンができることがうれしくて、いきなり筋トレやストレッチを始めています」
ときに豪快に、ときに子供っぽく笑ったかと思えば、急に色っぽい表情を見せる。
「よく笑う人はキレイだなと思っていて、自分もそうなれるように笑いを忘れずにいたいなと思っています。なので、美を追求する『美的』読者の皆さん、ぜひ観に来て、笑ってください(笑)」
It’s my it!
ヒーリング音楽で熟睡
睡眠は大事! 波の音を流していたら14時間寝てしまい、戦慄したことが(笑)。いいあんばいの睡眠BGMを探し中です。
ゲームで苦手な選択を克服
ゲーム『Detroit: Become Human』で選択の特訓をし、人生の教訓を得たことで、お弁当のお肉かお魚もぱっと選べるようになりました(笑)。
【STAGE】『世界は笑う』
昭和30年代初頭の新宿。喜劇人たちと周囲の人々の哀しくておかしい群像劇。
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演:瀬戸康史、千葉雄大、勝地 涼、伊藤沙莉ほか
8月7〜28日 Bunkamuraシアターコクーン(東京) 京都でも公演
Profile
いとう・さいり/1994年千葉県生まれ。俳優。今夏も、映画『映画ざんねんないきもの事典』(公開中)、日本語吹替版『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』(7月29日公開)、ドラマ『拾われた男』(Disney+で配信、NHK BSプレミアムで放送中)、主演ドラマ『ももさんと7人のパパゲーノ』(NHK、8月20日放送)など、出演作がめじろ押し。
『美的』2022年9月号掲載
撮影/杉江拓哉(TRON) ヘア&メイク/AIKO スタイリスト/吉田あかね 取材・文/辻本幸路 構成/松田亜子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。