大高博幸さんの 肌・心 塾
2013.10.17

大高博幸の美的.com通信(183) 『ブロークン シティ』『セイフ ヘイヴン』『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』 試写室便り Vol.53

©2012 Georgia Film Fund Seven LLC and Monarchy Enterprises S.a.r.l.
©2012 Georgia Film Fund Seven LLC and Monarchy Enterprises S.a.r.l.

<ブロークン・シティ> ニューヨークの凶暴な素顔を暴きだす、ノンストップ クライム サスペンス!
ブロークン シティ』 (アメリカ映画、109分)
10.19 ロードショー。 brokencity.jp

【STORY】  7年前に警察官を辞職したビリー・タガ―ト(マーク・ウォルバーグ)は 私立探偵を開業し、危険だが金にならない仕事に追われていた。ニューヨークの街が8日後の市長選に沸くなか、ビリーは現市長のホステラ―(ラッセル・クロウ)に呼び出され、妻キャサリン(キャサリン・ゼダ=ジョーンズ)の浮気調査を依頼される。ビリーと市長は、ビリーの辞職の原因となった、ある殺人事件の秘密を共有していた。
浮気相手を探り出し、愕然とするビリー。それは対立候補ヴァリアント(バリー・ペッパー)の右腕、アンドリュース(カイル・チャンドラー)だった。調査を終えた数日後、アンドリュースが路上で何者かに射殺される。ホステラ―の陰謀に利用されたことに気付き、正義だけを武器に立ち上がるビリー。果たして勝ち目ゼロの復讐の行方は――? (プレスブックより)

ふたりの演技派:M・ウォルバーグとR・クロウが善と悪に分かれて激突し、その勝負の鍵を握る女性にC・Z=ジョーンズが扮するという強力なキャスティング。40億ドルの裏金の行方に予測不可能な裏切りが交錯し、ひねりの効いたエンディングには納得の罠が仕掛けられているというドラマティックな展開。テニスのスマッシュ音が銃声に聞こえてしまう…、そんな緊張感さえ楽しめる109分です。
血生臭い程の描写はありませんが、どちらかと言うと男性受けするサスペンス・エンターテインメント。But、女性観客もM・ウォルバーグの男性的魅力(うまく行かない“若い娘との恋”の要素を含んでいる)に加え、大人の女の魅力を たたえたC・Z=ジョーンズのクールな演技と美しさには 目が釘付けになるはず。彼女は白いコート姿が特に決まっていて、ブラウンのシャドウ&ブラッシャー×ブラウニッシュレッドの口紅は、やはりタイムレスな洗練のハーモニー。
もうひとり、B・ペッパー(『ローン・レンジャー』でジョニー・デップと共演)の病的な痛々しい素顔のシーンと、公開TV討論の場での晴れ晴れとした公的な顔とのコントラストが、とても印象的で良かったです。

P.S. 高級レストランのテーブルの場面で、化粧直しをしている男性客の姿が 一瞬画面の奥のほうに映し出されていたと思うのですが、実際は どうだったのでしょうか? もう2秒程でも尺があれば、しっかりと確認できたはずですが(笑)。But、それは単なるN.Y.のアトモスフィア―。ホンの一瞬だけ画面に入れるというのが、監督:アレン・ヒューズのうまさであり、スマートさなんですよね。

 

セイフヘイヴンきみの秘密を知ったとき、二人の今日がはじまる…。
セイフ ヘイヴン』 (アメリカ映画、116分)
10.26 ロードショー。 safehaven-movie.net

【STORY】  ある雨の夜、執拗な追跡から逃れるようにアトランタ行きの長距離バスに乗り込んだケイティ(ジュリアン・ハフ)。休憩のために立ち寄った港町サウスポートの素朴な情景に惹かれた彼女は、ここに残ろうと決意。ウェイトレスの仕事に就き、森の中のキャビンを借り、新生活をスタートさせた。そんなケイティに助けの手を さしのべるシングル・ファザーのアレックス(ジョシュ・デュアメル)。2年前に愛妻を亡くした彼は、いまだに悲しみの癒えない日々を送っていた。アレックスとケイティは何かに導かれるように互いに求めあい、愛し合う関係になる。アレックスの腕に包まれながら、ケイティは ようやく安心できる場所(セイフ ヘイヴン)を みつけたと感じた。しかし、その幸せも束の間、都会に捨ててきたはずのケイティの過去が、アレックスに知られる日がやってくる。(宣伝用資料より、一部省略)

『きみに読む物語』や『一枚のめぐり逢い』のニコラス・スパークスの原作を、『ギルバート・グレイヴ』、『HACHI 約束の犬』、『砂漠でサーモン・フィッシング』の監督:ラッセ・ハルストレムが映画化した作品で、ラブストーリー・ファンの女性観客に好まれるように作られています。本作ではロマンスの背景にミステリーの要素があり、さらに守護天使の存在が隠されているという充実振り。結末に向けての展開がドラマティックで、ドキドキさせられるクライマックスの後に 驚きのエンディングが待っています。
「人生、いくらでも やり直しは きくわよ」。コレは、ケイティの近くに住んでいるジョー(コビ―・スマルダーズ)というフレンドリーな女性が、さり気なくケイティに言う台詞。絶望的になっている誰かを勇気づける時のために、憶えておくといいかも…。

 

(c) 2012 BG PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
(c) 2012 BG PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

夢のお城、ファッションアイコンの殿堂…。
ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』 (アメリカ映画、94分)
10.26 ロードショー。 www.bergdorf.jp

N.Y.5番街にある<バーグドルフ・グッドマン>。それは夢と憧れの殿堂、まるで宝石箱のようなデパート。“世界一の百貨店”、“存在自体がモダンアート”、“ファッション業界のアイコン”と形容される創業112年の老舗が、革新を続けながら如何にして今日まで世界のトップの座に君臨してきたか…。コレは数々の有名デザイナーやパーソナリティ等のインタビューを交え、<バーグドルフ・グッドマン>を語り尽くす 煌くばかりのドキュメンタリー映画。

この店が どのような歴史を刻んできたか、どれだけの著名人に愛され支持されてきたかについては、ここでは省略しますが、他店とは完全に一線を画す<バーグドルフ>ならではの要素が密度濃く示されていて、上映時間94分が短かく感じられる程でした。
中でも僕が一番興味深く観たのは、デヴィッド・ホ―イと彼の部下達による 幻想と魔法のウィンドウ・ディスプレイの製作過程。「ロングアイランドの方角のどこかにある」という倉庫には 大道具・小道具が大量に保管されており、それらに加えるべき新しい何かを探し出したり作り上げたりする様子が、ほとんど隠し事ナシで映し出されています。他の誰かが真似しようとしても絶対不可能な想像力と感性と情熱が、そこには存在しているのでした。
コレと共通するのが、<バーグドルフ>に迎え入れられたアジア系(?)の女性デザイナーの言葉です。「誰でも他のデザイナーの影響を必ず受けています。でも オリジナリティが非常に大切で、唯一無二の個性こそが最も重要なんです。」
売り上げNo.1のパーソナル・ショッパー:ベティ・ホールブライシュが、お客様から「おいくら?」と聞かれ、まず「お高いですよ」と話を進める魔法使いのようなテクニックも印象的でしたが、「本をカバーで判断するな(お客様を見てくれで差別するな)」が口癖だったという創業者の逸話(今で言うところのホームレスと見受けられる女性が、超高価な毛皮をキャッシュで購入したという想い出話)に、僕は強烈に感動しました。
その他、インタビューシーンに登場した懐かしい女優:キャンディス・バーゲン(肉づきのよい姿になってはいましたが、相変わらず若々しく美しい!)と、92歳のファッション・アイコン:アイリス・アプフェル (デザイナー) が、とてもとてもステキでした。
そして、最後の最後に“オマケ”のように映し出されるのが、’60年代中端に撮影されたモノクロの映像…、人気が爆発した当時のバーブラ・ストライサンドが、深夜の<バーグドルフ>に忍び込んで来て、十八番の『セコハン・ローズ』を歌い踊りながら、香水売場やアクセサリー売場を 勝手に いじりまくるという、ファニー・ブライスも顔負けの 実にコミカルな映像! コレは もう、大大サービスでした。

 

ビューティ エキスパート
大高 博幸1948年生まれ、美容業界歴46年。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸の美的.com通信 https://www.biteki.com/article_category/ohtaka/

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