健康・ボディケア・リフレッシュニュース
2015.2.11

大高博幸の美的.com通信(273) クロード・ランズマン監督による、全人類が共有すべき世紀の映像遺産! 試写室便り Vol.86

ランズマン監督
「SHOAH ショア 」© Les Films Aleph
「ソビブル、1943年10月14日 午後4時」© Les Films Aleph, Why Not Productions
「不正義の果て」、ランズマン監督写真© 2013 SYNECDOCHE – LE PACTE – DOR FILM – FRANCE 3 CINÉMA – LES FILMS ALEPH

今回は、アウシュヴィッツ強制収容所解放から70年に寄せて公開される、ホロコースト(ナチスによるユダヤ人大虐殺)の“記憶”を“記録”した、クロード・ランズマン監督(写真下)による傑作ドキュメンタリー3作を紹介します。
この試写室便りでは、ホロコーストに関する劇映画を何度か採り上げてきました。美容好きな皆さんのための『美的.com』には不向きな内容だ とは考えつゝも、編集部から承認が得られたコトを幸いに書き続けてきたのですが、意外にも読んでくださる方と、その後で観に行ったという方が少なくなく、無理を押して良かったと思っています。

ここに紹介する3作に“アーカイヴ映像”は含まれていません(たゞし唯一の例外として『不正義の果て』には、ナチスが プロパガンダ・フィルムとして製作した、“世を欺くため”の数分間の映像が含まれています)。3作とも全て、当時の実情を“記憶”している人々による証言を“記録”するという方法で成り立っているのです。しかし、それらが 劇映画では再現不可能と想わせるだけのパワーを有していて、全ての観客が それを実感するコトは間違いありません。さらに、ヒトラーによるユダヤ人絶滅計画が どのように仕組まれていたかを含めて、ホロコーストの全体像を今まで以上に深く知るコトができるはずです。
少なくとも、このページを こゝまで読み進めてくださった皆さんは、ぜひとも観てください。今回は、僕自身の説明や感想は 省略させていたゞくコトにしました。書き始めると終らなくなるというのが その一番の理由ですが、観た方々と話をする機会を持てたらとは思っています。

SHOAH ショア 第1部 第2部 第3部 第4部』 (フランス/トータル567分/1985年度作品。世界各国の映画祭で20以上の賞を受賞したドキュメンタリー映画の金字塔。)
第二次世界大戦中、ドイツやナチスの占領下で実行されたユダヤ人の強制収容、ホロコースト(大量虐殺)の全体像を 関係者の証言のみで構成した全篇9時間27分のドキュメンタリー。監督 ランズマンが ナチスの収容所から生還したユダヤ人、収容所の元ナチス親衛隊員、収容所の近くに住むポーランド人農夫ら 莫大な数の証言者を訪ね、彼らの言葉(肉声)を収録。予備調査14ヵ国、350時間に及ぶ撮影。過去の記録映像や感傷的な音楽を一切排除して作られた第1級の芸術作品である。(プレス資料より。「ショア」とは、ヘブライ語で“絶滅”を意味する。)

ソビブル、1943年10月14日 午後4時』 (フランス/98分/2001年度、カンヌ国際映画祭正式招待作品、ウィーン国際映画祭 Reader Jury of the “Standard”賞受賞作品。)
映画『ショア』の後半で明らかにされた 収容所でのユダヤ人による武装蜂起の計画と挫折。ガス室での殺害を中止に追い込んだソビブル収容所。脱走者400名近くのなかで、たった100人の生存者しかいなかった過酷な逃亡劇。16歳で ワルシャワ・ゲットーから収容所に連行された イェフダ・レルネルの証言をもとに “ユダヤ人は 羊のように おとなしく殺されていったのではない”という事実を明らかにしていくランズマン幻の傑作。(プレス資料より)

不正義の果て』 (フランス=オーストリア/218分/2013年度、カンヌ国際映画祭公式選出作品。)
ランズマン監督の最新作。アドルフ・アイヒマンが大戦中、世界を欺く為に選んだ“模範収容所”テレージエンシュタットの真実を 同収容所の生還者で ユダヤ人長老 ベンヤミン・ムルメルシュタインの証言で明らかにした本作。撮影監督 ウィリアム・リュプチャンスキー、キャロリーヌ・シャンプティエによる映像や ナチスのプロパガンダ・フィルム等を効果的に使用し、アイヒマンの知られざる性格面を白日の下に晒した この作品は、ホロコーストに関する偉大な歴史的解明のひとつと言えるでしょう。(プレス資料より。アイヒマンとは、ユダヤ人らを強制収容所へ送り込む任務を遂行したナチス親衛隊中佐。)

2.14 公開(3作品同時上映)。http://marmaidfilms.co.jp/70

以下、当連載でリポートした、ホロコーストに関連する劇映画のリストです。参考にしていたゞけるのであれば幸いです。

通信( 60 ) 『黄色い星の子供たち』
通信( 78 ) 『サラの鍵』
通信( 80 ) 『善き人』
通信(108) 『あの日 あの時 愛の記憶』
通信(114) 『ソハの地下水道』
通信(182) 『ハンナ・アーレント』
通信(247) 『悪童日記』
通信(249) 『シャトーブリアンからの手紙』

 

 

アトランダム Q&A企画にて、 大高さんへの質問も受け付けています。
質問がある方は、ペンネーム、年齢、スキンタイプ、職業を記載のうえ、こちらのメールアドレスへお願いいたします。
試写室便り等の感想や大高さんへのコメントもどうぞ!
info@biteki.com (個別回答はできかねますのでご了承ください。)  

ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸の美的.com通信 https://www.biteki.com/article_category/ohtaka/

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事