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2026.09.18

美容界のレジェンド・齋藤 薫さんに学ぶ「人の心を動かす伝え方」|美的リーダーズ、いざ美容家への道 第5弾

美容家を目指す、「美的リーダーズ」のふたり。毎月MISSIONにトライしながら、夢へのステップを踏んでいきます。『美的』10月号では、美容のレジェンド・齋藤 薫さんに人の心を動かす伝え方を学びました。

EDIT: 美的編集部

美的編集部

美的編集部

2001年に創刊された美容専門誌『美的』(小学館)の編集部。「肌・心・体のキレイは自分で磨く」をキャッチフレーズに、タレント、モデル、カメラマン、美容家や美容ライターといった各分野のスペシャリストとともに、最新のビューティトピックを深く掘り下げた誌面作りがモットーです。2026年には創刊25周年を迎え、これまで積み上げた膨大な美容に関する最新の知見をもとに、美容に対して誠実なメディア運営に取り組んでいます。

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Mission5.美容発信のレジェンド・齋藤 薫さんに心を動かす伝え方を学べ

美容ジャーナリスト/エッセイスト

齋藤 薫


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前回からの課題|美容情報の素晴らしさはどうすれば伝わる?

これまで美容家、医師、化粧品PRの方々に取材をして、それぞれの視点から美容に対する熱量を目の当たりにしたふたり。どうすれば、専門家の美容愛を私たちから人々に届けられる?

Profile
右/山岡 葵 元美容皮膚科の看護師でドクターズコスメや美容医療に精通。「施術する側としての思い」と、「美容医療の情報を更新し続ける発信」のふたつを両立しているところが支持を集める。

左/須田真衣 元美容部員で特にスキンケア知識が豊富、普段はノーファンデがモットーの美肌のもち主。日常に取り入れやすい「マイテク」シリーズや美肌際立つリール動画が好評。2児の母。

History|齋藤 薫さんのこれまで

20代で雑誌編集者になる
文章を書きたいという思いから、迷いなく出版社を就職先に選ぶ。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社し、『25ans』の創刊に携わる。初めはファッションやカルチャーページを担当。

美容特集を立ち上げる
「顔ひとつでさまざまな表現ができる美容って面白い」と思い、『25ans』で50ページの美容特集を組む。まだ美容が“秘めごと”だった時代にもかかわらず支持を集め、美容ブームを起こす。

30歳で出版社を退職する
他媒体でも美容特集が組まれる程、世の中で美容が盛り上がり始める。一方、当時女性は定年まで働くのが難しい現実と、あまりの多忙に疲れて燃え尽きたことから、普通の生活に戻りたいと退職。

フリーライターとして活動
また徐々に記事を書き始め、気づけばフリーライターとして活動。あるとき、肩書きを問われ「美容ジャーナリスト」と名乗るように。美容業界の拡大や、女性の社会進出に伴いオフィスを立ち上げる。

36歳で進路を見つめ直す
「私は美容の専門家でもないのに」、と自分の活動に不安を覚えて立ち止まる。忙しくても幸せに感じることは何か考えた末、やはり文章が書きたい自分に気づき、仕事のありがたみを改めて実感。

2026年よりベスコス審査員を卒業
『美的』をはじめ美容誌のベストコスメ選者となる。化粧品開発者が誠心誠意作っていることをよく知っているからこそ重責を覚え、読者との年齢差にも葛藤するようになり、ベスコス選者を卒業。

Q1.齋藤さんの言葉には人の心を動かし、行動を変える力があるように感じます。どんなことを意識して言葉を紡いでいらっしゃいますか?

A.好意をもって「本質」を見つめること

編集者だった頃に意識していたのが「オモタメ」。面白くてためになる、という記事作りのルールです。それを大前提にしての話ですが、私はいつも「物事の本質」を語りたいと考えてきました。「本質」とは、時代がどう変化しても、揺るがない普遍的な原則や価値観。表面的ではない、一時的ではない、枝葉ではない、見えない核や揺るがぬ真実、そして理屈を超えた正しさ……といってもいいもの。もちろんそれを伝えるために、例え話や比喩が必要になってくるわけですが。

そして、あくまですべてのモノやコトを好意や善意をもって見つめること。悪意をもって書くと、話を面白くはできるけれど、結局人の心は打たないのではないかと考えています。

だから私は、化粧品の悪口を言うのも苦手です。どんな化粧品も、作り手が一生懸命作っているもの、それを自分の中途半端な知識で否定や批判はできないと。むしろその化粧品の製作背景や、時代における立ち位置などに思いを馳せ、製品説明書には明記されない「行間」までも表現したいと心がけていて。それだけに私の化粧品評は、褒めるばっかりでつまらないと言われたこともあります。それでも、悪口は書けない。良いところを出来る限り探し出して褒めていく、そういうスタンスをくずしたことはありません。それを後悔もしていません。

極端な話、ほかのアイテムなら悪口を言ったかもしれないけれど、化粧品は人を美しくするもの、それを悪く言うと、人はキレイになれないのではないか、化粧品の悪口を聞いてキレイになれる人はいないと、そう考えるからなのです。

『美的GRAND』’26春号 撮影/宇佐美直人

Q2.SNSやAIの台頭で美容の知識が簡単に手に入る今、「美容を伝える人」に最も必要なものはなんでしょうか?

A.誰かを美しくしたい、という愛情

これは本当に人それぞれだと思いますが、いろんな思いの土台になっているのは、やはりある種の“利他の精神”ではないかと思います。もちろん、自分を犠牲にする必要はないけれど、本当の意味で誰かをキレイにしてあげたいという気持ちがあるかどうか、ひいてはそれによって誰かが幸せになってくれればいいという気持ちが根底にあるかどうか、そこが大切なのではないかと思うのです。

今までやはり女性に向けて書いてきたので、あえて女性といわせていただきますが、やはり美や女性を語る記事には、女性に対する愛情がなければいけないと、今改めて強くそう思っています。SNSの普及で、人が傷ついたり、人と自分を比較してつらくなったり、そういうネガティブなコミュニケーションが増えています。だから、せめて美を語る人だけは、人を癒すような気持ちがなければいけないと思っています。

Q3.“美意識”や“美容観”が時代と共に変化していく瞬間を、どうすれば見抜けるのでしょうか?

A.ロングセラーの可能性をいつも見つめること

僭越ながらそもそも私は、一過性のトレンドにはあまり興味がなく、常に「これは10年後、20年後にも成立する話だろうか」という風に考えて物事を見るようにしてきました。

つまり取り上げた時点で、それは時代の何かを変える力をもっている、ということです。化粧品も、来年にはもう誰にも関心をもたれなくなっている商品には、やはり記事にする上では価値が薄いと考え、ロングセラーの可能性をいつも見つめるようにしています。

一方で私は、この世にないもの、誰も気づかなかったことが大好きで、トレンドを生み出す源になりうる製品こそを、評価するようにしています。改めて、支持を集めた製品を見ていると、一大トレンドとなって各社が同じものを作っても、最終的に残っていくのは、やっぱりトレンドを生み出した原点に当たる製品である気がしているのです。

Q4.どんな時代でも変わらない「美しい人の本質」とはなんでしょうか?

A.キレイになることばかり考えていない人

端的に言って、自分ばっかりキレイであろうとする人ではないこと。そういう意味では鏡が大好きな人より、別のことが好きと言う人の方が美しく見えるのかもしれません。美容家の方々も、“美容そのもの”が好きなだけでなく、視野も広くバランスがとれている方程、美しさに加えて素晴らしいお仕事をなさるのではないでしょうか。

そして私は常に、「美しい景色のような人こそ、本当に美しい」ということを訴えてきました。つまり、絶景の前で立ち尽くすような感動があり、この景色をずっと見ていたいと思うような、そういう感慨をもたらす人こそが本当に美しいのだと思うのです。例えば、1990年代に流行した“アムラー”のスタイルでは真似ができない美しさを、安室奈美恵さんご本人が放っていたのは、美の本質であるブレない清潔感があったからではないでしょうか。つまり何より重要なのは清潔感や透明感。風が心地よく抜けていくような涼やかさや優しさ、温かみ、香り立つような華やかさも含め、まさに花鳥風月を思わせるような美しさこそが最強といえるのだと思います。

MAI

多くの人が自分の肌に自信をもってほしい
ひとつの物事を表面的に捉えず、なぜそうなるのかを分析し、丁寧に紐解いていく。その積み重ねが、説得力のある発信につながっているのだと感じました。また「人をキレイにしたい」という利他の精神が根底にあるからこそ、齋藤さんの言葉には温かさと説得力が生まれるのだと思います。私も「ひとりでも多くの方が自分の肌を好きになり、自信をもってほしい」という思いを大切にして、美容を届け続けていきたいです。

AOI

自分らしい心地よさを見つけるのが真の美容
化粧品の生まれた理由や作り手の思いまで受けとり、自分の感性で言葉にする。そんな姿勢が美容を伝える人には大切なのだと感じました。また本当の美容とは、誰かと比べることではなく、自分自身が自分らしい心地よさを見つけることだと改めて思いました。「人をキレイにする人」を目指して、優しさや利他の思いを忘れず、化粧品と丁寧に向き合い、魅力を自分の言葉で届けられる美容家になりたいと思います。

齋藤 薫さんが『美的』読者に薦めたい2冊

化粧品論にとどまらない美容法を指南
30年以上愛される名作。「絶世の美女はキレイの天才か」、「なぜ今、失恋は女をキレイにするのか?」などのテーマに沿って「美容の本質をついた1冊。美容について熟考したい人におすすめ」(齋藤さん)

『美容の天才365日』
講談社 ¥1,870

美しい人が実践するマナーや視点を披露
人としての考え方や過ごし方、テクニックについて語った本。「“躾”は“身を美しくする”と書きます。つまり躾も1つの美容。人を豊かにし、周りの人も幸せにするきっかけになれば」(齋藤さん)

『あなたには“躾”があるか?』
講談社 ¥1,980

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

EDIT: 美的編集部

2001年に創刊された美容専門誌『美的』(小学館)の編集部。「肌・心・体のキレイは自分で磨く」をキャッチフレーズに、タレント、モデル、カメラマン、美容家や美容ライターといった各分野のスペシャリストとともに、最新のビューティトピックを深く掘り下げた誌面作りがモットーです。2026年には創刊25周年を迎え、これまで積み上げた膨大な美容に関する最新の知見をもとに、美容に対して誠実なメディア運営に取り組んでいます。

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撮影: 藤井マルセル(人物・美的リーダーズ分)・吉田健一(静物) 

スタイリング: シダテルミ 

構成: 土屋志織・南出祐希

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齋藤 薫

美容ジャーナリスト/エッセイスト

齋藤 薫

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『大人の女よ! 清潔感を纏いなさい』(集英社文庫)、『美人だけが知っている100の秘密』(角川春樹事務所)、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)『年齢革命ーー閉経からが人生だ』(文藝春秋)など著書多数。

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