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お悩み別ケア
2026.5.28

日焼け止めは肌に悪いって、誰が言い始めたの?【スキンケア科学者・次田哲也博士の 「人生100年時代」の美肌学 vol.5】

科学的根拠のある、本当に正しい美容情報を。先進の皮膚生理学や気象情報、化粧品開発テクノロジーなどに関する膨大な知見から、今みんなが知るべき情報をわかりやすくひもといてお伝えします。

EDIT&WRITING: 美的GRAND編集部

美的GRAND編集部

美的GRAND編集部

2018年に小学館が創刊した大人世代向け美容専門誌『美的GRAND』の編集部。40代以降の女性が抱える美容やライフスタイルの悩みに寄り添い、ドクター、研究者、美容ジャーナリスト、エディターなど各分野のプロフェッショナルと連携し、スキンケアからメイク、ヘルスケア、ウェルネスまでを多角的に紹介。「年齢に抗う」というアンチ・エイジングではなく、年齢とともに自分らしい美しさを積み重ねていくというポジティブな“ネオ・エイジング”を提唱し、信頼できる知見をわかりやすく発信することを心がけています。

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科学者視点のUVケア、これが正解

暑さだけじゃない、紫外線量もこの20年で増えています

日本各地に降り注ぐ紫外線量って、年々増えているんです。ご存じでした?
下のグラフは、つくば市での紫外線量1)観測データの20年間の推移です。1990年以降右肩上がりで増えていて、数値にすると10年間あたり約5%も増えています。

データ出典:気象庁HP(グラフ作成:kairos skincare)

*1)紫外線量は、気象庁と同じ紅斑紫外線量2)を使用
*2)人体へ及ぼす影響度を考慮し、算出した紫外線量

紫外線対策は今や世界的なテーマ。WHO(世界保健機構)でも、その日の紫外線をどの程度防御したらよいかという指標「UVインデックス」を定めています。

UVインデックスは1から11+の数と記号で表され、 【UVインデックス3以上】→できるだけ日差しを避けましょう
【UVインデックス8以上】→人体にとって危険なレベル。日中の外出をなるべく控えましょう
と、具体的な紫外線対策例が示されています。

では、「UVインデックス8以上」って年間でどのくらいの日数を記録していたかご存じですか? 2023年のつくば市の観測データでいうと年間で89日ありました。1年のうち、約3か月もの間、外出アラームレベルの強い紫外線が降り注いでいるんです! 日本の夏が年々過酷に感じる理由は、暑さだけでなく紫外線の変化も大きいといえるでしょう。

データ出典:気象庁(グラフ作成kairos skincare)

この20年間で、大きく気候環境が変わったことをさまざまなデータが示しています。
もはや紫外線対策は夏だけでなく、1年を通して行うべきもの。朝のスキンケアやベースメイクに日焼け止め効果のあるアイテムを取り入れてお手入れする習慣をおすすめします。

なぜ日焼け止めは嫌われるのか? 「肌に負担」説の本当のトコロ

紫外線が肌によくないことはわかっていても、日焼け止めを毎日塗るのは苦手……という声、よく聞きます。
特に、日焼け止めの中でも「紫外線吸収剤」は避けたいと、悪いイメージを持っていらっしゃる方もいます。

かつては皮膚科でも「強い日焼け止めは肌に負担がある」と避けられていた時代がありました。処方技術も今ほどよくなかったから、肌に塗るとキシキシしたり強い皮膜感があったりして、1日塗っていると肌が疲れてしまったり乾燥してしまうようなアイテムも多かったのです。
でも、化粧品メーカーや学術機関で長年、研究開発の最前線を見てきた私からひとつ、確かなことをお伝えいたします。
日焼け止め成分の安全性に関しては、2000年以前と2000年以降で分けて考えてください。2000年以前は、もしかしたらよくない日焼け止めがあったかもしれません。けれど2000年に法律が変わって、日本で製造・販売される日焼け止めは安全性が保証された成分を使うように変わっているのです。

もう少し具体的に説明すると(ちょっと専門的なお話になりますので、難しい人は飛ばしていただいても構いません)、2000年以前の化粧品は、どんな成分がどのくらい入っているのか開示されていませんでした。そういう法律だったのです。
だから「このアイテムを使うと肌の調子がよくないな」と思って皮膚科に相談に行っても、皮膚科でははっきりとした答えが出ません。そのアイテムにどんな成分が入っているのか、詳細な情報がないのですから。パッチテストをしてAという製品に反応が出るとわかったとしても、ではBやCは大丈夫なのか、ひとつひとつアイテムを購入して確かめたりしない限りわからないのです。だから「疑わしいアイテムは使わないでおきましょう。強い日焼け止めは肌に負担を感じる人が多いし、たまにアレルギー反応を示す人がいるから」とアドバイスするしかなかったのです。

ツギタ博士 助手コンド 一言メモ

現在、化粧品への配合が認められている紫外線吸収剤は32種類。配合濃度の上限まですべて日本の法律で定められているワン。ただ、どんな成分でも肌の状況によって合わないときはあるから、「この商品が肌に合わないかも?」と疑わしい場合は、皮膚科で相談してみて。

もはや成分だけで語れない。本当に肌を守ってくれるのは…?

日焼け止めが苦手、と感じる人の中には、紫外線吸収剤を避けて紫外線散乱剤を選ぶ方もいることでしょう。
紫外線散乱剤は、簡単にいってしまうと細かな粉体で紫外線を跳ね返す成分のこと。酸化亜鉛や酸化チタンなどのミネラルでできていて、「ノンケミカル」と呼ばれたりします。
一方で紫外線吸収剤は、紫外線を吸収して熱や光へと変換する“化学反応”を肌の上で行う機能的な成分。ノンケミカルに対してこちらは「ケミカル」と呼ばれます。

つまり紫外線吸収剤の場合、紫外線を浴びると肌の上で熱が生まれる化学反応が起こります。炎症を起こしがちな敏感な肌の場合、そういった熱の変化が刺激に感じられる可能性は確かに考えられるでしょう。
一方で「ノンケミカル」の散乱剤は、肌の上で変化しないという点では安定しているのですが、粉っぽくて白浮きしやすいから、肌の上でキシキシさせないためには大量の界面活性剤が必要になる、といった課題がありました。

ここからが本題です。
今は技術が進んで、 そういったデメリットを感じさせないUVコスメの処方 がたくさん登場しています!
それぞれの剤の表面に高度な表面処理をほどこしたり、カプセル化・分散設計なども進化しています。ノンケミカル(散乱剤)とケミカル(吸収剤)を融合させたハイブリッド型のものも誕生しているし、界面活性剤を用いずに散乱剤を均一に分散できる皮膜技術も誕生しています。
もはや「吸収剤」と「散乱剤」、どちらがいいの? と質問することがナンセンス なくらい。
今は、スキンケア乳液やクリームを使う感覚で心地よく毎日使えるものが増えています。低刺激な処方で、敏感肌でのパッチテストも済ませた安心感のあるブランドもたくさん登場しています。しかも、仕上がりも美しくて、肝心のUV防御力や耐水性も充分に備えている。 もう、どのアイテムを選んでもほぼ正解。 そうなると、UVケアの良し悪しは、「どう使うか?」というところが大事になってくるのです。

そこで私がおすすめしたいのが、UVカメラつきコンパクト。一見普通の鏡に見えますが…

日焼け止めを塗った部分は、こんな風に真っ黒に写ります。
*写真はわかりやすくお伝えするために、上の白いコンパクトとは別のUVカメラで撮影したものです。

汗をかいて時間が経つと、黒い膜がまだらに薄くなって、ざらざらとして見えます。その逆に、バシャバシャと水で顔を冷やしてその後タオルで押さえても、プルーフ効果がバッチリ発揮されて黒い皮膜がびくともせずに残っている場合もあります。

スマホに接続できるタイプも。どちらのカメラも、Amazonなどの通販サイトで「UVカメラ」といったキーワードで検索するといろいろな商品が出てきます。(私のメガネはUVカット機能つき。ちゃんと防御できていることがわかります)。

こういった簡単なツールを使って、自分が愛用しているUVコスメが、肌の上で本当に“オシゴト”してくれているかどうか、日中のいろいろなシチュエーションで確認してみてほしいのです。
UVコスメは、 ムラなく均一に塗布することが大前提 となります。また、UV機能を発揮させるためにはある程度厚みをもたせて肌に伸ばす必要もあります。もしかしたら、塗るときの手の圧が強すぎて、頬や額の高い位置がこすれて薄づきになっているかもしれません。塗ってからそれほど時間が経っていなくても、サングラスの鼻当てが当たる部分やよく動くほうれい線のところがひび割れてくずれていることもあります。
「時間が経つと、ここがくずれやすいな」
「さっき汗をぬぐったし、こういう暑さの日は、そろそろアブナイ…」
塗り方、天候、過ごし方…本当に防御できているかを目でチェックしてみる。

意外かもしれませんが、それが 今のところ科学的にいちばん効果のあるUV防御術 といえます。

日当たりのよいスタジオで、35℃超えの猛暑日に撮影した日の1枚。
最近の日焼け止めやベースアイテムは本当に汗に強くくずれにくくなってはきていますが、汗をかいて時間が経った肌にこの日差しを浴びてしまったら…。こまめにチェックしてこそ、進化したコスメの最高の力を感じられるはず。

UVカットだけじゃない、潤いバリアで夏の肌を守る「膜」。

そしてもうひとつお伝えしたいのが、日焼け止めが防御するのはもはや紫外線だけではないということ。
UVアイテムの皮膜技術や、光をコントロールする技術が飛躍的に進化していて、今では汗の刺激から肌を守ったり、乾燥を防いでよい肌状態をキープする、日中の時間を利用した+αのスキンケア効果が狙えるアイテムが続々と誕生しています。

ツギタ博士 助手コンド 一言メモ

昔は日焼け止めをカシャカシャ振っていた記憶が…。
あれって、紫外線防御剤の性能を安定して届けるには、どうしてもボトル内で均一に保つ必要があるから、使う寸前にシャカシャカ混ぜる必要があったんだって。処方技術が進んだ今は、そんなことをしなくても均一さがキープできる。わかりやすい進化だワン。。

アルビオン S-UVカット リンクル イルミネイティング デイクリーム[医薬部外品]
50g ¥11,000
SPF50+ PA++++ / UV耐水性★
シワ改善+美白有効成分をWで配合。そのほかにもスキンケア成分を贅沢に配合し、使い心地も高級スキンケアクリームそのもの。塗っている間中、積極的な美肌ケアがかなう。

 

 

花王 キュレル 潤浸保湿 スキンリペアUVセラム
60g ¥2,200 (編集部調べ)
SPF50・PA+++
敏感肌に対応する低刺激処方。肌のバリアを担う潤い「セラミド」をサポートして、日焼けトラブルの起こりにくい肌環境へと整える。

コーセー ファシオ くずれ・日焼け防止下地
全4色 25g ¥1,210(編集部調べ)
SPF50+・PA++++  ・UV耐水性★★
界面活性剤を用いずに紫外線散乱剤を均一分散できる、柔軟な皮膜形成剤を採用。ホワイト、ピンクベージュ、ミントブルー、ラベンダーの4色があり、肌色を整えるトーンアップ下地としても優秀。

 

資生堂 アネッサ パーフェクトUVスキンケアジェル NB
90g ¥2,508 (編集部調べ)
SPF50+・PA++++  UV耐水性★★
水や汗に触れると、水分の中に含まれるミネラルと反応してよりなめらかな塗布膜となり防御力がアップする「アクアブースターEX」機能や、室内外の激しい寒暖差にも対応して肌の潤いを守る技術など、進化した複数の機能を搭載。

 

富士フイルム アスタリフト D-UVシールド トーンアップ
30g ¥4,290
SPF50+・PA++++
紫外線吸収剤を散乱剤でつつむハイブリッド技術により、肌に吸収剤が直接触れることなく、強力なUVカット力を実現。波長が短く奥深くにまで到達しやすい「Deep UVA」まで防ぐ。また、表情によるひびわれを防ぐ塗膜技術も開発。

ポーラ ホワイトショット セラムUV[医薬部外品]
45g ¥7,150
SPF50+・PA++++
熱を受けるとスキンケア効果が増し、汗に触れると紫外線防御力が高まる独自の膜技術を採用。夏の過酷な肌環境を味方に変える進化型UV。美白成分も配合。

 

次田哲也さん

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

EDIT&WRITING: 美的GRAND編集部

2018年に小学館が創刊した大人世代向け美容専門誌『美的GRAND』の編集部。40代以降の女性が抱える美容やライフスタイルの悩みに寄り添い、ドクター、研究者、美容ジャーナリスト、エディターなど各分野のプロフェッショナルと連携し、スキンケアからメイク、ヘルスケア、ウェルネスまでを多角的に紹介。「年齢に抗う」というアンチ・エイジングではなく、年齢とともに自分らしい美しさを積み重ねていくというポジティブな“ネオ・エイジング”を提唱し、信頼できる知見をわかりやすく発信することを心がけています。

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タイトルイラスト(ツギタ&コンド): 松元まり子

構成: もりたじゅんこ

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