マキ・コニクソンさんと語る「野心というより、使命」|作家LiLyの対談連載「生きるセンス Season.9」第5話
「年齢を重ねるって、どういうことですか?」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩いた人気連載『生きるセンス』がwebへとお引越し。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。今回はゲストにマキ・コニクソンさんをお迎えします。
第1話▶▶マキ・コニクソンさんと語る「知られざる下積み時代と女盛りの40代」
第2話▶▶マキ・コニクソンさんと語る「子供に贈ることのできる最高のギフト」
第3話▶▶マキ・コニクソンさんと語る「“絶対”という言霊が叶えるもの」
第4話▶▶マキ・コニクソンさんと語る「期待される以上の仕事を積み重ねれば…」
「恋する気持ちを大切にする」という角度からの性教育を広めていきたい。――LiLy
LiLyさん(以下、L) マキさんの仕事のルーツを聞いていたら、私のルーツでもある日記のことを思い出したよ。マキさんの仕事の源にあるのが「愛」なら、私はたぶん「気持ち」かも。
マキさん(以下、M) 面白いねぇ〜。
L 10歳くらいから毎日、というよりも1日に何回も日記を書いていたことが今の作家業にそのまま繋がっていて。書き始めた理由はたくさんあるんだけど、そのひとつが大人になったときに今の気持ちを忘れたくないという理由から。「大人だって昔は子供だったはずなのに、すでに子供のときの気持ちを忘れている。私は子供の気持ちを忘れないまま大人になる。そうすれば、きっといいお母さんになれるはずだ」とか、そんなことも思って、そのまんま書いてある。
M おぉ〜、さすがだね。
L オチもちゃんとあって、そんな私だったのに「ママは子供の気持ちが全くわかってない!!」って思春期の娘にちゃんと言われた(笑)
M (笑)
L 覚えていられたっぽい「気持ち」も一応あって(笑)。20歳くらいの頃にJ-waveのラジオ番組でパーソナリティのアシスタントを務めていたときのことなんだけど、「まだ若くて人生経験が多いわけではないけど、だからこそ答えられることがあるはずだ」ってプロデューサーに直談判して、リスナーの恋愛相談に乗りたいってお願いしまくったの。恋愛についての本を出しているわけでもないただの大学生の意見に公共の電波は使わせられないってすごい怒られたんだけど、1回だけ答えさせてもらえたのね。
M 怒られたんだ?
L 今思うとごもっともなんだけど、当時はすっごい悔しかった。でも、だからこそさっきのマキさんの「悔しさをバネに」と同じで、その後たくさん恋愛にまつわる本を出し続けてるからもういいんだけどね。
M うんうん。そうだよね。わかるよ。
L で、そのたった1回だけ答えさせてもらった恋愛相談が「まだ私は10代で、相手のことを本当に愛しているのに若いからそう思うだけだって誰にも信じてもらえない」というものだったの。まさに私は17歳のときに日記に書いていた気持ちそのままでビックリして、こう答えたの。「自分でそう感じるのなら、その気持ちは、その愛は、年齢や経験なんか関係なく本物。大人のほうがいろいろと経験しすぎて愛や恋がなんなのかわかっていないことはとても多いし、これは憶測でも私の意見でもなく絶対に事実。今のあなたの愛しているっていう気持ちを、未来なあなたですら否定することはできない」って言ったら、すごくすごく喜んでもらえて。あぁ、日記書いていてよかった。覚えていられてよかったって思ったんだ。
M すごくいいね。LiLyらしい回答!
L ありがとう。今改めて取り組みたいと思っているのは、ティーンネイジャーに向けた性教育なんだ。
M 素晴らしい! 性教育の必要性が問われている今、LiLy以外に適任はいないと思う。なんて言えばいいのかな、エロいけどやらしくない。力強いガールズパワーを感じる!
L 嬉しい。そう言ってもらえることが多いから、使命のようにも感じてる。子供たちが今10代ってこともあるし、ロマンスコスメブランドを立ち上げたこともあって、「恋する気持ち」を大事にするベクトルから性教育を伝えていきたい。
60歳を目前にして、新たな仕事に取り組もうと思ってる――マキさん
M LiLyと話しながら感じるのは、「好きだからやりたい」というピュアな感情に素直でいることの大切さ。私はオーガニックビューティブランド『マリエオーガニクス』の仕事をしているけれど、もともとカウアイ島の大自然から生まれたこのブランドの哲学とプロダクトの大・大・大ファンだったの。
L 私ね、覚えてるの。マキさんがマリエのコスメが大好きで、好きすぎてこれオススメだよーって教えてくれたこと。でも、そのときは仕事で関わってなかったはずで、その後にお仕事しているのを見たから、「どうなったんだ?」って気になってたんだよ。
M そうそう。本当にそうなの。最初はただ純粋にブランドの大ファンで、好きが高じていろんなところでその愛を伝えながらも、好きすぎて「いつか一緒にお仕事もしたい、したい」って願い続けていたら、なんと先方からオファーが!
L わぁ、引き寄せだ。でも、まぁそりゃあそうだよね。そこまで愛してくれる人にブランド側だって絶対にやってほしいもの。
M でもそこは大人だし、きちんとしたビジネスのシーンだからさ、キャーなんて言いながら飛びついたりはもちろんしなかったよ。「Uh…, Let me think about it.」なんて余裕のある返答をしてきちんと駆け引き(笑)。でも心の中ではガッツポーズ! 電話を切った途端に飛び上がったもんね。「やったー!!」って。そこで決意したのは、ここで“絶対”に「結果を出す」ということ。
L “絶対”だね。
M それまでもたくさん取材してもらってはいたけど、セレクトショップに卸している形だったから、実店舗を出したほういいと提案して、それが大成功! 「百聞は一見にしかず」とファウンダーを日本に案内して、日本人の好み、たとえば小さなもの、華奢なものが好きなことを伝えて、さらに売上を伸ばし、どんどん信頼を得ていったの。
L 好きだからこそ、そこまでのパッションを注ぐことができるということだよね。
M そのとおり。おそらくLiLyは今、作家に起業家という一面が加わって、人生のターニングポイントを迎えているのだと思う。私も同じくで、実は50歳ぐらいでリタイアを考えていたこともあったんだけど、今また新たな映像の仕事にチャレンジしようと思ってる。LiLyが自分の小説の映像監督を始めるって聞いて、すっごく嬉しかったんだよ!!
L 私のモットーは餅は餅屋だから、映像のプロの女友達と物語のプロの私でユニットを組んでショートムービーをまず撮ったの。カンヌのジャパニーズナイトでプレゼンしてくるよ!
M 最高すぎる!
L ただ、30代でMVの監督をしたときにも思ったんだけど、映像は映像で素晴らしいんだけど、自分自身は小説を書くことがいちばん好きだということなの。40代はいろんなことに挑戦して、50代はまた小説だけに集中したい。そして、直木賞を獲りたい。
M LiLy、「I want to 〜」じゃなくて「I’m going to〜」でいこうよ。あなたなら“絶対”直木賞を獲ることができるから。

Instagram:@makikonikson

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※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
作家
LiLy
‘81年生まれ。神奈川県出身。N.Y.とフロリダでの海外生活を経て上智大学卒。25歳でデビューして以来、女性心理と時代を鋭く描き出す作風に定評がある。著作多数。@lilylilylilycom