中価格帯に挑戦しよう!【中年男性、トキメキ美容沼へ vol.25】

こんにちは、ライターの伊藤聡と申します。私は男性のためのスキンケア本『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました』(平凡社)を出しました。みなさんは、スキンケアに興味がありますか。スキンケアという言葉から、どんなことをイメージしますか? こちらの連載では、スキンケアに親しんでいく上で役に立つかもしれないあれこれをテーマに書いていきます。トライしてみれば楽しくて奥が深い、スキンケアの世界を一緒に探求していきましょう。
資生堂が本気を出してきたぞ
9月に入ったばかりの渋谷駅。帰宅途中の私は、駅構内に大きく掲示された、エリクシールの看板を見かけました。ずいぶん大きい広告です。こんなに目立つスキンケア製品の広告を見るのは、あまりなかったような気がします。エリクシールは、資生堂が主力ブランドとして力を入れているスキンケアのラインで、いわゆる「中価格帯」のスキンケア製品を出しています。モデルの古瀬美智子さんは、楽しみにしていたドラマのネタバレをうっかりしゃべっても許してくれそうな、菩薩様みたいに優しい微笑みを見せつつ、エリクシールの化粧水を掲げています。ちなみに資生堂では、コマーシャルに起用される女性を、モデルやタレントではなく「ミューズ」と呼ぶのがオシャレです。それにしたって、この製品はいかにも効果ありそうだ、と期待がふくらみました。コラジェネシス配合、と言われてもぴんと来ませんが、きっとすごいはずです。同時に「渋谷駅でこんな大きな広告を出すのに、いったいいくらかかるんだろうか」と、少し品のないことも考えた私です。資生堂が本気を出してきた、と感じました。こいつはきっと今年のベスコス候補にちがいない、と胸をときめかせつつ、私はドラッグストアへと向かったのでした。
さて、中価格帯とはなんでしょうか。名称があまり広まっていないため、聞き慣れない方も多いかもしれません。プチプラ(ドラッグストアで買える、およそ2000円以下で購入できる安価な製品)、デパコス(百貨店、デパートでしか買えない、高級な製品)はよく知られていますが、中価格帯はそのあいだに位置する製品です。値段でいえば、およそ3000円から6000円くらいでしょうか。ドラッグストアで買えますが、ガラスケースに入っていたりと、プチプラ製品とは場所をわけて陳列されていることが多いです。ご存じでしたか。思うに、中価格帯はネーミングがあまりよくないんですよね。せっかくプチプラ、デパコスとカタカナ四文字でポップな名前がついているのに、いきなり中価格帯と説明的な名称になってしまうのがいまひとつ。もう少しキャッチーな呼び方はないものでしょうか。中価格帯は「ミドルレンジ」と訳せますから、「ミドレン」とかどうかと思っている私です。どうせならカタカナ四文字で統一したいですよね(いや、むしろ最近『関心領域』『教皇選挙』『入国審査』など、無骨な漢字四文字系の映画タイトルが話題になっていますから、この流れで「中価格帯」が盛り上がる可能性もあるかもしれません)。
プチプラに慣れてきたら
多くの男性は、当然ながらプチプラからスキンケアに挑戦していきます。プチプラにはとてもいい製品がたくさんあり、効果も期待できるので、そのままプチプラを使い続けても問題はありませんし、肌はキレイになっていきます。とにかく毎日欠かさずやることが重要なので、値段より「朝晩ケアしているか」が求められるわけです。一方で、プチプラに慣れてきた方には、ぜひ中価格帯を選んで見てほしいとも思っています。いい製品が多いんですよ、中価格帯。オシャレな容器。すてきな香り。そして予想以上に肌をつややかにしてくれる効果の高さ。ちょっと背伸びをして中価格帯に挑戦してみると、「なるほど、価格が上がるとこんな風に違いが出てくるのか」と発見も多いです。昨今、物価は上がり、税や社会保障の負担も増える一方で、誰しもやりくりはたいへんです。そんななか、肌をキレイにしたいというユーザーの切なる思いと大事なお金を託した中価格帯製品ですから、メーカーもその期待に応えようと質の高い製品を出してきます。デパコスほどにお金をかけなくても、質の高い製品をしっかり体験できるのが、中価格帯のよさなのです。
わけても資生堂は、質の高さが感じられるスキンケア製品が多いメーカーです。あまりスキンケアの経験がない方には、まず資生堂の製品を買ってみてほしいと思っています。なにより私が資生堂ファンなので、ついオススメしたくなってしまうのですが……。プチプラであっても、肌がぐっとやわらかく、みずみずしい感触になるのが嬉しくて、資生堂の製品ばかり買っていた時期もあります。エリクシールは話題になる製品が多く、昨年であれば、たくさんの美容雑誌でベスコスをいくつも受賞した美容液「ザ セラム aa」などの人気アイテムを発表しています。そんなエリクシールが、テレビCMや駅の広告を大胆に打ってきた新製品となれば、期待せずにはいられません。私が初めて買ったエリクシール製品は化粧水だったかと思いますが、化粧水のうるおいととろみが肌にしみこんでくるようで、「顔にあんかけを塗っているのかな?」と錯覚しそうなほどでした。自分が天津飯のごはん部分になったような心地よさをよく覚えています。
さっそく使ってみました
今回、新発売になったのは「リフトモイスト ローション」(化粧水、写真左)と「リフトモイスト エマルジョン」(乳液、写真右)の2種類。それぞれで「みずみずしいタイプ」と「しっとりタイプ」が選べるため、全4アイテムが発売となりました。私は、化粧水は「みずみずしいタイプ」(3410円)、乳液は「しっとりタイプ」(3960円)を選びました。両者の差は油分で、「しっとりタイプ」を選べば油分多めとなります。化粧水を使ってみると、まずはさわやかな香りで気分が高揚します。資生堂の製品は香りがいいんですよね。肌ざわりもグッド。化粧水はみずみずしいタイプを選んだのですが、それでもしっかりと肌を保湿してくれて、これだけでもじゅうぶんなのでは、と感じさせてくれるほどでした。乳液は濃いめが好きなので、しっとりタイプにしたのですが、翌朝に肌がぷるんとよみがえるような手ざわりになっていたのが印象的でした。効果を実感するため、他の美容液などは使わず、化粧水と乳液だけで様子を見てみたのですが、このふたつだけでもスキンケアが完成するレベルの製品になっていました。さすが、資生堂が本気でプッシュするだけのことはありますね。
さて、今回は中価格帯とはなにか? のご紹介でした。デパコスはちょっとハードルが高い、という方にも中価格帯はオススメです。デパコスは買いに行くのもちょっと緊張しますからね。プチプラを使っているうちに、もう少し値の張る製品でもいいかな、と感じるようになったら、ぜひ中価格帯を試してみてください。おそらく、期待以上の効果が感じられることと思います。各メーカー、それぞれに質の高い注価格帯の製品を出していますので、いろいろ調べてみると、気になる製品が出てくるかもしれません。

イラスト/green K
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。