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2014.1.29

大高博幸の美的.com通信(202) 『ニシノユキヒコの恋と冒険』『コーヒーをめぐる冒険』『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『Room237』 試写室便り Vol.60

ニシノユキヒコ
©2014「ニシノユキヒコの恋と冒険」製作委員会

フラれては、モテて。モテては、フラれ。
ニシノユキヒコの恋と冒険』 (日本映画。122分)
2.8 公開。nishinoyukihiko.com

【STORY】  ルックスもよく、仕事もでき、セックスもよく、女には一も二もなく優しい。そして、女に関して懲りることを知らず、真実の愛を探してさまよったニシノユキヒコ。彼の周りには いつも魅力的な女性達がいた。そして、ニシノは彼女たちの欲望をみたし、淡い時を過ごすのだが、女性達は、最後には必ず自らニシノのもとを去ってしまう…。彼を取り巻く女性達の思い出から、真実の愛を探してさまよったニシノユキヒコの美しく切ない人生が浮かび上がる…。(試写招待状より)

芥川賞作家:川上弘美の同名小説を、『人のセックスを笑うな』の井口奈己が監督した一種の恋愛映画。ニシノユキヒコ役を竹野内豊が演じているので、12月下旬、日比谷の東宝本社まで観に行ってきました。東宝の試写室は どちらかというと小さめですが、歳の瀬だというのに補助席まで埋まり、注目度の高い作品だと感じました。

ところでユキヒコは、何故フラれてばかりいるのか? 「さみしい。結婚して女の子の父親になりたい」とツブやく彼に、「人を本当に好きにならないんだから仕方がない」と若い上司のマナミ(尾野真千子)がサラリと言う場面があります。僕はその辺りで、「もしかしたらユキヒコは、実はセックスがよくないのかも」と、ゲズな想像をしてしまいました。そういう描写は どこにもないのですが、コレは多分、当たっています。

お目当ての竹野内豊は、ユーレイとして登場する最初のクロースアップが最高にハンサムでした。デリケートなソフトフォーカス技法で撮影された、今どき珍しいほど美しい ポートレート風の画面…。スターを撮るからには、こうした配慮が重要なのです。また、バスルームから出てきたシーンでの上半身裸の彼は、胸板が程よく厚く、ウエストは引き締まっていました。
But、それに続くケイタイに出る部分で、チラッと下を向いた彼の顔が“40歳頃の泉谷しげるさん”そっくりに見える一瞬があり、僕はビックリ! ファンの皆さんからは怒られそうですが、目線とヒゲの2ポイントが そう感じさせたのです。

犬・猫・インコが登場して多少の演技を見せるところなど、女性観客には特にウケそう。僕は 雲・月・風鈴・蜘蛛の巣etcの何気ないイメージショットを、「綺麗だなぁ」と感心しながら眺めていました。また、みなみ役の新人:中村ゆりか(16歳)は、僕好みでもある正統的かつ個性的な美少女。

カットのタイミングが全篇を通じてスロー(サイレント映画時代のスローなフェイドアウトよりも、もっとスロー)なのは、この監督の特徴らしいのですが、その点も含めて上映時間122分は、僕にとっては やゝ長く感じられました。皆さんは、ゆったりと くつろいで観てください。

 

coffee
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コーヒーを飲みそこねた朝、それは最高にツイてない一日のはじまり。
青年ニコは、街で ちょっと奇妙な人たちと出遭った…。
コーヒーをめぐる冒険』 (ドイツ映画。85分)
3.1 公開。www.cetera.co.jp/coffee

【STORY】  2年前に大学を辞めたことを父に秘密にしたまま、ベルリンで暮らしている青年ニコ。恋人の家でコーヒーを飲みそこねた朝、車の免許が停止になった。アパートに帰ると上階に住むオヤジに絡まれ、気分直しに親友マッツェと出かけることに。すると、ニコの行く先々で、メロドラマの主演俳優、ダイエットに成功した同級生ユリカ、ナチス政権下を生き抜いた老人等々、ひとクセある人たちが次々と現れる…。(試写招待状より)

2013年度ドイツ・アカデミー賞6部門(作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞・助演男優賞・音楽賞)を制覇したヤン・オーレ・ゲルスター監督(1978年生まれ)のデビュー作。本国では大ヒットを記録、海外でも熱狂的な人気を集め、30を超える映画祭で多数の賞を獲得しています。
But、だからというワケではなく、僕は「コーヒーを飲みそこねた朝…」というコピーに惹きつけられ、期待に胸をふくらませて観に行きました。

スケッチ風とも言えるエピソディックな内容。ヌーヴェル・ヴァーグの流れを汲むテイスト。ちょっとしたタイミングやツキの悪さに一日中つきまとわれるニコ(人生一時停止中の26~27歳の青年)の姿が、ユーモアとアイロニーを織り混ぜたような形で描かれています。「自分にも似たようなコトが幾つもあったな。でも、あそこまで一日に集中したコトはなかったな」などと思いながら観ていましたが、ほゞ24時間振りに やっとコーヒーにありついたニコが、24時間前とは違う心境に至っているという感じの幕切れに、しみじみ&ほんわかとした何かを味わいました。

モノクロ映画ですが、ダブルトーンのニュアンスが非常に美しい。ブラウンとトープにアンバーを少し混ぜたようなモノクロで、撮影はシャープでいて暗部は まろやか、ハイライト部は柔らかく、目にとても心地よい映像。ラスト間際のベルリンの夜明けの数ショットなど、その場所に自分が佇んでいるような気分に誘われます。
ニコを演ずるトム・シリングはドイツの青年らしい容貌で、適役好演。上映時間85分は長すぎず、短すぎず、ちょうどいい感じ。日本では大ヒットするとまでは思えませんが、この映画を大好きになる人は少なくないはず。

 

© 2013 MVLFFLLC. TM & © 2013 Marvel. All Rights Reserved.
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©Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
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2014年――新たなる〔アベンジャーズ伝説〕が始まる。
マイティ・ソー/ダーク・ワールド』 (アメリカ映画。112分)
2.1、 2D/3D公開。Thor2.jp

【STORY】  ニューヨークに壊滅的な打撃を与えた「アベンジャーズ」の戦いから1年――英国・ロンドンに原因不明の重力異常が発生。ソー(クリス・ヘムズワース)の恋人である天文物理学者のジェーン(ナタリー・ポートマン)は、調査の過程で地球滅亡の鍵となる“ダーク・エルフ”の力を自らの身体に宿してしまう。打開策を求め、ソーは地球を離れ“アスガルド”にジェーンを連れていくが、そのために愛する家族や故郷をも危機にさらすことに…。絶望的な状況の中、ソーの最後の頼みの綱は、血のつながらない弟にして宿敵であるロキ(トム・ヒドルストン)だった。ジェーンと地球を救うために立ち上がるソーとロキ。果たしてジェーンの身体から“力”を取り出し、ダーク・エルフによる地球の侵略を回避することはできるのか? そして、ロキの真の目的とは? 運命の戦いの舞台は、ロンドンへ――。(プレスリリースより)

昨年10月30日から全世界で順次公開がスタートしている本作は、既に興収600億円(12月12日現在。1ドル:99円換算)を突破。日本公開に向けての宣伝活動にも、物凄いほど力が入っています。僕は12月中旬に2D版を目黒のウォルト・ディズニー・スタジオ試写室で観たのですが、試写終了後、若いジャーナリストor映画関係者の方々が、興奮した様子で感想を述べあっているのを目にしました。

本作の真の主役はCG技術を駆使したアクション&スペクタクルシーンそのもので、ストーリーが複雑な割にドラマの要素は二の次という印象。顔見知りのジャーナリスト氏(50代)の「だってコレはゲーム感覚で楽しむ作品」という一言に、なるほどと納得…。

キャラクターとして興味を引いたのはトム・ヒドルストン演ずる邪神のロキで、ラストに向けての展開に意外性のあるところが面白い。
ジェーン役のナタリー・ポートマンの一番の見どころは、「5時間も行方不明になっていた。どうしていたの?」と友人ふたりに聞かれる、その5時間。くっきりとした強めのアイメークをしている割に、顔つきは柔らかくチャーミング。
スペクタクルシーンは音響効果も強烈で、試写室の壁にヒビが入るのではと本気で心配になった程。But、僕が一番真剣に観たのは、フリッガ(アスガルドの王女、ソーの母)の火葬の場面。ナイアガラを想わせる大きな川を、滝壺に向かって遺体を乗せた船が燃えながら流れて行くのです。逆に退屈させられたのは、かなり長く続く地下鉄のショーウィンドウのような場面でした。

本作の前に、3月中旬公開予定の『アナと雪の女王』の特別予告篇が上映されました。こちらはディズニーのスペクタクル・ミュージカル・ファンタジー・アニメで、イディナ・メンゼルが歌い上げる楽曲「Let It Go ~ありのままで~」が素晴らしくエモーショナル。乞う、御期待!

 

room伝説の恐怖映画『シャイニング』を徹底分析する、独創的なドキュメンタリー。
Room237』 (アメリカ映画。103分)
1.25より公開中。www.room237.jp

映画史上最も恐ろしく芸術性の高いホラー映画として知られる『シャイニング』(『2001年宇宙の旅』etc、数多くの名作を遺した巨匠:スタンリー・キューブリック監督作品)。本作は『シャイニング』に渦巻く“ミステリーの解明”に挑んだ異色作。“Room237”とは、『シャイニング』の主人公:ジャック(ジャック・ニコルソン)が腐敗した老婆の幽霊と出くわす客室のナンバー。5人のキューブリック研究家が意外な着眼点や矛盾を次々に指摘していく内容で、僕は彼らの超熱心な研究・解釈振りに、少々あきれながらも興味深く観ました。

『シャイニング』そのものを知らない方々にはオススメしにくいのですが、案内人のような形でトム・クルーズが数場面に出演しています。彼のファンなら、「見逃した」と後悔するコトのないよう、とにかく観に行かなければいけませんね。

 

 

ビューティ エキスパート
大高 博幸1948年生まれ、美容業界歴47年。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸の美的.com通信 https://www.biteki.com/article_category/ohtaka/

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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