劇作家・本谷有希子さんが人生悩みにお答え「人の幸せを素直に喜べない」「寂しがり屋な母が気がかりで…」

結婚、恋、人間関係など『美的』読者の悩みを劇作家の本谷有希子さんがお答え。生きづらさを抱える女性を描き続けてきた劇作家ならではの愛ある言葉！

人生悩みに、お答え120文字レシピ

答えてくれる人
本谷有希子さん

’79年、石川県出身。2000年「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、主宰として作・演出を手掛ける。’16年『異類婚姻譚』（講談社）で第154回芥川賞を受賞。著書はほかに『静かに、ねぇ、静かに』（講談社）など多数。

Q.人の幸せを素直に喜べない自分がいます。後輩が会社を辞めて海外に留学（コロナで延期）をする計画を進めているのですが、相談に乗りつつも、「人生そううまく行かない」と意地悪な考えがよぎって、アドバイスどころではありません。（Tさん／輸入代理店勤務／32歳／既婚・子供なし）

A.主語を「人間」に置き換える
「そういうときは、主語を「人間」に置き換えて『人間って、人の不幸の方が好きなんだなあ』くらいに思えばいい。もしくは素直に『羨ましい。正直、アドバイスどころではないんだけど』と冗談っぽく口にできれば、そんなにモヤモヤしませんよ」

Q.仕事ばかりして生きてきたので、子もちの既婚者の友人とは話が合わなくなってしまいました。合わないと思えば会わなくていいのか、多少話を合わせても会うべきなのかいつも悩んでしまいます。（Mさん／デザイン会社勤務／34歳／既婚・子供なし）

A.今までより会う頻度を減らしてみる！
「今まで、その友人と3度程会っていたのを1度に絞ってみる、とか。もしくは逆に、思いきって1週間、ふたりで旅行に行ってみる。長い時間いれば、もっと深い話をするしかなくなり、お互いの立場も関係なくなりますよ、きっと」

Q.「好きになった人と恋愛結婚をしたい！」と夢見て、早35歳…。気づけば周りは既婚者ばかりで、途方に暮れています。かといってマッチングアプリや婚活パーティに行くのではなく、自然な出会いにこだわってしまいます。（Tさん／輸入代理店勤務／32歳／未婚）

A.どちらかに絞る必要はありません
「自然な出会いも諦めず、同時進行でマッチングアプリや婚活パーティにも手を出せばいいんです。とりあえず10人。人数を決めて会ってみたらいい。どこに素敵な出会いがあるかなんてわからないから、絞る必要は全くありません！」

Q.将来、大好きなロンドンで仕事をしたくて語学を勉強したり準備をしていますが、寂しがり屋な母がどうしても気がかりで。このままだと留学や転職に本腰が入らず、今ひとつ踏ん張ることができません。どうしたら前に進めますか？（Yさん／飲料メーカー勤務／30歳／未婚）

A.あなたが母親なら子供にどうしてほしい？
「例えば日本に残るとして、いつか後悔しませんか？お母様が寂しくない環境に整えればいいです。今、ネットを駆使すればデジタル空間でなんでもできますよ。それに私が母親なら、自分の寂しさを埋めるために子供に何かを諦めてほしいとは思いません」

Q.独身時代は恋をしてトキメキがありましたが、結婚をしてから主人にトキメくこともなくなり、恋ってなんだろうとモヤモヤ。主人ではトキメかないため、結婚した意味を見失っています。（Tさん／雑貨店勤務／35歳／既婚・子供なし）

A.「恋はなぜ劣化するのか」を研究テーマにする
「ひとりの他者に対して、自分の気持ちが変化していくことが『結婚』。誰が相手でも、気持ちは変わり続けると思いますよ。そのことを『恋はなぜ劣化するのか』と、研究テーマのように掘り下げて愉しむことができればいいですね」

Q.4年程付き合ってきた彼がいます。彼との結婚観がズレていて将来が見えず、結婚を踏み留まっています。これからの時代は、結婚というシステムも多様化してくると思いますが、やはり根本的に結婚したい女性と、結婚を考えていない男性との交際は、時間の無駄なのでしょうか。
（Eさん／ヨガインストラクター／30歳／未婚）

A.なぜ、結婚という形にこだわるのか、一度突き詰めて考えてみては？
「彼に『結婚のどういう部分に気が進まないのか』を具体的に話してもらうのと同時に、Yさんがなぜ『結婚という形にこだわるのか』も突き詰めて考えてみる。もし、それでダメになる関係性なら、早くダメになった方が幸せです」

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