美的GRAND
健康・ボディケア・リフレッシュニュース
2020.12.15

吉田羊さんインタビュー「好きなことに夢中だった20代。遅咲きと言われることは私にとってラッキーでした」【美的GRAND】

事前に伝えていたインタビューの質問リストには、赤ペンでびっしりとメモが書き込まれていた。ひとつひとつの問いかけに真摯に向き合う姿に、背筋が伸びる。「生真面目にしか考えられなくて(笑)」と照れる姿が、ドラマで演じている刑事・石川百合の役と重なった。

大切にしたいドラマとの出合い。共演者は家族のよう

0195

『コールドケース ~真実の扉~』は、吉田 羊さんの連続ドラマ初主演作。百合と、彼女が率いる4人の刑事たちが未解決事件を捜査する同作は、大人が楽しめる上質のドラマとして現在、シーズン3が放送中という人気ぶり。「この物語の主役は事件に関わった人々で、5人の刑事は彼らの思いをすくいとっていくという役目です。百合がヒーロー的な存在だったら、私には務まらなかったかもしれないなと思います」

刑事たちの絆は、今シーズンで役柄の上でも、実際の共演者の間でもより深まっている。そのチーム力に、役者仲間やスタッフから賞賛の声が集まる。

「かつて孤独を抱えていた百合は、事件を通して人間の弱さと向き合う中で、合わせ鏡のように自分の弱さとも向き合い、少しずつ周りに心を開いていきました。その傍らにいつもチームの4人がいてくれるんです。不思議なことに、カメラが回っていないところでの5人の仲が深まる程、役での関係性も深く見えてくるんです。私にとっては家族のように信じられるチームですし、ここまで役と私自身が同一に感じられるのは珍しいこと。ライフワークにしたい作品です」

“好きなことに夢中だった20代。下積みだとは思わなかった。遅咲きと言われることは私にとってラッキーでした”

小劇場での活動を経て、映像の世界で「ブレイクした」と言われたとき、既に30代だった。それからの出演作の多さが実力を物語るが、そんな日々を、「奇跡が続いているよう」と言う。

「私はとり柄のない平凡な人間です。芝居の拙さに落ち込むことはいまだにあります。こんな人間に映像のお仕事でも居場所をいただけたことには感謝しかありません。作品を見てくださった方から『前を向けた』と言っていただけると、虚構の世界がリアルな人を救う作品の力を実感すると同時に、私自身もこの世界に生きていていいのだと、自分を許してあげられる気がするんです」

ブレイク以前の、アルバイトをしながら舞台女優を続けていた10年を下積みといわれることがある。でも、本人はそう思ってはいない。ただただ、芝居が好きで楽しくて、夢中になっているうち、10年がたっていた。むしろ下積み的な悔しさは、映像の仕事を始めてから生まれた。

「オーディションに落ち続け、役をいただけても、私向けのカットがなかったり。周りと比べて自分のふがいなさに打ちのめされることも多々ありましたが、すべて、次への原動力になっていきました。結局、闘う相手は周りではなく、自分自身なんですよね。実は、年齢的なことで焦ったこともないんです。元々のスタートが遅かったですから。何があっても、どんな自分でも受け入れられる心の余白は、年齢やキャリアに抗わず、ありのままの自分で生きてこられたから。そう思うと、遅咲きであることは、むしろラッキーだったと思うんです」

 

Profile
よしだ・よう/福岡県生まれ。小劇場を中心に舞台で10年間活動した後、映像作品に活躍の場を広げる。2014年のドラマ『HERO』で注目を集め、映画やドラマ、CMと幅広く活躍。近年の主な出演作に、主演映画『ハナレイ・ベイ』{hlb}(’18)、映画『記憶にございません!』(’19年)、ドラマ『恋する母たち』(TBS系)など。
 

『美的GRAND』2021冬号 発売中
09652101000010000001_00
ご購入&ためし読みはこちら

 

『美的GRAND』2021冬号掲載 撮影/三瓶康友  ヘア&メイク/イガリシノブ(BEAUTRIUM) スタイリスト/梅山弘子(KiKi inc.)  構成/松田亜子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事