オーソドックスな恋愛ものじゃ物足りない時は、漫画『来世は他人がいい』と薬膳おやつ！連載・薬剤師津田マリエの“効く”漫画＆コスメの処方箋

恋に仕事にプライベートに、美的世代の女子は、悩みやストレスと常に隣り合わせ。そんな沈んだ心をものの20〜30分で、スッと軽くくれる漫画をご紹介。この連載は、年間300本以上の作品を読む、薬剤師の津田マリエさんが、悩みや症状に合わせて“心が元気になる漫画とコスメ”を毎回処方。読んで、試して、心も見た目も引き上げちゃいましょう！

(C)Asuka Konishi/KODANSHA

ゾクゾク感がたまらない！新タイプの極道恋愛エンタメ

「今回紹介する漫画は、極道恋愛ものだけど、スリルと笑いが満載。ゾクゾク感を味わいながらも、不思議な中毒性があり、読むと止まらなくなります。オーソドックスな恋愛ものじゃ物足りない！と感じている人に、ぜひ読んでほしい作品です」

処方箋No.６

・こんな症状におすすめ
正統派の恋愛漫画では物足りなくなっている。自分のことを普通じゃないと思っている。人から変わっていると言われる。

・処方マンガ
「来世は他人がいい」小西明日翔（講談社）

・薬効
ゾクゾク感が味わえる。変わっていると言われるが「ありのままの自分でも好きになってくれる人がいるかも」と思わせてくれる。

・副作用
読むとアドレナリンが出るので、若干興奮状態になります。どこまで他人に本性をさらけ出すか、さじ具合を間違えると大変なことに。

・何巻まで処方
現在３巻まで発売中（2019年11月現在）ですが、一気に３巻読むことをお勧めします。というか、読んでしまう中毒性が！

・あらすじ
大阪の極道の家で生まれ育った、女子高生の染井吉乃。特殊な家柄のわりに、平穏な日々を送っていた。ある日、組長である祖父の勧めで、東京の極道の孫息子である深山霧島と婚約することに。霧島は普通で優しい優等生に見えたが、吉乃に絡んだ不良をボコボコにする姿は、ヤクザそのもの。さらに「女に嫌われてて、女友達なんか一人もいないような女に、人権無視でメチャクチャに振り回されるのが最高に好き」と言い出す、イッちゃっている奴だった！笑いあり衝撃ありの極道エンタメラブストーリーです。

心にささる！元気になるPOINT

裏の顔を持ちつつも、なぜか憎めない霧島にドキリ！

「霧山は、一見優しくて優等生。極道の孫息子だと知られつつも、同級生からモテモテ。それなのに、たまに見せる霧山の怪しい顔つきにドキッとしてしまう吉乃。そして『思った以上に吉乃が普通で飽きちゃったから、風俗でお金作ってきて』という霧山の暴挙も。これだけ聞くと、かなりイッちゃっている危ない奴なのですが、読み進めていくと、なぜか憎めない魅力があります。３巻以降は霧山が吉乃に振り回されて、少しずつ人間味が垣間見れるので必見です」

一見弱そうなヒロインは、清々しいほど強かった！

「『風俗でお金を作ってきて』発言で、吉乃は大阪に帰ることも考え出します。しかし祖父に『一年かけて霧島を死ぬほど自分に惚れさせて、容赦なく捨てて帰ってこい。それが男に一番効く復習だ』と助言され、一年は東京で頑張ることを決意。そこからの吉乃がスゴイ！自分の肝臓を片方売り、そのお金を霧山に叩きつける！吉乃をいじめた同級生にも啖呵を切る姿は、読んでいてカッコよくて痺れます。ちなみに、その姿を見た霧山はまんまと吉乃に惚れてしまいます（惚れるツボが独特ですよね）。最初は方言も封印し、良い子に振舞っていた吉乃も、自分を解放。たまに主人公にあるまじき怖さもあるのですが、ありのままの性格や本性は、時に人を強く惹きつけるんじゃないかと感じました」

イカれているようで、ちゃんとした恋愛漫画

「もちろん、オーソドックスな恋愛漫画ではないのですが、最初は吉乃に興味がなかった霧島が、吉乃本来の性格を知ってから好きになったり、吉乃は簡単に霧島を好きにならなかったり。イケメンの幼なじみのライバルがいるなど、女子が好きなツボがちゃんとおさえられています。１巻では霧島に翻弄されている印象が強い吉乃ですが、２巻以降は肝が座っていて、強気で素直な吉乃の魅力が光ります。吉乃は霧島のことを意外とわかっており、相手を変えようとはせずに理解している姿勢を見せるところは、一種のモテテクのようで、読んでいるこっちもグッときます。自分のことを理解し、認めてくれる存在には男女関係なく惹かれますよね。最終的には『俺は吉野が吉野である限り、永遠にずっと吉野が好きだ』と、霧島に言わせるほど惚れさせる吉乃に拍手。不思議な中毒性がある漫画で、読むとテンションが上がるので、ぜひ読んでいただきたいです」