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2016.9.6

【大高博幸さん連載 Vol.358】 『 グッバイ,サマー 』『 キング・オブ・エジプト 』『 だれかの木琴 』『 オーバー・フェンス 』 試写室便り 第 122 回

〝 動くログハウス 〟 で旅に出る14歳の夏休み。僕らの友情は 永遠に続く。キュートで甘酸っぱい青春ロードムービー! 画家を目指す 14 歳のダニエルは 風変わりな転校生のテオと出会い、やがて親友同士になるが、周囲から浮いた存在の二人を 学校や家族は 枠にはめて管理しようとしてくる。息苦しい毎日から脱出するため、二人は 〝 ある計画 〟 を考え付く。それは、スクラップを集めて 自分たちで 〝 夢の車 〟 を作り、夏休みに 旅に出ることだった――。

グッバイウェブ
(C) Partizan Films- Studiocanal 2015

〝 動くログハウス 〟 で旅に出る
14 歳の夏休み。
僕らの友情は 永遠に続く。

キュートで甘酸っぱい
青春ロードムービー!

グッバイ,サマー
フランス/104分/PG 12
9.10 公開/配給:トランスフォーマー
transformer.co.jp/m/goodbyesummer/

【 STORY 】 画家を目指す 14 歳のダニエルは 風変わりな転校生のテオと出会い、やがて親友同士になるが、周囲から浮いた存在の二人を 学校や家族は 枠にはめて管理しようとしてくる。息苦しい毎日から脱出するため、二人は 〝 ある計画 〟 を考え付く。それは、スクラップを集めて 自分たちで 〝 夢の車 〟 を作り、夏休みに 旅に出ることだった――。( 試写招待状より )

『 エターナル・サンシャイン 』『 恋愛睡眠のすすめ 』の ミシェル・ゴンドリー 監督・脚本による、100 % 自伝的 青春映画。主役のふたりは オーディションで選ばれた新人、過千渉だが 愛すべき ダニエルの母親役に『 アメリ 』 ( 2001 年の大ヒット作 ) で主役を演じた オドレイ・トトゥというキャスティング。これは ちょっぴり甘酸っぱく、とても可愛らしい感動作です。

〝 夢の車 〟 は 良く出来ていると感心させられると同時に、木の枝か 何かにブツかったら たちまち壊れてしまいそうな バラック小屋風で、ふたりの旅は ファンタジーの領域。撮影は 主に、のどかで美しい イル = ド = フランス地方で行われたとのコト。
個性の異なる ダニエルとテオのコンビは ほゝえましく、特に 家庭環境に起因しているらしい テオの 大人びた一面 & 父親に叱られて泣き出す幼さとのアンバランスさは、いじらしい程でした。あんな時期、誰にも きっと あったはず……。

以下、印象的だった台詞です。
1) 「 髪を切れば 」「 イヤだ、みんなと同じになっちゃう。もっと個性がなくなっちゃう 」「 個性は 髪型とは 関係ない。自分の選択や 行動で決まるんだ 」 ( 度々 女の子に間違えられて困っているダニエルに、テオが言う台詞 ) 。
2) 「 お前は 自分にしか興味がない。個性、髪型、ローラ ( 片想いの相手の名前 ) 、悩み……。一度でも オレに 質問したコト、あるか? どうだ? 図星だろ、エゴイストめ! 」 ( ラスト近く、仲たがいの場面で、テオが ダニエルに言う台詞 ) 。

PG 12 指定は、ダニエルのマスタベーションシーンがあるため? だとすれば 映倫は、ちょっと神経質すぎる気も。それに、ダニエルと同じ年頃の男の子と一緒に観たなら、お互いにバツが悪くなるコトは ほゞ確かでしょう。そういう意味では、A・トトゥ演ずる お母さんは 進歩的 or ユニーク。

 

エジプトウェブ
©2016 Summit Entertainment,LLC.All Rights Reserved./©Photo Courtesy of Lionsgate.

映画館で < 古代エジプト >をアトラクション体験!!

< 神の眼 > を盗んで エジプトの王座を奪え!

キング・オブ・エジプト
アメリカ/127分
9.9 公開/配給:ギャガ
gaga.ne.jp/egypt

【 STORY 】 神と人間が共存する 古代エジプト。残虐な暴君と化した砂漠の神・セト ( ジェラルド・バトラー ) が、戴冠式で 天空の神・ホルス ( ニコライ・コスター = ワルドー ) から 王座を奪って以来、国民は セトの絶対的な支配に苦しめられていた。盗賊の少年 ベック ( ブレントン・スウェイツ ) は、セトに 恋人 ザヤ ( コートニー・イートン ) を奴隷として奪われ、彼女を取り戻すため 立ち上がる。セトを倒すには、セトが持っている < 神の眼 > を奪わなければならない。追放されたホルスに助けを求めたベックは、ホルスとともに 宇宙を司る太陽神・ラー ( ジェフリー・ラッシュ ) の助言を受けながら、さまざまなミッションをクリアしていく。果たして、ベックは ホルスとともに 愛するザヤを救い出し、< 神の眼 > を手にすることができるだろうか? ( チラシより。一部省略 )

スリル満点の 冒険スペクタクル。アクションシーンの連続で、この種の映画のファンを喜ばせますが、僕は カブト虫 (?) の空飛ぶ戦車や 鳩の船、黄泉の国へ向かう死者の船などに眼を奪われました。
But、最もコーフンさせられたのは、オベリスクの頂上でのクライマックス。敢えて詳しくは書かずにおきますが、それは予想外の展開の上に 撮影も編集も素晴らしく、驚きと感動が 一気に押し寄せてくる感じです。

出演者では、第 1 に ホルス役の N・ワルドー、次いで ベック役の B・スウェイツ ( 『 マレフィセント 』のフィリップ王子役で注目された新進スター ) が大活躍。印象的だったのは、ラー役の G・ラッシュの 格調高い 熱演。また、ホルスの恋人から セトの恋人へと転身する〝 愛と音楽と酒の女神 〟ハトホル ( 演ずるのは エロディ・ユン ) の本心を、次第に明らかにする展開も良かったです。

僕が観たのは 2 D の字幕版。公開に際しては 3 D や 吹替版の用意もあり、その声の出演者は、玉森裕太、永野芽郁ら。字幕を追う必要のない吹替版のほうが、画面のスピーディな動きや 登場人物たちの表情に 集中できる とは思います。

 

木琴web
(C)2016 『だれかの木琴』製作委員会

私の心に その指が、触れた。

心の隙間に入ってきた美容師への、抑えきれない執着――。
愛と呼ぶには あまりに危険で切ない、男と女のサスペンス。

だれかの木琴
日本/112分
9.10 公開/配給:キノフィルムズ
www.darekanomokkin.com

【 STORY 】 家族で郊外に引っ越した小夜子は、新しく見つけた美容院で 海斗と名乗る若い美容師に出会ってから、日常が一変する。自分でも 訳が わからない衝動に駆られ、何度もメールを送っては 頻繁に店を訪れ、海斗を指名する小夜子。ついには 海斗のアパートを探し当て、呼び鈴を押してしまう……。( 試写招待状より )

マニュアル通りの営業メールを送った海斗と それを受け取った小夜子は、単なる美容師とお客の間柄だった。彼女が返信メールを送るまでは……。
一方的にエスカレートしていく小夜子の ストーカー的心理と行動、そして 困惑しながらも 彼女に何が起きているのかを 見極めようとする海斗の理性を、スリリングかつクールに描いたサスペンスドラマ。監督 ( 脚本と編集も ) は 〝 女優演出の名手 〟 と????われる 東 陽一。主演は、小夜子役に 常盤貴子、海斗役に 池松壮亮。

一見、それなりに充実した生活を送っているように見える、ごくフツーの主婦。その心に潜む 漠然とした虚しさと 偏執的とも言える情念が どこから生まれてくるのか、最終的に とんでもない事件が起きてしまうのかと、緊張しながらスクリーンを見つめた 112 分。息を殺して獲物を狙う 動物のようにも見えてくる、小夜子の 眼の怖さ。それが 夫の性的傾向に対する 不満と反発の表れ と解釈してしまうのは、僕だけでは なさそう ( 勝村政信 演ずる 小夜子の夫の場面に、そう想わせる描写が 少くとも 3 回は ありました ) 。そして また、ゾッとさせられたのは、新たなターゲットとの展開を 予感・確信させるラストシーン。ごくフツーの人間の 延長線上にある 〝 異常 〟 を見せつけられた感じです。

インパクトが弱いと感じたのは、開いた窓から 木琴の音が聞こえてくる イメージ的なシーン。
一番 良かったのは、夜明けのアパート、玄関の電気が灯り、海斗が 自転車と共に出て来て、どこかへ向かうというファーストシーン。眼を見張らせる色調と構図、そして 特に そのテンポとタイミングに、独得の趣・映画ならではの美がありました。

 

オーバーフェンスウェブ
(C)2016「オーバー・フェンス」製作委員会

純粋で 不器用な者たちの、
愛しくも 狂おしい青春。

これは 今を生きる あなたの物語。

オーバー・フェンス
日本/112分
9.17 公開/配給:東京テアトル
overfence-movie.jp

【 STORY 】 家庭を かえりみなかった男・白岩は、函館に戻るも 実家には顔を出さず、職業訓練校に通いながら 失業保険で暮らしていた。日々の楽しみもなく、ただ働いて死ぬだけ、そう思っていた。ある日、訓練校仲間と訪れたキャバクラで、鳥の求愛ダンスを踊る 風変わりな若いホステスと出会う。名前は 聡 ( さとし ) 。どこか危うさを持つ聡に、白岩は 急速に 強く惹かれていく。遠い幻のように 一瞬で過ぎ去ろうとする 函館の夏、フェンスの先に 彼らが見つけるのは――。( 試写招待状より。一部省略 )

第一主役の白岩を演ずるのは『 合葬 』( 通信 306 )『 FOUJITA 』( 312 ) の オダギリジョー、監督は『 もらとりあむタマ子 』( 188 )『 味園ユニバース 』の 山下敦弘。

妻子と別れ、会社も辞めた白岩は、職業訓練校に通う男。夜は 弁当と缶ビール 2 本を買って アパートへ帰る毎日。訓練校には 年齢も性格も異なる〝 生徒たち 〟がいて、そのひとりである代島 ( 松田翔太 ) に誘われ 同行したキャバクラで、ホステスの聡 ( 蒼井 優 ) と出会う。聡は ある意味 純粋だが、精神的なバランスを著しく欠いた娘。この聡と白岩の 惹かれ合いながら モツレる関係を、基本的に 淡々と追った作品です。
タッチとしては、やゝ暗く シリアス。『 ……タマ子 』で 山下監督のファンになった僕としては、少くとも 訓練校の場面辺りに のんびりとした 何気ないユーモアが感じられても良さそう、などと思いながら観ていました。その点、『 ……タマ子 』よりも『 味園…… 』の流れを汲む作品 という印象。

オダギリジョーは、本作では 作り笑いや愛想笑いを含めて 笑顔を浮かべるシーンが多く、目の下の濃いクマ or 影 や不精ヒゲまでもが チャーミング。今までとは 少し味の異なる演技を観せています。蒼井 優が演ずる聡は、相当に難しい役どころ。突然 激昂するシーン等では、リアルを越えて エキセントリックな領域に踏み込んでいるので、映画評論家からも 観客からも 賛否両論を受けそう。主役のふたりを繋ぐ 代島役の 松田翔太には、ごく自然でいて 不思議な程の存在感がありました。

「 タッチとしては、やゝ暗く シリアス 」と書きましたが、全篇にわたって 登場人物たちを肯定している感覚が気持ち良く、ラストの野球試合の場面に 穏やかな 淡い明るさを感じさせる点が 救いでした。

 

 

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ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸さんの 肌・心塾
http://biteki.com/beauty-column/ootakahiroyuki

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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