西田尚美さん「シミもそばかすも肝斑も、チャーミングに見えるといいな」|美的GRAND インタビュー
人気モデルとして活動していた頃も、俳優として多くの作品で活躍している今も。ずっと印象が変わらない。むしろ、ますます透明感があって、匂やかでー。
西田尚美
のんびり、おっとり。ときどき全力。
「私、メイクのセンスがないんですよ」。
普段はほぼノーメイクでいるという理由を尋ねると、そう言って顔をほころばせた。デビューから30年、本当に変わらないですね――きっと百万回は言われたであろう言葉が、口をついて出た。
日々の生活から体を整え地道に、こまめに保湿
「顔も体型もしっかり下がっています。体を動かすといえば犬の散歩くらいだったのを反省して、最近、ピラティスを始めたんです。動きは地味なのに、普段使わない筋肉を使うので、翌日の体がすごくスッキリしますね。前かがみになりがちな姿勢も改善されてきたので、続けてみようと思っています」
件(くだん)のメイクセンスについては、「かわいくメイクができない」のだそう。
「普段はBBクリームを塗る程度。あまりにメイクをしないから、先日、友人がクレ・ド・ポー ボーテのティントバームをくれました。最近は中2の娘がプチプラコスメを教えてくれるんです。アイカラーなどをドラッグストアで買って、娘とシェアできるのも楽しいですね」
その素肌は、健康的で艶やか。愛用のアイテムも、丁寧にケアしていることがわかるものばかりだった。
「肌は乾燥が気になるので、こまめに保湿をしています。髪はパサついていると老けて見えるので、オイルをつけたりと、できることを地道にやっている感じです。4Kカメラの撮影だと、毛穴やシミ、シワも隠しようがないので、日々の生活から気になることを整える必要性を痛感しています。ベースは食事です。家ではごはんとおみそ汁、おひたしや煮ものなど、野菜や発酵食品が中心の粗食なんです」
いつもどおりの日々を無理なく積み重ねてきたからこその、変わらない魅力とピュアな美しさなのだと実感させられる。
西田さんは年始に、5日間のファスティングにトライした。それは、「ため込んでいる体をリセットする」ためだった。
「肌艶も良くなり、アレルギーのかゆみも緩和された実感があって。よく口寂しくなるので、ナッツや干し芋をもち歩いているのですが、ちょこちょこ食べているせいか、満腹状態がわかりにくくなっていました。今は適量がわかり、食べすぎることがなくなりました」
肌も仕事も、気にしすぎない。少しの鈍感力で、より楽に、自由になれた
「細かいことを気にしない方が人生は楽よ」。先輩俳優に言われて以来、西田さんの中で「鈍感力」がテーマになった。
「元々鈍くさいのですが(笑)、仕事では、ストイックになりすぎることがあって。そうなると、細かいことばかりに意識が行くんです。今は少しぼんやりしながら、いろいろ気にしすぎず、仕事のときは全集中する感じです。思うように演じられなかったり、予期せず耳に入ることに戸惑うこともありますが、さらっと流すようにしています。考えすぎたり、ひとつのことに固執して前に進めなくなるのはもったいないですもんね」
自分で可能性を狭めないこと
深いシワにも色気が
50代は仕事も肌も、少し鈍感な方がちょうどいい。それでも立ち止まってしまうときは、晩酌をしながら夫婦で話す。
「ただただ、話を聞いてくれる家族の存在に助けられています。今は、シミもそばかすも肝斑も、チャーミングに見えるといいなと思っています。シャーロット・ランプリングみたいに、深く刻まれたシワにも色気がある女性に憧れますね」
芝居への強い思いがあったわけではなかったけれど、20代で主演した映画をきっかけに、作品作りに魅せられた。今や、常に名前を見かける程多くの作品に出演し、待機作がいくつもある。
40代になり、母親役が増えたとき、同じような役が続くと役幅が狭まるのではないかと、焦ったことがあった。
「でも、いろんなお母さんがいると思うと、母親役も幅広く演じられるんですよね。自分で可能性を狭めかけていました。それ以来、表現することはもっと自由でいいのだと、役へのアプローチも自然にできるようになって。若い頃は、これはカッコいい、これはカッコ悪いと線引きをしていましたが、今はそう考える必要はないかなと思うんです。年々、心は楽に、自由になっているみたいです」
「この年になってもまだまだできないこと、わからないことたくさんあるってなんなん。幸せなことです」。52歳の誕生日、デビュー当時と現在の写真を並べ、そうツイートした。できないことがあることは、まだ伸び代があるということ。それは、今の西田さんをワクワクさせている。
「今というプロセスを楽しめたら、この先また面白いことが待ってくれているはず。恥をかくことを恐れずに、新しいことにも挑戦していきたい。今年は、英語を学び直そうと思っています!」
PROFILE
にしだ・なおみ/1970年広島県生まれ。モデルとして活躍した後、’93年に俳優デビュー。主演映画『ひみつの花園』『ナビィの恋』で注目を集め、話題作に多数出演。近年の出演作に、映画『青葉家のテーブル』『護られなかった者たちへ』、ドラマ『うきわ-友達以上、不倫未満-』、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』など。4月16日スタートのドラマ『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(テレビ朝日系、毎週土曜23:30〜)に出演。公開待機作に、舞台『鎌塚氏、羽根を伸ばす』(7月17日〜8月28日、7都市で公演)、『夏の砂の上』(11月〜、5都市で公演)、映画『土を喰らう十二カ月』(今秋公開)など。
『美的GRAND』2022 春号掲載
撮影/竹内裕二(BALLPARK) ヘア&メイク/石川ひろ子(eek) スタイリスト/金子夏子 構成/松田亜子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。