尾上松也さん「20代は心が折れていた…信じ続けることが今のモチベーション!」|舞台『怖い絵』スペシャルインタビュー
歌舞伎だけではなく、数多くの作品を演じる尾上松也さん。舞台『怖い絵』公演をきっかけに、芝居のありかたについてお伺いしました!
心が折れていた20代。でも、絶対に大丈夫だと自分を信じていた
名画には、、隠された恐怖の物語がある――。ベストセラーを基に描く舞台『怖い絵』で、尾上松也さんが演じるのは絵画コレクター。でも実は、実在する“怖い絵”の謎を解きながら依頼者の復讐を手伝う、ダークヒーロー。陽気な巡査やおバカ剣士など、コミカルな役が続く松也さんの新しい表情に期待!
「どういう感じになるのか今から楽しみですが、演出が鈴木おさむさんですから、ダークヒーローといっても、クールでシリアスなキャラクターで終わらないと思います(笑)。今回、念願かなっておさむさんとご一緒できることになりましたので、面白いことを常に探り出そうとしている姿勢や、どうやったら自由な発想が生まれるかなど、近くで見させていただけるのではないかと期待しています」
さまざまな名画が登場する今作。絵画鑑賞は芝居にも通じると感じている。
「お芝居は、基本的には役の長い人生の一片だけを切り取っていますので、そこに至るまでの背景は、演じる側の想像になるわけですよね。演じる側と観る側の解釈は必ずしも一致しなくても、見えない部分をお互いに想像しながら演じたり、観たりすることは、実は楽しみだったりもします。絵画もその背景を知ることでぐっと見方が変わるので、興味深いですね。ちなみに、僕が最近ドラマで披露している変顔については、何ひとつ深いことは考えていないです(笑)」
歌舞伎俳優の家に生まれ、5歳で初舞台。エリート街道を歩んできた印象のある松也さんだが、「20代はミュージカルのオーディションを多く受け、歌舞伎では自主公演をしない限りは主演を務めるなんて考えられなかった」と言う。
「何度も心が折れそうになりましたし、ほぼ折れていた時期もありました。それでも諦めずに続けてこられたのは、応援してくれるファンの方と、僕を信じて支えてくれるスタッフがいたから。後は、“こうなりたい、これをやりたい”という理想の場所にいる自分を思い描いて、絶対にできると信じ続けることでなんとか乗り切ってきました。そのおかげで今はやりたいお仕事をさせていただけている。信じ続けることが今の僕のモチベーションになっています」
It’s my it!
歌舞伎が美肌を作る!?
歌舞伎役者は実は肌がキレイなんです。何役も演じ、1日3回は洗顔するせいか、下地のびんつけ油がいいのか…謎です。
スニーカーやキャンドル
今、超ハマっているもの。マーベルのヒーローものも収集しています。語らせたら、声が高くなります(笑)。
【Stage】『怖い絵』
投資家、絵画コレクター、復讐執行人という3つの顔をもつ絵田光(尾上松也)。彼は、美しい絵画とその裏に潜む恐怖のメッセージから、罪深き人たちへの復讐を代行していく。
作・演出:鈴木おさむ 監修:中野京子(『怖い絵』シリーズ)
出演:尾上松也、比嘉愛未、寺脇康文ほか
東京公演3月4~21日、大阪公演3月24~27日
Profile
おのえ・まつや/1985年、東京都生まれ。父は六代目尾上松助。歌舞伎のほか、ミュージカル、ドラマ、映画など幅広く活躍。現在放送中のドラマ『ミステリと言う勿なかれ』(フジテレビ系)、『まったり!赤胴鈴之助』(テレビ大阪)でのコミカルな演技も話題に。
『美的』2022年4月号掲載
撮影/杉江拓哉(TRON) ヘア&メイク/岡田泰宜(PATIONN) スタイリスト/椎名宣光 取材・文/辻本幸路 構成/松田亜子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。