ヘアニュース
2018.8.22

新しい社会貢献“ヘアドネーション”|髪を失った子どものためにオリジナルのウィッグを…

何人もの女優が美しいロングヘアをバッサリとショートにする理由

柴咲コウさんやベッキーさん、水野美紀さんら、美しいロングヘアがトレードマークだった女優やタレントが、惜しげもなく長い髪をバッサリ切る現象が相次いでいます。実は彼女たちは単にイメチェンを図ったのではなく、切った髪を寄付するヘアドネーション(毛髪の寄付)に参加したのです。

小児がんや無毛症、また原因不明で髪を失う子どもがいます。もちろん、病気やけが、その治療の一環で髪を失うのは子どもだけではありません。でも多感な年頃に髪がないことは学校生活を送るうえでハードルになるケースがあります。

そんな子どもたちに少しでも日常の暮らしを取り戻してもらいたいと、寄付された人毛によるウィッグの提供を始めたのがNPO法人JHD&C(Japan Hair Donation&Charity ジャーダック)です。

ジャーダックの活動は9月で10年目を迎えますが、母体は大阪の美容室。ある日、代表の渡辺貴一さんが長年美容師という職業に携わってきたことから「髪の毛への恩返し」として、当時、欧米では既に広がりを見せていたヘアドネーションを日本でも根付かせようと取り組み始めたのが、ジャーダック誕生のきっかけです。

この夏、大阪、東京、福岡の3都市でヘアドネーションを学ぶための夏休みの親子イベントが開催されました。ドナーのヘアカット見学~寄付された髪の仕分け、試着用のウィッグをつけてみるといった体験型ワークショップです。

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ウィッグユーザーのひとり、吉田 薫さんは、仕事をしながらフラメンコを15年続けている女性。
小学生時代に円形脱毛症を発症、生えたり抜けたりを繰り返しながら、徐々に脱毛の範囲が広がり中学に入ったころには、まつげや眉、やがて全身の体毛がすべて抜けていったそうです。

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ウィッグの利用は高校生時代からで、今は複数のウィッグをローテーションで毎日使っているとか。

「人と話していても、相手が私の目を見ずに頭を見てくる。髪の毛がないことで周りの人がこんなに気にするんだと思いました。本当はヅラとかハゲとか悪口を連想させるカツラ(当時はウィッグという言葉も、一般的ではありませんでした)を使うことにはとても抵抗がありましたが、髪があれば皆、接しやすくなるのかなと思って、ウィッグをつけることにしました。

「ウィッグをつけると締め付けられて痛いし、暑いし、お手入れもたいへんだけど自分なりに工夫して使っています。中学の時に髪がなくても普通に接してくれた友人は今でも大切な存在です。かわいそうとか触れちゃいけないことだと思わないで、気軽に話題にしてほしい」と話します。

7月29日午後、東京会場でのドネーションカットのドナーはふたり。田神未来(31歳)さんと松田遊宇那(11歳)ちゃん。

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「毛量が多くてストレート、髪質も固いことがコンププレックスでした。でも今回、役に立てることができてうれしい」と田神さんはドナー応募の動機を話します。遊宇那ちゃんは「病気や薬の影響で髪がなくて困っている人がいる、少しでも自分も役に立てるといいな」と小学校1年生から、6年かけて70㎝も髪を伸ばしました。

 

31㎝以上の毛束を20~30人分使ってようやく1体のウィッグができる

実はウィッグを作るには、31㎝以上の長さの髪が必要です、カラーやパーマをかけていても構いませんが、一見、長いように見えても先細っている最長部分しかウィッグには使えません。しかも1体のウィッグを作るには、平均20~30人分の毛束が必要なのです。

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現在、JHD&Cでは年間約100体のウィッグの提供を行っていますが、それでも常にウィッグ待ちの子どもたちのリストが絶えません。それというのも、年齢や個々に状態の異なる子どもの頭囲に併せて、オーダーメイドでメディカル・ウィッグを作るのには、たくさんの髪の提供に加えてコストも時間も人手も相当にかかるからです。しかもウィッグは毎日使えば、平均2年しかもたないそうです。

いま、そんなJHD&Cの活動に賛同して全国の美容室でもヘアドネーションの活動が徐々に広がりを見せています。東京のイベントでカットを担当した二子玉川の美容室55jetも早くからJHD&Cの活動に協力。店舗でも月に50人以上のヘアドネーションのカットを行うほか、サロン主宰のチャリティイベントも定期的に開催しています。

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「役に立ちたいという一心で、何年も大切に髪を伸ばしてきた方々に寄り添える仕事ができて、幸せです」と55jet代表の當間紀之さん。

「ドナーからボランティアまで、その場の皆が笑顔で、髪を新しく生まれ変わらせる場に立ち会えることが何よりの魅力ですね」とやはり今回、ヘアドネーションのカットを担当した55jetのスタイリストの渡辺玲衣花さん。

 

ヘアカットでかなう新しい社会貢献のスタイル

『美的』では当たりまえのように、ご紹介している、ひとつ結びなどごく簡単なヘアアレンジはもちろん、ロングヘアも生まれつき髪の毛が生えていなかったり伸びなかったり、抗がん剤や放射線などの治療を続けている限り、かないません。JHD&Cではウィッグを希望する女子の98%がロングヘアのスタイルを希望しているのですが、提供される髪の1%ほどしか、ロングヘアのウィッグに使用できる50㎝以上の髪が集まらないのが現実です。

31㎝以上に髪を伸ばすには、個人差はあるものの1~2年はかかりますし、髪を伸ばすのは何しろ根気が必要。でも頑張って髪を伸ばした分、困っている誰かの役に立てます。ヘアドネーションはそんな新しいスタイルの社会貢献です。

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男子にもできることがある!

木村 仁君(12歳)はなんと小学生の間、3回もヘアドネーションで髪を提供して来ました。「男子なのに、なぜ髪を伸ばしているの?」とか、「女子トイレはあっちだよ」などなどいろいろな経験を積みつつ、ヘアドネーションに取り組んできた経緯を1冊の自由研究にまとめました。きっかけは従妹のお兄ちゃんが小児がんにかかり、脱毛していくのを目の当たりにしたこと。知ったこと。いま通っている中学は校則で髪を伸ばせませんが、「友達の妹とか七五三が終ったら、何も知らずにばっさり切っちゃうのは、もったいないな。ヘアドネーションの活動をもっと伝えていきたい」と話す頼もしいヘアドネーション広報大使です。

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縁の下の力持ちが支えるヘアドネーションの輪

ヘアドネーションにはさまざまな人や企業がボランティアとして、関わっています。たとえば、今回、イベント会場の提供や、参加者へのお土産を用意したのは、美的でもおなじみサロンブランドのミルボンです。また、1本1本髪を手植えでウィッグを作る技術提供はアデランス、医療分野の臨床検査を行うみらかホールディングスはイベントのためにボランティアを派遣、テスコムはたくさんのドライヤーをお土産に用意したり、花王はウィッグとして利用できない髪を「評価毛」としてシャンプーなどヘアケア剤の開発に活用します。さらにコカ・コーラボトラーズジャパンは自販機でヘアドネーションに自動的に寄付できるベンダーを設置したりと実に多様な人や企業がヘアドネーションの活動を支えています。もちろん、最もたいへんなのはJHD&C事務局のスタッフ。全国のドナーや美容室から送られてくる髪を毎日地道に仕分けしています。

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☆ヘアドネーションの活動をもっと知りたい方は↓
www.jhdac.org

☆ヘアドネーションのカットを毎日できる55jetの活動は↓
https://www.55jet.co.jp/

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