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2017.4.18

『 マイ ビューティフル ガーデン 』『 美女と野獣 』『 僕とカミンスキーの旅 』『 カフェ・ソサエティ 』 試写室便り 【 大高博幸さん連載 Vol.391 】

大高博幸さんによる映画試写会便り。今回は『 マイ ビューティフル ガーデン 』『 美女と野獣 』『 僕とカミンスキーの旅 』『 カフェ・ソサエティ 』 をご紹介します。

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© This Beautiful Fantastic UK Ltd 2016

美しいイングリッシュガーデンに学ぶ
豊かな人生。
幸せを運ぶ奇跡の種が芽吹くとき、
人生が輝き始める。

マイ ビューティフル ガーデン
イギリス/ 92 分
公開中/配給:ココロヲ・動かす・映画社 ○
my-beautiful-garden.com

【 STORY 】 几帳面な性格だが、植物が苦手なために せっかくの庭を荒れ放題にしているヒロイン、ベラ ( ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ ) のもとに届いた退去勧告。〝 一ヶ月以内に庭を再生できなければ アパートを出て行くこと 〟。困り果てたベラは 犬猿の仲であった隣人 アルフィーの力を借りることにする。偏屈な老人に見えたアルフィーは 実は卓越した園芸家であった。二人は互いの利害の為に 庭づくりに取り掛かることになり、庭が少しずつ命を取り戻すとともに、二人の交流は予想外の展開を見せ始めていく。 ( 試写招待状より )

英国人にとって特別な存在の〝 庭 〟を舞台に展開する、一種の現代版 シンデレラストーリー。
ベラは 不器用で引っ込み思案で孤独な、自分の殻を破れずにいる女の子。図書館に勤めながら、いつか絵本作家になる日を夢見ている……。そんなベラが成り行きで交流する破目 ( ? ) になる隣人 アルフィー ( トム・ウィルキンソン ) と、そのお抱え料理人 ヴァーノン ( アンドリュー・スコット ) 、及び 図書館で親しくなった発明家の青年 ビリー ( ジェレミー・アーヴァイン ) が主要な登場人物。
オドレイ・トトゥ主演のフランス映画『 アメリ 』と どこか重なる 愛らしい作品で、上質なコメディと しっとりとした味わいが 自然に溶けあっているタッチが魅力的です。

本作で 思わず微笑してしまったのは ラストシーン。アルフィーじいさんに負けないほど偏屈 or 気難しい図書館の主任女史 ( アンナ・チャンセラー ) の本質が、そこで映し出されるのです。誰もが避けて通りたがるような人物の〝 本質・本心に気づく 〟という経験を一度でも明確に持てたなら、その後の人生観・人生のスケールが大きく変わるという とてもとても大切なコトをも、この映画は教えてくれているのです。監督・脚本の サイモン・アバウドって どんな人なのかなと、僕は思いました。

P.S. ビリー役の J・アーヴァインは、『 戦火の馬 』『 レイルウェイ 運命の旅路 』『 ウーマン・イン・ブラック 2 死の天使 』『 ストーンウォール 』のいずれとも異なる 喜劇的なキャラクターを好演。今回 彼に関して気づいたのは、ひとつの動作 or 表情から 次のそれに移る瞬間に表われる、おそらく生まれ持った彼特有のクセ。そこに スター俳優にとって不可欠な、 ひとつの魅力・強みがあったというコトです。ベラ役の J・B・フィンドレイも、彼との共演場面が最もイノセントで、可愛らしく感じられました。

 

あああああ
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ディズニーが、不朽の名作を 実写映画化!
なぜ彼女は 野獣を愛したのか?
知られざる真実が、いま明かされる。

美女と野獣
アメリカ/ 130 分
4.21 公開/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
Disney.jp/BeautyandBeast

【 STORY 】 魔女によって 野獣の姿に変えられた美しい王子。呪いを解く鍵は、魔法のバラの花びらが全て散る前に 誰かを心から愛し、そして愛されること――。絶望のなか、彼は ベル ( エマ・ワトソン ) という女性に出会う。自分らしく生きながらも 心に孤独を抱えるベル。はたして、彼女は 王子の運命を変えることができるのか? ( プレス資料より )

『 ハリー・ポッター 』シリーズで ハーマイオニー役を演じた E・ワトソンを主役に迎え、ディズニー・アニメーション『 美女と野獣 』をディズニーが実写化。〝 人と違う 〟コトを自分だけの輝きに変えるベルと、〝 人と違う 〟外観に縛られて自分を受け入れられない野獣 ( ダン・スティーヴンス ) とのコントラスト。加えて、ふたりを見守る城の召し使いたち ( 様々な家具や道具に姿を変えられている ) 、さらに ベルと野獣の行く手を阻む 村一番の色男 ガストン ( ルーク・エヴァンス ) らが絡むという展開。3 月 17 日に全米公開され、実写版の『 マレフィセント 』や『 シンデレラ 』を凌ぐ大ヒットを記録しています。

本作は アニメーション版に登場したミュージカルナンバーを、全て短縮せずに使用。そこに尺が長く取られているコトもあって、130分という上映時間の割には、ベルと野獣が愛し合うに至る心理的描写が やゝ希薄という印象を 僕は受けました。

E・ワトソンは 少女のイメージから脱皮する段階にあり、大人の女性の雰囲気を放ち始めています。少々気になったのは、彼女の頬のピグメンテーション。それが場面によって うっすらとながら見えるので、日頃から UV ケアを徹底的に継続する必要があると思いました。
王子役の D・スティーヴンスは、プロローグの舞踏会のシーンでの 仮面メークを施した顔が ルックスとして美しい。少々驚かされたのは、野獣姿の顔に、デリケートな表情が浮かぶコト。また、魔法使いのお婆さんが 変身しながら王子に魔法を掛けるシーンでは、彼女の顔も しっかりと観て、目に焼きつけておいてください。

 

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忘れられない恋人に会いに行く盲目の天才画家カミンスキーと青年の
奇想天外な旅の行方――
虚実入り混じる 大人のおとぎ話。

僕とカミンスキーの旅
ドイツ、ベルギー/ 123 分/ R15+
4.29 公開/配給:ロングライド
meandkaminski.com

【 STORY 】 金と名声ほしさに 芸術家の伝記を書こうと思い立った無名の美術評論家 ゼバスティアン ( ダニエル・ブリュール ) は、スイスの山奥で隠遁生活を送る画家 カミンスキー ( イェスパー・クリステンセン ) を訪ねる。彼はマティスの最後の弟子で ピカソの友人、ポップアート隆盛の 1960 年代 NY で〝 盲目の画家 〟として脚光を浴びた 伝説的な人物。ゼバスティアンは 新事実を暴く為、年老いたカミンスキーを言葉巧みに誘い出し、若き日に愛した女性のもとへ連れて行こうとする。しかし トラブル続きの旅は奇妙にねじれ、思いがけない終着点に向かっていく……。 ( プレス資料より。一部省略 )

ヨーロッパを舞台に、世代も境遇も全く異なる青年と老人が織りなす、奇想天外な大人向きのロードムービー。アート界への皮肉と風刺に満ちた内容で、虚実の入り混ぜかたにウサン臭さと知的な面白味があって、これは ひとつの傑作という気がします。

感覚を刺激するような含みのある台詞が幾つも出てきましたが、憶えやすかったのは 旅の途中で車に乗り込んできたルートヴィヒという男 ( チラシの一番上のスティルで、車の後部座席に座っている ホームレスのバイオリン弾き。実は とんだ食わせ者 ) の 次のふたつ。「 安心しろ。人生、大半が浪費だよ 」「 多くは挫折で終わるのさ 」。これが 本作そのものを代弁しているような感じで、ラスト近くで、カミンスキーが何十年も想い続けてきた女性 テレーゼ ( ジェラルディン・チャップリン ) との再会に リンクしてくるところが最高でした。こういうコトって あるなぁと、僕は似たような自分の経験を幾つか想い出したりして……。

D・ブルュールは 珍しく〝 イヤな奴 〟を演じていますが、それでも共感を抱かせるところが良く、カミンスキー役の名優 J・クリステンセンとの息もピッタリ。カミンスキーのエキセントリックな娘 ミリアム役に アミラ・カサール ( シャネルやゴルチエのモデル出身 ) 、テレーゼ役に G・チャップリンを起用したコトも功を奏し、本作の悲喜劇感を高めていました。
監督・脚本は、世界的大ヒット作『 グッバイ、レーニン! 』の ヴォルフガング・ベッカー。

 

© 2016 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
© 2016 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.

黄金時代のハリウッドへ ようこそ!
そこは恋する夢追い人たちの人生が、
甘美にして儚く交錯する映画の都。

カフェ・ソサエティ
アメリカ/ 96 分
5.5 公開/配給:ロングライド
movie-cafesociety.com

【 STORY 】 1930 年代、刺激的な人生を夢見る 平凡な青年 ボビー ( ジェシー・アイゼンバーグ ) が、ニューヨークから華やかなりし映画の都 ハリウッドにやってきた。大物エージェントである叔父のもとで働き始めたボビーは、美しくも庶民的な秘書 ヴェロニカ、愛称〝 ヴォニー 〟 ( クリステン・スチュワート ) に心奪われる。幸運にも恵まれてヴォニーと親密になったボビーは 彼女との結婚を思い描くが、実はヴォニーには 秘かに交際中の男性が……。 ( 試写招待状より )

『 ミッドナイト・イン・パリ 』の ウディ・アレン監督が、ゴールデンエイジのハリウッドに観客をタイムスリップさせる、ビタースウィートなロマンティックコメディ。〝 カフェ・ソサエティ 〟とは、夜ごと高級レストランやクラブに操り出す ’30 年代のセレブリティを意味し、映画の後半では ニューヨークのナイトシーンも映し出されます。

ハリウッドの映画業界に関しては、大物の映画エージェントであるボビーの叔父 ( スティーヴ・カレル ) が 電話口等で スターの名を連発したり、秘書のヴォニーが車でスターの邸宅を案内して回ったりする程度。アレン監督としては軽く楽しんで撮ったのでしょうが、僕としては少々物足りなさを覚えました。

ヴォニー役の C・スチュワートは 適役を好演。特に美しかったのは、アンバートーンの照明の下で、ほんの少しソフトフォーカス撮影されたクロースアップ。
ボビーがニューヨークで見染める優雅なブロンド美人 ヴェロニカ役の ブレイク・ライブリーは、『 アデライン、100 年目の恋 』での大人の雰囲気から 少し逆戻りしたような印象。なんと羽根飾り付きティアラでの装いなど 全く似合っていない気がしましたが、彼女ならではの良さが出ていたのは、昼下がりのテラスのような所で ボビーに〇〇〇〇〇される場面。彼女は ’40 年代の キャリアウーマン or 家庭の主婦を演じたら、当たり役になるのでは? とも感じました。
その他、出演者で素晴らしかったのは、ボビーの親戚の老夫婦役を演ずる ケン・ストットと ジーニー・バーリン。ふたりの寝室でのやり取りが最高に愉快で、アレン監督作品ならではの楽しさ 全開!

 

 

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ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸さんの 肌・心塾
http://biteki.com/beauty-column/ootakahiroyuki

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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