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2016.9.20

【大高博幸さん連載 Vol.360】 『 BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント 』『 聲の形 』『 アイ・ソー・ザ・ライト 』『 ジャニス / リトル・ガール・ブルー 』『 ザ・ビートルズ 』 試写室便り 第 123 回

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©2016Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

『 E.T. 』の S・スピルバーグ監督と、
ディズニーとの夢のコラボレーション。

全世界待望、
感動の ファンタジー・アドベンチャー!

BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント
アメリカ/118分
9.17 より 公開中/配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
Disney.jp/BFG

【 STORY 】 ロンドンの児童養護施設に暮らす 10 歳の少女 ソフィーは、ある晩 ベッドから〝 巨大な手 〟に毛布ごと持ち上げられ、「 巨人の国 」に連れて来られた。ソフィーを連れ去ったのは、夜ごと 子供たちに「 夢 」を届ける、やさしい巨人 BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント。孤独な ふたりが 出会い、次第に「 奇妙な友情 」で結ばれていく。やがて ソフィーの勇気が BFG を動かし、イギリス最大の危機を救うことに……! ( プレスシートより。一部省略 )

今秋 大注目の ファンタジック・アドベンチャー大作です。
原作は、映画『 チャーリーとチョコレート工場 』( ’05 ) や『 ファンタスティック Mr.FOX 』( ’09、通信 49 ) の原作者としても有名な、英国児童文学界の巨匠 ロアルド・ダール ( 1916 ― ’90 ) 。
タイトルロールを演ずるのは、スピルバーグ監督作品『 ブリッジ・オブ・スパイ 』で 昨年度 アカデミー賞Ⓡ助演男優賞に輝いた マーク・ライランス。少女 ソフィー役は、新人子役 ルビー・バーンヒル。

物語は 施設に暮らす ソフィーのベッドタイムに始まり、お待ちかねの BFG が 姿を現わすのは 深夜の 3 時近く。まず 街の野良猫たちが倒して逃げたドラム缶のゴミ箱を そーっと元に戻す大きな手が、次いで ビルの陰から 孤児たちの寝室の窓を見つめる 彼の顔が 映し出されます。
身長は 7 m以上。肌は かなりシワシワで、耳が とても大きく、オールバック風の髪は 後頭部で ハネ上がっている……。しかし、その眼の表情は 非常にデリケートかつ穏やか。彼がスクリーンに姿を現わして 15 秒ほどで、僕は BFG を大好きになりました。さらに、深夜の街を走る車や人影から 巨体を隠す クレヴァーでいてユーモラスな場面、マントを翻して ジャンプしながら 棲み家の洞穴に向かう場面へと続きます。
結局のところ、この映画は 全篇を通じて BFG のキャラクターが 最高に素晴らしく描かれていて、その魅力は スティルを見て想像していた 倍以上でした。ソフィーは、モチロン 可愛らしい。たゞし、スピルバーグ監督が 演技を つけすぎている感じで、少女らしいニュアンスは 少々希薄……。

ラスト近く、バッキンガム宮殿へ押しかけたソフィーと BFG が、女王陛下に温かく迎えられ、やがて ハッピーエンドと相なる辺りは、ファンタジーと現実との融合が 面白くて楽しい。BFG オリジナルの〝 泡が下へ向かって立つ サイダーのような飲料・プップクプー 〟を、女王陛下を含め 侍従たちが賞味する場面の かなり お下品な描写等は、英国人の寛大さをも感じさせてくれました。

ひとつだけ 欲を言うと、BFG が「 読み書きを教えてくれた 赤いジャケットの男の子 」の話 ( 手遅れになってしまった、BFGの 悲しい想い出 ) を ソフィーに聞かせる部分……、そこは 回想シーンを用いて描写するほうが良かったはず。ソフィーが 悪夢を見る場面や、BFG の想像が シルエットで語られる場面もあったので、この重要な部分は 回想形式で 挿入すべきだったと 僕は思うのです。
本作を これから観る皆さんにとっては、かなり分かりにくいコメントになっていると自覚はしています。But、この映画に描かれている 思いやり、友情 ( お互いに お互いの夢を叶えるのが ふたりの夢! )、そして 困難に立ち向かう勇気等々は、誰をも幸せな気持ちで満たしてくれるコト、確実です。

 

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(c)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

俺と 友達に なってほしい。

大嫌いだった。もう一度、会うまでは。

聲の形 ( こえのかたち )
日本/129 分
9.17 より 公開中/配給:松竹
koenokatachi-movie.com

【 STORY 】 〝 退屈すること 〟を何よりも嫌う少年、石田将也。ガキ大将だった小学生の彼は、転校生の少女、西宮硝子へ 無邪気な好奇心を持つ。彼女が来たことを機に、少年は 退屈から解放された日々を手に入れた。しかし、硝子との ある出来事が きっかけで、将也は 周囲から孤立してしまう。やがて 五年の時を経て、別々の場所で 高校生へと成長した ふたり。〝 ある出来事 〟以来、固く心を閉ざしていた将也は、硝子の元を訪れる――。( チラシより。一部省略 )

身辺を整理し、全財産を姉に残した将也が、川へ飛び込んで死のうとするプロローグに始まるアニメーション映画。
これは「 このマンガがすごい! 2015 」( 宝島社刊 )の オトコ編で 第 1 位にランクされた、大今良時の同名漫画の映画版です。〝 不器用で、もどかしくて、でも 伝えたいことが あふれている 少年少女たちの、せつない青春 〟が 比較的 淡々と描かれていて、満員となった試写室 ( モチロン、ジャーナリスト対象 )では、親しみを感じさせる笑声や すゝり泣きの声が 多々 聞かれました。原作について全く無知な僕は、ひたすら 画面を追う状態でしたが、本作は 簡潔に言うと、〝 生きる力 〟に関する映画だと感じました。将也を中心とするキャラクターたちの心理が キメ細かく描かれていて、観る者の胸に迫ってきます。

映画の形として 特に成功していたのは、橋の上での 将也と硝子の 手話による会話……、それを望遠鏡で見ている結絃 ( 姉思いの、硝子の妹 ) が、友宏 ( 将也の唯一の親友 ) に せがまれて、通訳して伝えるというシークエンス。
最も強く印象に残った台詞は、硝子を 必死で助けようとしている将也の「 神様、どうか もう ひとふり、力をくださいっ! 」でした ( 正確でなかったら、お許し願います ) 。

この漫画 ( 原作、講談社コミックス刊 )が 第 1 位に選ばれたという事実を含め、僕は 僕なりに〝 今を生きる若者たちの気持ち 〟を かなり知るコトができた という気がしています。また アニメーション作品としては、幾つもの場面で、背景の 丁寧な作り・美しさに 感動させられました。

 

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© 2016 I Saw The Light Movie, LLC and RatPac ISTL LLC. All Rights Reserved.

1950年代、アメリカ。
人々の曇った心に〝 希望 〟を与えた 一人の男がいた――。

「 ロックの父 」と呼ばれ、29 歳で この世を去った 伝説のシンガー、
ハンク・ウィリアムスの 光と影。

アイ・ソー・ザ・ライト
アメリカ/123分
10.1 公開/配給:カルチャヴィル、ローソン HMV エンタテイメント
isawthelight-movie.com

【 STORY 】 第二次世界大戦後、人々が悲しみや辛い思いに暮れる中、明るい曲調のカントリーミュージックで 時代に希望の光を差した ハンク・ウィリアムス。その生粋のカリスマ性と魅惑的な声、数々のオリジナル曲は 音楽界に革命を起こした。一方で、健全な表舞台が スターに抱く期待とは裏腹に、そのプレッシャーから逃れるよう、妻以外の女性やアルコールで 気を紛らわせるようになる。デビューから 6 年、29 歳という短い人生で手に入れた名声と、その代償として失った 大切なものとは――。( プレスブックより。一部省略 )

1947 年に カントリー歌手として メジャーデビュー、日本でも ’52 年にリリースされた「 ジャンバラヤ 」の大ヒットで トップシンガーとなった ハンク・ウィリアムス。その短く痛ましい人生を描いた伝記劇映画。幼少期からの成長過程は省略されていて、’44 年の暮から ’53 年 1 月初めまでの、栄光と挫折の日々に フォーカスした内容です。

「 細面の顔は 少し神経質そう。でも 笑顔が明るく、誠実そうな感じ 」と、子供の頃に見た 一枚のポートレートから 彼のキャラクターを想像していた僕は、本作で真実の姿を知り、かなり激しいショックを受けました。先天性の二分脊髄症に苦しめられていたコト、深酒の問題があったコト、女性との性的関係が多かったコト。さらに 感情を制御できない性格のために、築き上げた名声を 自ら壊してしまったコト。特に まずいと思ったのは、ラジオ局や映画会社との出演交渉の場に於ける 良識に欠けた言動、取材で訪れた記者に 露骨に示す 気難しさ・短気さ等々、彼の気持ちは 分かる部分も多々ありますが、自ら不快感を増幅させて 相手から切り捨てられるという事態の繰り返し……。
妻のオードリィとは 愛し合っていながら、互いの主張や自尊心の強さのために 結婚生活は 破綻。最終的には、’53 年 1 月 1 日、ニュー・イヤー・ショーに出演するために パウダーブルーのキャデラックで オハイオへ向かう途中、心臓疾患で亡くなってしまうのです。

ハンクを演ずるのは トム・ヒドルストンで、『 マイティ・ソー 』 ( 通信 202 ) の悪役 ロキや『 クリムゾン・ピーク 』 ( 323 ) での強烈なイメージを忘れさせるほど、役に なりきっています。舞台衣装のカウボーイスタイルが よく似合っている上、歌も 彼自身の声で吹き込んだというから立派です。
オードリィを演ずるのは エリザベス・オルセン ( 『 GODZILLA ゴジラ 』『 アベンジャーズ 』で大ブレイク中 ) 。
脚本・監督は マーク・エイブラハム。

作品として 少し地味な印象を与えますが、ハンクを知らない世代の映画ファンにも 一見の価値があります。特にオススメしたいのは、男女を問わず、自分のキャリアとプライベートについて、悩んだり 反省したりするコトが よくある or あった という皆さん。

P.S チラシに使われているスマートな画像は、舞台で「 ラヴ・シック・ブルース 」を唄う場面のスティルです。前述の「 ジャンバラヤ 」は、エンドロールの最後に流れてきます。

 

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(c) 2015 by JANIS PRODUCTIONS LLC & THIRTEEN PRODUCTIONS LLC. All rights reserved.

歌っているときだけ、
ひとりじゃなかった。

20 世紀のポップミュージック史に君臨する女性アーティスト、
ジャニス・ジョプリン。
その伝説の生涯と 真実の素顔を追いかけた 感動のドキュメンタリー。

ジャニス / リトル・ガール・ブルー
アメリカ/103分
9.10 より公開中/配給:ザジフィルムズ
janis-movie.com

【 INTRODUCTION 】 「 音楽史上最高の女性スター 」と称される伝説のシンガー、ジャニス・ジョプリン。ベトナム反戦や公民権運動、ウーマンリブなど、カウンターカルチャーの嵐が吹き荒れた 混沌と変革の時代を 全速力で駆け抜け、1970 年 10 月 4 日、27 歳の若さで この世を去った 彼女の素顔に迫る、新たなドキュメンタリーの傑作。
監督は『 フロム・イーブル / バチカンを震撼させた悪魔の神父 』( ’06 ) が アカデミー賞Ⓡ長篇ドキュメンタリー賞にノミネート、ジャニスが亡くなった年に生まれたという 気鋭の女性監督 エイミー・バーグ。( 試写招待状より。一部省略 )

破天荒で破滅的なイメージが先行する ジャニス・ジョプリンの、真実の姿に迫ったドキュメンタリー。
ジャニスの遺族の全面的協力の下、脚本・監督の A ・バーグは、家族や恋人に宛てゝ綴られた数多くの手紙を軸に 本作を構成。貴重な映像や写真と共に、ジャニスの身近にいた 心ある人々のインタヴューを 綿密に まとめ上げ、彼女のパーソナリティを 見事なまでに浮き彫りにしています。

何度も断ち切ろうとしながら、薬物とアルコールの過剰摂取により、結局は 呆気なく他界してしまうという悲しい最期であったにも拘らず、このドキュメンタリーは 観る者に エネルギーと勇気を与えるだけの、力強いパワーを有しています。特に一見をオススメしたいのは、自分自身のコンプレックスやトラウマを 客観視できずに、苦しい思いを し続けている 大勢の皆さんです。

それにしても、屋外ステージやスタジオ録音映像中の ジャニスの歌唱の迫力は モノ凄い。「 あの バーブラ・ストライサンド ( 歌唱法に共通点があった大スター歌手 ) も、ジャニスには 嫉妬を感じたかも しれない 」と、僕は 改めて思いました。

 

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©Apple Corps Limited. All Rights Reserved.

最新インタヴュー収録!
世界初公開映像 満載!!
貴重なライブ映像が カラーで蘇る!!!

ザ・ビートルズ ~ EIGHT DAYS A WEEK – THE TOURING YEARS
イギリス/アップル公式作品
9.22 公開/配給:KADOKAWA
thebeatles-eightdaysaweek.jp

【 INTRODUCTION 】 1970年の『 レット・イット・ビー 』以来 46 年ぶり、『 ザ・ビートルズ・アンソロジー 』から 21 年ぶりの アップル公式作品! 1963 年 〜 66 年のツアー時期をベースとし、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターが どのように集まり 〝 ザ・ビートルズ 〟 になっていったかを探ります。監督は『 ビューティフル・マインド 』で アカデミー賞Ⓡを受賞した ロン・ハワード。
本作の為に準備された映像は デジタル修復され、さらにカラーで蘇った世界初公開のアーカイヴの数々。モノクロでしか見ることのできなかった ’60 年代のライブ映像が、まるで今の時代の映像のように 鮮明になって、音楽と共に スクリーンで体感できるとなると、ファンならずとも必見です。 ( 新作映画 案内状より。抜粋 )

本作は 完成が公開直前になるため、通常のマスコミ試写は 行われませんでした。なので、誰もが公開中に 映画館で観るコトになります。R・ハワード監督作品ですし、きっと楽しめる内容になっていると想像します。

僕は 本作の案内状を手にしながら、ひとつの出来事を想い出しました。それは ザ・ビートルズの映画 第 2 作『 HELP! 』 ( ’65 ) の日本公開の時のコト。高校生だった僕は、学校帰りに 小田原の封切館・オリオン座へ走って行ったのです。ところが 何かの都合で遅くなり、上映開始時間に間に合いませんでした。すると 館主のオジサンが「 もう 5 分以上、始まってるよ。あしたまで上映してるから、あしたも来て 最初から また観なさい。あしたは 入場券、買わなくて いい。オジサンが ココにいるから、声を掛けてよ 」と言ってくださったのです! そんなコトは 後にも先にも 1 回だけ。現代では、とても考えられない話ですよね。

 

 

アトランダム Q&A企画にて、 大高さんへの質問も受け付けています。
質問がある方は、ペンネーム、年齢、スキンタイプ、職業を記載のうえ、こちらのメールアドレスへお願いいたします。
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info@biteki.com
(個別回答はできかねますのでご了承ください。)

ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸さんの 肌・心塾
http://biteki.com/beauty-column/ootakahiroyuki

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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