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2011.5.9

大高博幸の美的.com通信(57) ビバ、ナタリー・ポートマン!! 試写室便りNo.11

12or13歳の時に大ヒット作『レオン』(1994)のマチルダ役で鮮烈なデビューを果たして以来、約30本の映画に出演してきたナタリー・ポートマンが、『ブラック・スワン』(2010)でアカデミー賞 主演女優賞を受賞!!

コレは「名子役は女優として大成できない」という昔からのジンクスを破った数少ない例で(アメリカではエリザベス・テイラー、日本では高峰秀子さんぐらい)、話題作はあったにしてもイマひとつ開花しきれなかった彼女だけに、僕は(本当は「僕も」と言うべきですが)心からの拍手を贈ります。もうこれからは「『レオン』の…」ではなく、「『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマン」と呼ばれるコトになるのです。
彼女にしてみれば、宿命的につきまとうマチルダのイメージから脱皮しようと苦しんだ、長く重い歳月があったはず。なので特に大ファンというワケではない僕でも、ほとんど突然、彼女がキャリアの絶頂を迎えたコトを喜ばずにはいられないのです。
さらに彼女は、『ブラック・スワン』の振付を担当し、リードダンサーのディヴィッド役で出演もしたベンジャミン・ミルピエと婚約を発表。近く第一子を出産するというのですから、ひとりの女性としても最高の幸せに包まれているに違いありません。ビバ、ナタリー!!
今回は彼女の新作、『ブラック・スワン』と『水曜日のエミリア』を紹介します。

純白の野心は、やがて漆黒の狂気に変わる…。
純真と官能、美と狂気がせめぎ合う映像世界。
それは誰も観たことのない「白鳥の湖」と、禁断の魔性に染まりゆくバレリーナの物語。
『ブラック・スワン』(原題=Black Swan)
★詳しい内容&クレジットetc.は、http://www.blackswan-movie.jpへ。
<5月11日(水)から、TOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー>

ナタリー演ずるニナは、ニューヨーク・シティ・バレエ団に所属する可憐で繊細かつ品行方正なバレリーナ。長年プリマを務めたべスの引退が決まり、監督は次回公演『白鳥の湖』で白鳥と黒鳥の2役を演ずるプリマにニナを抜擢する。しかしリハーサルが始まると監督の予測通り、ニナは白鳥としては完璧だったが、黒鳥の官能的な激しさを表現しきれない。「君の課題は“悪の分身”、黒鳥への変身だ」と言う監督の厳しい指導に疲弊するニナ。彼女は間もなく、次々に起こる不可解な出来事に心を乱されていく。加えて交通事故で大ケガをするベスと、黒鳥役には最適な新入生リリーの存在。どこまでが現実で、どこからが妄想か分からなくなるニナの心理と行動。そして遂に初日の朝が訪れる…。
結末は書けませんが、ラストのシークエンスは圧倒的な迫力を放ち、「限界点を突破した演技」、「入魂の演技」という世評通り、ナタリーは見事な演技で観る者を惹きつけます。バレエシーンの90%以上を吹き替えなしで踊ったというのですから、そのプロ根性にも頭が下がりました。
その他、特筆すべきはリリー役のミラ・ニクスの存在感。その強烈な個性と演技が、この心理ドラマをよりサスペンスフルなものにしています。べス役はウィノナ・ライダーが演じていますが、後輩のバレリーナたちから「もうオバアサンよ」と陰口される役の割には、若く見えすぎる感がありました。コレはモチロン、キャスティングの問題であって、彼女の責任ではないのですが…。
上映時間は108分。予備知識をあまり持たずに観るほうが楽しめると思います。

それでも、人生は愛おしい。
NY セントラルパーク──。
愛を奪い、幸せを奪われたエミリアが、自分らしい愛に出会うまでを描く感涙の物語。
『水曜日のエミリア』(原題=Love And Other Impossible Pursuits)
★詳しい内容&クレジットetc.は、http://wed-emilia.jp/へ。
<7月2日(土)から、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国順次公開>

正直に言うと、日本題名に凡庸な印象を受けたためと、「今回の受賞に便乗した公開?」という下種な想像から僕は期待を持たずに観たのですが、この映画には完全に引き込まれました。寝不足で、花粉症の薬も飲んでいたし、仕事を3件済ませた金曜夜の試写だったのに、です(下種な想像に関しては深く反省。ごめんなさい!!)
既婚者である上司との結婚、略奪女というレッテル、8歳になる夫の息子、生後3日めに突然死したベビー、前妻による干渉と暴言etc。ラスト近く、ナタリー演ずるエミリアは希望を失って立ちすくみ、ひとりで生きていこうと決心するが…。
この作品はリアルすぎない程度にリアルで、多くの嘘っぽいハッピーエンド物とは異質です。当然とはいえ登場人物全員に長所と短所があり、誰もが本質的には優しいのに無意識に人を苦しめたり、時には残酷なほど意地悪になったりする。さらに世の中にありがちな“完全な思い込み”によって、自分を罪の意識の虜にしてしまったりも(コレって“最大の悲劇”のひとつ!)。『水曜日のエミリア』は、そうした描写と展開が真実興味深く、気づかされるor教えられる点の多い作品でした。「学ぶために」などと言うつもりはありませんが、自分自身&周囲の人を見る目を大きく開かせてくれる気持ちのいい内容であるコトは絶対に確かです。
ナタリーは、強めのダークブラウンのアイメーク&ふんわり仕上げたヘアスタイルが美しく魅力的で、演技的にも多様な感情表現に実力を示しています。ただひとつ気になったのは、2~3の場面で頬骨の下からアゴに至る頬が少々重く見えたコト。彼女の頬は日によってムクむ傾向があると以前から感じていたのですが、特に重要なクローズアップがロケ・シーンに含まれている場合など、スキンケアにも体調にも万全を期すべきだし、メークさんもリフティングやシェーディング・テクを細心かつ効果的に施すべき。主演女優orスターとしてのナタリーには、それがとても大切だと僕は思うのです。
苦言も呈しましたが、この映画、ぜひ女友だちと一緒に観てください。これから結婚&出産という人も、子育て中という人も、「私は仕事だけに生きていく」という人も、観ないと女性として損するのでは?と思います。上映時間は102分です。では!!

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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