科学者目線でみるビタミンC。ホントに効くのはどっち?【スキンケア科学者・次田哲也博士の 「人生100年時代」の美肌学 vol.6】
科学的根拠のある、本当に正しい美容情報を。先進の皮膚生理学や気象情報、化粧品開発テクノロジーなどに関する膨大な知見から、今みんなが知るべき情報をわかりやすくひもといてお伝えします。
進化型ビタミンCと、元祖ビタミンC。選ぶべきは?

美肌成分の代表格といえるビタミンC。みなさんも一度はビタミンC入りのコスメやサプリメントを利用したことがあるのではないでしょうか?
実は私、科学者として30年以上にわたり化粧品の開発に携わってきましたが、ビタミンC美容がこんなに人気だということを知ったのはわりと最近のことです。なぜなら、化粧品や食品などの製造業の現場でビタミンCは、製品の劣化を防ぐ抗酸化剤として当たり前のように添加するおなじみの成分だから。美容成分というよりは品質安定剤というイメージが強かったのです。でもそれは、確かな抗酸化力があって人体にも安全という、長年の実績を示すエピソードでもあります。
では、ここで改めて“肌に塗る”ビタミンCの効用をおさらいしましょう。
肌への作用1
ハリ・弾力アップ
肌の中でコラーゲンが合成されるとき、セットで必要となるのがビタミンCです。
詳しく説明すると、肌の真皮にある「線維芽細胞」でコラーゲンは生み出されます。この線維芽細胞に「コラーゲンを合成せよ!」というスイッチを入れるには、いくつかの酵素や、その酵素をサポートする“補酵素”の働きが必要となります。ビタミンCは補酵素の一種。つまりビタミンCには、コラーゲン合成のスイッチを入れて未来のシワ・たるみを防ぐエイジングケア効果があります。肌にハリが出ることで、毛穴などの凹凸も目立ちにくくなります。
論文原著:Pullar JM, et al. Nutrients, 9(8), 2017. Humbert PG, et al. Exp Dermatol, 12(3), 2003.
肌への作用2
シミ・肌の色ムラを防ぐ
美白有効成分としても認められているビタミンC。黒い色素・メラニンの生成を抑える働きがあります。
しかも、ひとつのアプローチではなく複数のアプローチでメラニンの生成を阻害。これからできるシミの予防だけでなく、できてしまったものを薄くすることもできます。
論文原著:Telang PS. Indian Dermatol Online J, 4(2), 2013. Correia G, et al. J Cosmet Dermatol, 22(7), 2023.
肌への作用3
日焼け後の回復をサポートする
紫外線を浴びると、肌のDNAが損傷したり、炎症が起きたりします。ビタミンCには、光への防御力を高めてDNA損傷や赤み(紅斑)を軽減する働きがあります。そしてビタミンEと組み合わせると、光防御力が相乗的に増強することもわかっています。
論文原著:Lin JY, et al. J Am Acad Dermatol, 48(6), 2003. Aguilera J, et al. J Dermatol Sci, 66(3), 2012.
肌への作用4
毛穴の詰まり・目立ちを改善する
ビタミンCは、ふたつのアプローチで毛穴悩みを改善します。ひとつは皮脂の酸化を抑制する働き。酸化した皮脂が毛穴の中で硬く「角栓」化するのを防いで、毛穴を詰まりにくくさせます。もうひとつは、コラーゲンを増やすことで毛穴周りをふっくらと整える効果。キメが整って毛穴が目立ちにくくなります。
論文原著:Klock J, et al. Int J Cosmet Sci, 27(3), 2005. Humbert PG, et al. Exp Dermatol, 12(3), 2003.
肌への作用5
バリア機能を高め、酸化ストレスに強い肌を育む
表皮の細胞が生まれて最表層の「角層」へと移行していく過程で、成熟して構造が強くなったり、細胞の周りにセラミドなどの潤い成分が生まれたりします。肌のこの一連の営みに、ビタミンCが深く関わっています。さらには、ビタミンCの抗酸化作用によって、紫外線などによる脂質の酸化ダメージを抑えるという報告も近年の細胞レベルの研究で報告されています。つまりは、ストレスに負けない強く健やかな肌を保つためにビタミンCが役立ちます。
論文原著:Ponec M, et al. J Invest Dermatol, 109(3), 1997. Kim KP, et al. Biomol Ther, 23(6), 2015. Jarocka-Karpowicz I, et al. Antioxidants, 13(11), 2024.
ツギタ博士 助手コンド 一言メモ
”ピュア”ビタミンC or ビタミンC”誘導体” どちらがイイ?
化粧品に配合するビタミンCには、いくつかの種類があります。
というのも、いわゆる「元祖ビタミンC」は、そのまま肌に塗ると刺激を感じやすかったり、浸透が悪かったりとデメリットがあります。それを克服するために少し性質を変えた「ビタミンC誘導体」が生まれました。
大きくわけると以下の4種。この4種を理解するだけでも、コスメを選ぶときの指針となるはず!
ぜひここだけでも頭に入れてください。

まずはコレが元祖です!
ピュアビタミンC
パワフル度☆☆☆☆☆
浸透度☆
低刺激度☆〜☆☆
いわゆる純粋なビタミンC。「アスコルビン酸」(C6H8O6)」とも呼ばれます。純度が高くてパワフル。反面、化粧品にそのまま配合しても劣化しやすい、肌に浸透しにくい、粘膜に触れたり乾燥している肌ではピリピリとした刺激を感じることがある、つっぱり感が出やすい、というデメリットが。ただ、このデメリットを克服するための技術開発も進んでいて、ピュアビタミンCの安定性や浸透性を高めたアイテムも実現化されています。
成分表記名:化粧品/アスコルビン酸 医薬部外品/アスコルビン酸(略称<以下同>:ビタミンC)
ピュアビタミンCの弱点を補う「誘導体型」その1
水溶性ビタミンC誘導体
パワフル度☆☆☆
浸透度☆☆
低刺激度☆☆〜☆☆☆
分子を結合させて安定化したビタミンCのこと。肌に塗った後、皮膚の中の酵素で分解させる(結合している分子を切り離す)ことで効果を発揮します。ピュアビタミンCよりも安定度が高く、なおかつ水溶性なので化粧水や美容液などいろいろなコスメに配合しやすいというメリットが。ピュアビタミンCよりはマイルドではありますが、それでも乾燥する肌の場合つっぱりを感じてしまうこともあります。
ただこちらも技術開発が進んでいて、pHが中性で刺激を抑えたものや、保湿成分のグリセリンと結合させることでしっとりとした感触を実現する誘導体など、使い心地のよいものも登場しています。
成分表記名:
化粧品/リン酸アスコルビルNa 医薬部外品/リン酸L-アスコルビルナトリウム(APS)、
化粧品/アスコルビルグルコシド 医薬部外品/ L-アスコルビン酸2-グルコシド(AA-2G)、
化粧品/リン酸アスコルビルアミノプロピル(AAP)、
化粧品/3-O-エチルアスコルビン酸 医薬部外品/ 3-O-エチルアスコルビン酸(VCエチル)
など、いろいろな種類があります。即効型、持続型などと性質を示す愛称で呼ばれることもあります。
「誘導体型」その2 油に溶けるビタミンC
油溶性ビタミンC誘導体
パワフル度☆
浸透度☆☆☆
低刺激度☆☆☆☆
油に溶ける性質をもたせたビタミンC。クリームなど油性の化粧品に配合しやすい形です。油性なので皮脂や細胞膜になじみやすい性質をもちエモリエント効果もある一方で、ビタミンCとしての作用はとてもおだやかです。
成分表記名:
化粧品/テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 医薬部外品/テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルEX(VC-IP 、THD-VC)、
化粧品/パルミチン酸アスコルビル 医薬部外品/パルチミン酸アスコルビル(AP)
「誘導体型」その3 油にも水にも溶けるビタミンC
両親媒性ビタミンC誘導体
パワフル度☆☆〜☆☆☆
浸透度☆☆☆☆☆
低刺激度☆☆☆☆
2000年頃から登場し出した、新しく進化した形のビタミンC。油にも水にも溶ける性質を持つため、浸透性にすぐれていて、安定性も高いというメリットがあります。低刺激な上、保湿&エモリエント効果まで兼ね備えたものもあり、敏感肌用コスメやドクターズコスメなどで積極的に採用されています。ただ新しい分、化粧品の原料としては高価なものが多く、肌への実証データがまだ少ないところがあります。
成分表記名:
化粧品/パルチミン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS、APP)、
カプリル2-グリセリルアスコルビン酸(GO-VC)、
イソステアリルアスコルビン酸2Na(APIS)
など、歴史は比較的浅めですが、次々と新しい誘導体が登場しています。
もう迷わない。自分の肌に合うビタミンCの選び方
同じビタミンCなのに、パワフルさに違いがあるなんて不思議だと思いませんか? そのサイエンスな理由を図でご解説しましょう。

そして下は、油溶性ビタミンC(VC-IP)の構造式。ピュアビタミンCの周りに、いろいろな分子が結合しています。

ビタミンCの大きさをほぼ同じにして、両者を並べてみると…?

同じ大きさのマスの中に、左は6つのビタミンC分子が並んでいますが、右だと1つしか入りません。
これを化粧品で考えてみましょう。
1本のボトルの中に、同じ濃度(10%)でそれぞれを配合したとします。
左のピュアビタミンCは10%がまるまるビタミンCですが、右の誘導体の場合は結合しているほかの分子の割合が高くなってしまうため、ビタミンCそのものの含有量は低くなります。誘導体の種類によっては、10%配合でもビタミンCが2〜4%程度となるものもあります。
ちなみにそれぞれのデータは以下となります。
| ビタミンCの種類 | 分子量 | ビタミンCの含有率 |
| ピュアビタミンC(アスコルビン酸) | 176.12 | 100% |
| 水溶性ビタミンC誘導体(VC-PNa) | 322.05 | 54.7% |
| 油溶性ビタミンC誘導体(VC-IP) | 1129.76 | 15.6% |
| 両親媒性ビタミンC誘導体(APPS) | 560.46 | 31.4% |
4種類の中では、油溶性ビタミンが最も含有率が低いことがわかります。また、油溶性でゆっくり働くため刺激が出にくく、マイルドな使い心地となります。
ビタミンCの粉末を舐めると酸っぱいことからも分かるように、ピュアビタミンCは酸性度が高い成分です。だから肌が乾燥していたりバリア機能が低下しているときに塗るとピリピリとした刺激を感じがち。それでも、肌が刺激に強くてそのデメリットに悩むことがないならば問題ありません。パワフルなビタミンCの力を丸ごと、肌で受け止めてください。
一方で、「ビタミンCは魅力的だけど、今まで合わなかったことがあるのよね…」という肌タイプの人は、マイルドな油溶性ビタミンC誘導体や両親媒性ビタミンC誘導体を採用しているコスメがお勧めです。
ツギタ博士 助手コンド 一言メモ
タイプ別 おすすめビタミンCコスメ
とにかくパワフル! ピュアビタミンCコスメ
ロート オバジ C25セラム ネオ 12ml ¥11,000
ロート製薬はピュアビタミンCの研究をとても熱心に行なっているメーカー。高濃度ビタミンCコスメのパイオニアであり、進化をリードし続けている存在。安定性の向上、高濃度処方、浸透アップなど、ビタミンCを肌に効果的に届けるための技術を開発し、特許も取得しています。
この高濃度美容液は、皮脂による毛穴開き、詰まりに悩む肌に特におすすめ。また、5%、10%…と濃度別にラインナップが揃っているので、ピュアビタミンCに慣れていない人は低濃度のものから肌を慣らしていくのもおすすめ。

スピック リポC スキンビューティ 28包 ¥12,320
ピュアビタミンCを、肌に浸透しやすいリポソームカプセルに内包し、1包使い切りのパウチタイプに。ピュアビタミンCの弱点である、不安定さ×浸透の悪さを克服。毎回使い切るプロセスが、お手入れの満足感をより高めてくれます。

みずみずしさと効果感を兼ね備えた水溶性ビタミンC誘導体
スキンケアファクトリー my EVERYフレッシュCマスク 1セット ¥880
2種類のリン酸型ビタミン C 誘導体(APS、APM)を5.5%配合。ビタミンCの粉末を、使う直前に精製水で希釈して紙製マスクに含ませて使う設計。ひと手間かかるけれど、保存料などを使わずにピュアなビタミンCを肌に届けることができます。乾燥肌ではつっぱりを感じることがありますが、反面ニキビや毛穴など皮脂系の悩みを感じるタイプの人から支持の厚いロングセラー。

オルビス ブライトローション[医薬部外品] 2タイプ 各180ml ¥1,980
水溶性ビタミンC「L-アスコルビン酸2-グルコシド」配合。さっぱりとしっとりと2タイプあり、テクスチャーも洗練されているのでつっぱり感が気になりがちな人も快適に使いやすい。

マーベセラー newtra VC30 30ml ¥13,200
水溶性ビタミンC誘導体「アスコルビルグルコシド」を30%配合。美容液のpHが中性に調整してあり、ビタミンC特有のピリピリを感じにくい処方に。保湿成分も配合。

乾燥肌に、ベタつく季節のエモリエントケアに。油溶性ビタミンC誘導体
ドクターケイ 薬用ABC-GプレミアムクリームTA<医薬部外品> 30g ¥8,250
油溶性ビタミンC「テトラへキシルデカン酸アスコルビル」に、水溶性ビタミンC、その他ビタミンA(レチノール)やビタミンEなどさまざまな美肌ビタミンをカクテルしたクリーム。

N organic Basic コンディショニング VCエッセンス 30ml ¥8,580
油溶性ビタミンCに、保湿性をもたせた新しいタイプの水溶性ビタミンC誘導体2種を組み合わせた美容液。効果感とマイルドさを両立。

乾燥する大人肌やゆらぎやすい肌にもおすすめ 両親媒性ビタミンC誘導体
ミルティア ビタマレ タイトニング ローション 150ml ¥5,830
薬剤師である開発者が、自身の毛穴悩みに対処するために処方した〝ひでまりメディカル〟のロングセラー化粧水をリニューアル。リニューアルのたび処方を強化していて、時間差でなるべくすみずみまで長く肌に働きかけるビタミンCの組み合わせをマニアックに考案。3-O-エチルアスコルビン酸に、性質の異なる4種の両親媒性ビタミンC誘導体を配合。

津田コスメ5Cバリアセラム 45ml ¥12,100
両親媒性を2つ、水溶性・油溶性をそれぞれ1つずつ、合計5種類のビタミンC誘導体を組み合わせた美容液。肌が弱くて安心して使えるコスメが少ない肌タイプの人でも使えるように開発された低刺激処方。ヒアルロン酸やコラーゲンなどハリを育む成分も配合。赤みやシワっぽさが出やすい肌に。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
肌や化粧品に関する専門的な内容を、わかりやすくかみくだいて伝えるスキンケア・サイエンスコミュニケーター。博士(工学)。大手化粧品メーカーにて30年以上にわたり、化粧品の臨床評価技術の開発をはじめ、皮膚科学に基づく基礎から応用の研究開発に従事。元東京農工大学客員教授。現在はフリーランスとなり、その活動の幅を広げている。『美的GRAND』本誌でも、サイエンスに基づいてケア法や最新コスメを解説する特集が大人気。https://kairossc.com