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2021.12.31

木村多江さん「こうせねばならない、という価値観を手放したら楽になった」|美的GRAND

俳優として誰も真似できない存在感を放ち、いつ見ても変わらない美しさ。同世代が憧れる木村多江さんにも、体や心が疲弊し、笑顔が消えた時期が。苦しいときを乗り越えて見つけた、心地いい自分。

木村多江
「こうあるべき」をなくしたら、次の扉が開いた−。

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キメが細かく、たるみのないすっとしたフェースライン。木村多江さんの美肌にくぎづけになった。艶やかな黒髪には、50歳の今、白髪もないという。

疲れと睡眠不足で45歳のとき、心身に異常が

毎日のシンプルなスキンケアに加え、4年前から顔のマッサージがルーティンに。朝、歯磨き後に親指を口の中に入れ、人さし指を外から当てて、頬の筋肉を指で押し合うように10~20秒、マッサージしながらほぐす。

「最初はとても痛く、滞りを感じましたが、マッサージ後は血流が良くなり、顔色が明るくなるんです。撮影自粛期間中にサボっていたら、撮影再開後、顔が前後のシーンとつながらず焦りました。自分の顔は毎日見ていると気づきにくいですが、日々変化しているんですよね。老化は進み、表面的なケアだけでは追いつかなくなるので、顔の筋肉を鍛えることも意識しています。セリフを覚えるなど、頭を使うと頭皮や額が固くなり、肩や首がこりますが、そんなときはかっさブラシなどでほぐしています」

たおやかな木村さんだが、出演作では常に役者の底力を見せつけられる。誰も真似できない希有な俳優へのオファーは絶えず、40代前半にかけて、多忙を極めた。仕事や子育てに追われる日々で、睡眠は2~3時間。「常に疲れていて、しんどい」状態が続き、45歳のとき、突然、笑えなくなってしまった。

「当時は人と目を合わせることができませんでした。自分のことは後回しで、仕事や家庭を優先したがために心身に異常が出てしまったのだと思います。健康でなければ、仕事でも走り続けられないことを実感しました」

その後、仕事量を調整すると共に始めたのが、マインドフルネスと呼吸法。気持ちがザワつくときなどに1分程、ゆっくりと深く呼吸をしながら、自分の内側を見つめる。

「『イライラしているな、そんな自分を嫌だと思っているな』みたいに、呼吸と共に今の自分がよく見え、するべきことがわかるようになりました。自分を客観視したり、疲れをこまめに取ったりしながら、心身に大きなダメージが来る前に軌道修正するようにしています。今は、忙しくても週1回はマッサージや鍼に通い、自分ケアやひとりの時間をもつように。お風呂でこりをほぐしたり、好きな香りを楽しんだりという小さな心地よさの積み重ねも、不調の改善につながる気がします。そういうと丁寧にケアしているようですが、三日坊主になりがちなので(笑)、かっさは歯磨き後に行い、ルーティンに組み込んでいます」

傲慢にならないように意識。内面を磨き続けたい

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家族の健康をケアするため、44歳のとき、野菜ソムリエの資格を取得。推奨される「1日350gの野菜をとる」ことを目安に、帰りが遅くなる日は作り置きをする。でも、「3食しっかり食べる」と決めてはいない。食事も体の声に従ってとる。ある時期から、「こうせねばならない」という考えを手放したそう。

「決めたことができないとストレスなので、私は決めない方が楽なんです。『してもいいかな』程度に留めておけば、周りにも『そういう考え方もあるね』と寛容になれる気もします。数年前、自分の一言に傲慢さが表れていてドキッとしました。多少なりとも自信がつき、価値観が明確になると、気を抜くと傲慢さが漏れてしまう。人として大事なこと、謙虚さを忘れないようにしたいですね」

華やかな芸能の世界で容姿にコンプレックスをもち、20代のときに「目の整形手術を考えた」ことがある。でも手術をせず、最終的にたどり着いたのは、「内面を磨く」ことだった。

「筋トレと同じで、内面は磨く程、応えてくれますから。といっても、特別なことはしていないんです。『喜んでくださる方がいるなら80点でも合格点』と考え方を変えたり、『思いやりをもつ』ことを意識するようにしています」

ほぐして、緩めて、決めごとを作らない。そんな木村さんはさらに役幅も広がり、今はシリアスからコメディまで幅広く活躍している。

「特別なとり柄のない私でも楽しんでくださる方がいると思うと、勇気をもらえます。一方で、守りに入りがちな自分もいます。何かに挑戦したくても、最初の一歩が遠くなりました。それでは成長できないから、今は何事も『やっちゃえ!』精神です(笑)。『助けて』と周りに頼れるようになったことも大きいですね。ささやかな幸せを大切に、どうせできるなら、怒りジワより笑いジワを作っていきたいですね」

PROFILE
きむら・たえ/女優。1971年東京都生まれ。舞台活動を経て、ドラマ『白い巨塔』『救命病棟24時』などで注目を集め、映画やドラマに多数出演。2008年の初主演映画『ぐるりのこと。』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など多数受賞。主演ドラマ『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』も話題に。出演する映画『あなたの番です 劇場版』が12月10日に、『前科者』が’22年1月に公開。日本舞踊(師範)、野菜ソムリエの資格をもつ。

 

『美的GRAND』2022冬号掲載
撮影/竹内裕二(BALLPARK) ヘア&メイク/土谷郁子(FACE-T) スタイリスト/成子美穂 構成/松田亜子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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