【女性のキャリア】について考える|「WRAY」代表取締役 谷内侑希子さんの転機とは?
人生には何度かターニングポイントを迎えるタイミングがありますよね。『美的』読者はまさにその世代。美容はもとより、仕事、恋愛、お金、人生など、価値観の大きな変化を感じることがきっとありますよね。今回は「WRAY」代表取締役の谷内侑希子さん。ものの見方が変わるヒントも満載!ぜひチェックしてみてください。
「WRAY」代表取締役 谷内侑希子さんの「転機」の話。
定期的なセルフケアが人生を、キャリアを変える転機に
すべての女性がベストパフォーマンスを発揮できる社会にしていきたい。そんな思いから、昨年、女性のためのセルフケアブランド「WRAY(レイ)」を立ち上げました。私自身、20代から30代にかけて、女性特有の体調不良や心と体のゆらぎを経験。新卒で入社した会社ではハードワークがたたり、睡眠不足やストレスから膀胱炎や生理不順に。当時は、仕事を頑張りたかったのに体がついていかないことがショックでした。そこで初めて、自分が思う以上に女性の体は繊細なものなのだ、と痛感。このころから“セルフケア”の大切さを意識するように。何かおかしいと感じたら病院へ行くことがいちばんですが、ハードルが高いと感じる人も多いのではないでしょうか。また、生理痛や更年期などの不調を「みんなもつらいから」「病気じゃないから」と我慢する文化が根づいていることも問題だと感じました。婦人科へ足を運ぶきっかけとしてもセルフケアは大切で、そこに「WRAY」が役に立てたらと思っています。
自分がベストな状態でいられるよう、定期的に「今」を見つめ直すセルフケアはとても重要。これって実はキャリアについても同じことが言えます。私の場合は「今、自分がやりたくないことをしていないか」と半年おきくらいに見直します。このままの仕事内容だと成長しないから新しいことをやらせてもらおうとか、仕事量が多すぎるから減らそうとか。そうすると、理由なくやっていることが減るので、心のモヤモヤが軽減してストレスケアにもいい。「自分が選んだこと」という感覚があると、自発的に動けるし、自信もついてきて、環境に左右されなくなるんですね。私自身、上司と合わなかったり、自分に自信がもてなかったりしたことが理由で仕事を辞めた経験があります。こう言うと強い女みたいに聞こえますが(笑)、「他にも道がある」という気持ちがあると、だいぶラクに。でも、これって自信がないとできません。私自身は小さな成功体験を積むことで、少しずつ自信に繋げてこられたのかなと思います。生理休暇や育休・産休制度などの社会制度も整ってきてはいますが、理解を得られず肩身の狭い思いを経験した女性も多いのでは。でも、今は世間の状況も少しずつ変わってきていると感じます。フェムテックが増え、世間でも議論されるようになり、野田聖子幹事長代行が会長で「フェムテック振興議員連盟」が発足したことも明るいニュースととらえています。仕事の現場に、もっと女性リーダーが参戦してくれたらとも思います。そうすれば、今よりも女性が自信をもって活躍できる社会に近づいていくのではとも思っていて。
まずは、定期的に「今」の自分を見直して、セルフケアをしてみてください。自分を大切にすることで自信が生まれて、そこでの気づきが他者を大切にすることにも繋がると思うからです。こうした心がけが、それぞれの人生やキャリアの転機の一助になると信じています。
『美的』2021年5月号掲載
イラスト/市村 譲 構成/野村サチコ、宮田典子(HATSU)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
たにうち・ゆきこ/1984年、大阪府生まれ。早稲田大学商学部卒業。’07年、ゴールドマン・サックス証券に入社。その後は、メリルリンチ日本証券、コンサルティング会社、ブランドPR・マーケティング会社などを経て、’20年4月に「WRAY(レイ)」を起業。美容液やシルク腹巻き、ハーブティーなどの商品を「WRAY」公式オンラインストアにて販売中。