漫画『トクサツガガガ』と通な炭酸パック！ “オタク”を極めるとこうなる…連載・薬剤師津田マリエの“効く”漫画＆コスメの処方箋

仕事やプライベートに、何かとストレスフルな時代。そんな沈んだ心をものの20〜30分で、スッと軽くくれる漫画をご紹介。この連載は、年間300本以上の作品を読む、薬剤師の津田マリエさんが、悩みや症状に合わせて“心が元気になる漫画とコスメ”を毎回処方。読んで、試して、心も見た目も引き上げちゃいましょう！

秋の夜長は”好きを追求する”ベストタイミング

「夜が長い秋は、好きなことを家でじっくり楽しむのに最適な季節。漫画を読みふけるのもよし、美容をとことん楽しむのもよし。今回は、自分の”好き”をとことん楽しむ、特撮オタク女子の漫画をご紹介します」

処方箋No.４

・こんな症状におすすめ
周囲に性格が全く合わない人がいる。人に大きな声では言えないような趣味がある。
・処方マンガ
「トクサツガガガ」丹羽庭（小学館）

・薬効
性格が合わない人にも、ちょっとだけ寛容になれる。人に胸を張って言えない趣味でも”自分が好きならそれでいいじゃん！”と思える。

・副作用
オタクが読むと共感しすぎて、自分を見ているようで何とも言えない気持ちになる（実は私もです（笑））

・何巻まで処方
最低でも魅力が出てくる２巻までは必須。３巻まで読むと、完全にハマってしまいます。

・あらすじ

主人公は、OLの仲村さん（２６）。実は、彼女「隠れ特撮オタク」（ちなみに、特撮とは正義のために怪獣や悪い奴と戦う特撮ヒーローのことです）。オタク活動の資金のために毎日作る”節約お弁当”が、職場ではまさかの”女子力高め！”という評価に。それもそのはず、彼女はオタバレを恐れ、職場では趣味や性格が合わない同僚たちにも、適度に話を合わせて過ごしているからです。そんなオタク女子の日々の葛藤や、オタクライフはもちろん、悩んだ時に励まされる”ヒーローの言葉”は名言が多く、コメディーながらも、心が上向きになる物語です。

ここが元気になるPOINT

全部を受け入れなくても、仲間としてやっていける
「ある日、ひょんなことから同僚たちと、今話題のイケメン俳優の映画を観に行くことになった仲村さん。このイケメン俳優、なんとデビュー作は特撮もの。そのことを知った同僚のひとりが”特撮なんて黒歴史”と言ったことで、仲村さんは”しょせん、分かり合えない別の星の生き物”と割り切ろうとするんですよね。ですが、帰り際に、黒歴史と言った同僚が、パンフレットを見て萌えてニヤついているではないですか。その姿はまさに”わかる！”と思いっきり共感。ふと「私たちは皆異星人だから、受け入れ難いところはなくならない。でも、全部を受け入れないと、仲間としてやっていけないだろうか？」という、ヒーローの言葉が浮かぶんです。そして、分かり合えないことを恨むより、こちら側に来た時に歓迎する気持ちでいる方がずっといいと考え直すように。職場や学校などで、趣味が合う人がいっぱいいる方が稀。ほんの少しでも相手との共通点を探したり、歩み寄ってくれた時は歓迎しようと思うだけで寛大になれるかも！と思わせてくれたシーンでした」

仲間との出会いにほっこり

「仲間は欲しいがオタバレしたくない仲村さん。なんとか仲間だけが自分に気がついてくれる方法を模索して四苦八苦。同じ特撮オタクや別ジャンルのオタク仲間に出会って行くシーンは、とってもほっこりした気持ちに。趣味が合う仲間に出会えることは、大人になるほど難しい！だからこそ、出会えた仲間のありがたみを感じます」

好きなものをわざわざ公言しなくていい！

「ある日落としたオモチャが、会社のロッカーに届けられ、社内の誰かが趣味を知っていると怯えるんです。そんな時、カツラであることを周囲に隠している課長と話し、カミングアウトは自分のタイミングで良いのだと気づく仲村さん。オタクがカミングアウトするのって、結構勇気がいります。現に私も２年前まで隠れオタクだったので、仲村さんに共感しっぱなし！ガガガの中で、『詳しかろうが黙ってようが恥じてようが詳しくなかろうが、好きと思ったら好きになる権利がある』という言葉があるんです。周囲からは”気にしなくても大丈夫だよ”と言われるけれど、あまり大きな声で人に言いたくない趣味を持つ方、好きだけれど人に言うほど詳しくないし、と思っている趣味を持つ方。これで良いんだと勇気をもらえますよ。私も思いっきり、頷いてしまいました」