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2023.12.24

小池栄子さん「目標は50歳で朝ドラヒロイン!生きざまが現れた顔で役を生きたい」美的GRAND

俳優として多くの作品でメインキャストに名を連ねる。バラエティ番組でのまっすぐな物言いや機転の良さは小気味良く、レギュラー番組はその多くが長寿番組。気づけば、「小池栄子」を、いつも心待ちにしている。ゆっくりでも遠回りでも、正直に積み重ねた日々が飾らない美しさを育む。

小池栄子
うつくしきは、飾らないひと。

ドレス¥757,900、ベルト¥167,200、シューズ¥266,200(ラルフ ローレン〈ラルフ ローレン コレクション〉)

Beauty Routines

1.朝晩のシートマスク

ディスカウントショップで買う7枚700円くらいのものが良くて!使い始めてから肌を褒められています

2.デトックスティーやコンブチャ

毎日1L程飲んでいたら、腸内環境が良くなった気がします。

3.個包装のマヌカハニーを携帯

風邪予防やのどにも良く、小腹がすいたときも体重を気にせず、甘さへの欲望が満たされます。

4.みそ汁

ドラマの撮影中、昼は好きなものを食べ、夜は具だくさんのおみそ汁。翌日の顔のむくみ方も違うんです。

5.最低でも8時間睡眠

日常生活は睡眠優先。スマホを見ながら寝落ちすることもなく、しっかり寝ています。

6.お風呂

夏でも絶対に湯船につかります。温泉系、薬草系のガツンと効きそうな入浴剤が好き。

正直に生きてきた自分を誇りたい。生きざまが現れた顔で役を生きたい。

ドレス¥409,200、シューズ¥266,200(ラルフ ローレン〈ラルフ ローレン コレクション〉) ペンダント¥1,012,000、ゴールドブレスレット¥1,320,000、ホワイトゴールドブレスレット¥3,520,000(ブチェラッティ) ショール/スタイリスト私物

すっと足を上げると、軸がぶれずにポーズが美しく決まる。10代からダンスで鍛えた体は、40代になってより引き締まり、透明感のある肌はみずみずしい。だが本人は、「美容を意識したのはつい最近」だという。

高い化粧品より、いい野菜。普通の暮らしが芝居に生きる

「美肌のもち主だった祖母からの『メイク落としはきちんとやりなさい』という教えを守っている以外は無頓着で、後輩のMEGUMIに注意されまして。彼女の本を参考にシートマスクを朝晩の習慣にしたら、肌をよく褒められるんです」

とはいえ、エステにもほとんど行かず、美容医療にも興味がない。シミ取りも、「見かねた夫に強制的に連れていかれたことがある(笑)」程。

「でもね、大河ドラマで1年演じた北条政子の晩年は、自分のシミを生かしてメイクをしたんです。私自身の生きざまが現れた顔で役を生きるのが自然で、そういう芝居も目指したいと思いました。ちなみに、私は目が強いので自分でメイクをするとキツく見えがち。その状態で意見をするとパワハラに聞こえそうなので、引き算メイクを頑張っています…」

「高い化粧品より、おいしい野菜を買いたい」と、基礎化粧品はドラッグストアで買い、日用品はセールでまとめ買い。後輩に食事を奢るときはけちりたくないからと、日常生活は節約志向で電車やバスにも乗る。「普通の暮らしを大事にしたい」という思いは芝居に確実に生きている。コツコツとキャリアを重ねる中で、主婦や母親役から、孤独を抱え、狂気をはらんだ役も高く評価されてきた。

俳優として円熟のときを迎えた今秋、42歳でGP(ゴールデンプライム)帯の連続ドラマで初主演。ただ、オファーには戸惑いもあった。

「『2番手、3番手の方が輝くよね』と言われたことがあったんです。主役ポジションではない自覚はあるし、助演の方が個性を生かしてもらえると思っていたので、主演にはどこか後ろ向きな思いがありました。でも、大河ドラマで共演した小栗旬くんが現場で役を作り上げていく熱量を見て、いつか同じ場所の景色を見てみたいと思うようになって。思いきって一歩を踏みだしてみたら、作品作りでは主演も主演以外も関係なく、主演はこうあらねばという私の考えはおこがましかったなと感じまた。あとね、当たり前ですが、主演ってたくさん映るんですよ!メイク直しが大変(笑)」

いつか淘汰される存在。30代はそう考えて行き詰まっていた時期がある。同世代の俳優仲間の芝居に圧倒され、心が折れそうになることも多かった。

「型にはまった芝居しかできないコンプレックスがあり、自分の芝居にも飽きていました。似たような役が続き、表現のカードの手もちのなさがバレていることへの焦りもあったし、演じられる役はもう決まっていて、今とは違う部屋には行けないまま呼ばれなくなるのだろうなと思ってもいて。今も自信はないけれど、なんとか現状維持している自分を、自分くらいは褒めてあげたいと思っています」

疲れたら愛犬に癒され、声を出して笑う

ジャケット¥550,000、チュールトップス¥108,900、チュールスカート¥154,000(アオイ〈ファビアナフィリッピ〉) イヤリング¥1,155,000(ブチェラッティ)

悩みながらもキャリアを充実させ、唯一無二の存在感で輝く小池さんには快哉したくなる。年齢と経験と考え方のバランスがとれるようになると、「守りに入りがちな性格」にも変化が。

「過去の成功体験に執着したくないと思う反面、一度手にしたものを手放すことへの怖さがあり、新しい挑戦に躊躇したり、『この仕事は私ではないのでは』と思うことがありました。でも、ドッキリ番組のMCのオファーをいただいたとき、若いタレントも多い中でなぜ私なのか不思議に思っていたら、夫が言ったんですよ。『視聴者の小中学生は、お前のことなんて知らないから』って。ガーンと来ましたね。今では地方に行くと『ドッキリのお姉さん!』と子供たちが声をかけてくれるんです。何かひとつ挑戦すると、違う景色が見えてくる。成功体験や見られたいイメージなど、私が守りたいと思っていたことは実は手放していった方がいいのかもしれない。その方が新しい自分に出会える気がしています」

自身の強みを問うと、少し考えて「正直なところかな」と答えた。

「縁あってお仕事でご一緒できた人と再会したとき、『あのとき楽しかったね』と言えるように、どんなジャンルにも全力投球してきました。ただ、ミステリアスな役が素敵な女優さんが、『栄子ちゃんはいつもそのまんまだよね』といい意味で褒めてくださったときは、私はバラエティでしゃべりすぎて、今さらそっち側には行けないんだ、正直がいいわけではないんだと反省(笑)。でも、正直に生きてダメだった方が納得できる。自分を取り繕い、うそをついてしがみついていると何がダメだったのかもわからないし、自分とも人とも向き合えない。正直に生きる方が私は楽みたいです」

経験も成功も手放した先の自分を見たい。目標は50歳で朝ドラヒロイン!

飾らない、正直な生き方が育む自分らしさ。考えすぎて一歩を踏みだせないときは、大切な人々からの「栄子は大丈夫」という言葉を思い出す。しんどいとき程声を出して笑い、愛犬に癒される。そんな小池さんの次の夢は「50歳で朝ドラのヒロイン」だ。

「やらせていただけるなら、ひざ頭にどれだけ年齢が現れていても子役からやりたい(笑)。そういうチャレンジ枠も面白いですよね!仕事ではあと何本の作品に出られるかな、どのくらい愛犬と過ごせるかなと考えると、日々を大切に生きたくて、くよくよした気持ちを引きずることはやめました。明日どんな人と会えるのかな、どんな景色が見えるのかなと前向きに過ごしていれば、いろんなことがいい方向に向かう気がします。今回のベスト・ビューティ・ウーマンも、必死で生きてきた姿を見て選んでいただけたことが本当にうれしかったです。憧れる“別の部屋”への扉は縁があればきっと開く。そう思って、焦らず行きたいです」

小池栄子
こいけ・えいこ/1980年東京都生まれ。’98年にデビュー。バラエティ番組などで人気を博し、俳優としても高く評価される。2011年の映画『八日目の蝉』で日本アカデミー賞助演女優賞など多数受賞。近年の主な出演作に映画『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、主演ドラマ『コタツがない家』など。舞台『骨と軽蔑』が’24年2月23日〜4月7日まで3都市で公演。

『美的GRAND』2024冬号掲載
撮影/中川真人(CUBISM) ヘア&メイク/山口公一(SLANG)スタイリスト/えなみ眞理子 構成/松田亜子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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