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2025.8.30

【2025年上半期ベスコス】ジャーナリスト&アーティストが’25年上半期のベストコスメを総括|美的GRAND

長年、ビューティ業界を確かな目でウォッチ・分析し続ける6人のプロによる特別寄稿

美容ジャーナリスト・齋藤 薫さん「エイジングケアの先にあるものが、もう見えてきた!」

美容ジャーナリスト

齋藤 薫さん


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「経年美化」を化粧品として最初に唱えたのは資生堂のフューチャーソリューションだったが、実際に今の資生堂はもうエイジングケアの先を見ていて、今期の話題作・赤い美容液アルティミューンの「老化細胞」を除去する働きは、まさに究極。もはや抗老化でなく、誰も経験していない新しい自分の未来を見せてくれるはず。一方で資生堂は、高効果×低価格×一品で何もかも……という誰もが願う究極の夢も本気で叶え、エリクシールのデーケアレボリューション最新作はその全てを完全にクリアしてしまった。非常に高いレベルで。まず、美白もエイジングケアも最先端。特に美肌の鍵の鍵“基底膜”を立て直す大発見も成し遂げた革命レベルの超美肌効果を持ちながら、最高レベルのUVケアに下地効果……と、まさに朝はこれ1本で最上級のスキンケアができてしまう最高峰のオールインワンなのに、なんと三千円台!? というありえない価格を実現してしまった。これぞ夢の実現、コスメの明るい未来と言えるのではないか? 今期において決して派手な存在では無いけれど、この一品に出会えば、肌の未来も明らかに変わる。これだけで年齢に抗わずに平然と新たな美しさを貯金できるのだから。

で、こういうスーパーマルチ化は、今期一気に進んでいて、特にUVケアは何もかもやってくれる新名品が続々登場している。そういう意味でも1番注目すべきは今期UVケアなのだ。SK-II ジェノプティクス CC プライマーも、何もかもやってくれて肌色補正まで担うUV。美白のレジェンド、ポーラのホワイトショットのUVケアもまた凄い。高温になるほど汗が出るほどUV膜が強くなる逆転技を実現した上に、美白に美肌効果と、もうこれ以上何を望めば良いのかというほどの完全無欠マルチに成功しているのだ。今年はマルチUVに集中したが、こういう最先端の劇的マルチ化は今、進化が加速度を増していて、来年はもっとスゴイことになるはずで、今の大人世代は本当にラッキーである。

ちなみに冒頭で語った「老化細胞」除去はファンケルのサプリでも取れるが、これこそマルチもマルチ、髪から内臓まで含めて、全身の経年美化が期待できる。こうやって大人が“すべきこと”がどんどん簡潔かつ最大級のものになってきているのは紛れもない事実。正直、チマチマ美容する時代は終わるのかも。真のトータル美容が、これからの人生の理想「経年美化」を本当に叶えてくれるのだから。

A. 人気UV乳液が新たにミトコンドリアにも着目し、リニューアル。
エリクシール デーケアレボリューション ブライトニング +ba [医薬部外品] SPF50+・PA++++ 35ml ¥3,740(編集部調べ)
デーケアレボリューション ブライトニング ba[医薬部外品]の詳細はこちら

B. 熱を受けて潤いが浸透し、紫外線による乾燥を予防。
ポーラ ホワイトショット セラムUV [医薬部外品] SPF50+・PA++++ 45g ¥7,150
ホワイトショット セラムUV[医薬部外品]の詳細はこちら

C. 新成分・発酵カメリアエキス+が、不要になった老化細胞にアプローチ。
SHISEIDO アルティミューンTM パワライジング セラム 50ml ¥15,180
アルティミューン(TM) パワライジング セラムの詳細・購入はこちら

D. 保湿・明るさ・ハリをケア。トーンアップ効果をもつロージーピンクが新登場。
SK-Ⅱ ジェノプティクス CC プライマー 全2色 SPF50+・PA++++ 30g ¥9,900(編集部調べ)
ジェノプティクス CC プライマーの詳細・購入はこちら

E.疲れを感じやすい大人世代の一時的な疲労を軽減し、前向きな気分にアシストするサプリメント。
ファンケル ウェルエイジ プレミアム 30日分 ¥5,870

美容ジャーナリスト・吉田昌佐美さん「アプローチは深く、機能は多彩に。“働く”コスメが続々と。」

美容ジャーナリスト

吉田昌佐美さん

今期の注目といえば、UVケアは外せません。テクスチャーはさらに軽やかに心地よく。日中の肌を快適に保つスキンケア効果、トーンアップなどの美肌仕上げも標準装備に。崩れないUV膜の進化も見逃せません。なかでも富士フイルムのアスタリフトのUVは、これまで防ぐことが難しかったDeep紫外線をブロックする独自の紫外線防御剤を開発し、全紫外線カット率98.8%という圧倒的な防御力が話題に。ニーズが多様化する中で、「紫外線ダメージから肌を守る」UVケアの本質を突く一品。UVAの防御力はPA値が目安になりますが、最大が+4つでよい? そんなギモンが出てきそうな進化を感じました。

守りを固める一方で、攻め込みたいのがエイジングケア。今期は細胞老化に着目した頼もしい製品が誕生しました。ディオールのカプチュールは、老化細胞の蓄積や肌再生の低下につながる「細胞呼吸」の減少に着目。細胞内に適切な酸素量を取り込む「酸素運搬体」の働きを模倣(再現)するという革新的なテクノロジーを(自然由来の成分で)開発し、細胞の酸素供給をスムーズにすることで肌の再生力を底上げ。肌に溶け込むように浸透して内側からピンとハリを感じる手応えは、何度も触れたくなる程。

また、資生堂のHAKUは、シミ部位の肌では細胞老化によって紫外線を浴びずとも「シミがシミを呼ぶ」悪化の連鎖を突き止め、資生堂独自のトリプル薬剤を配合して処方をパワーアップ。頑固なシミを全方位でケアし、新しいシミを作らせない。HAKU20年のシミ知見を結集した期待の1本です。

多忙な上にトラブルが出やすい大人の肌は、一品で肌を変えてくれるアイテムも備えておきたいもの。濡れた肌につけて1分マッサージして洗い流すだけでつるんとした透明感のある肌が蘇る、SUQQUのねっとりクレイベースのスクラブ。テカリ肌が一瞬にしてさらさら、毛穴の目立たないなめらかな肌がずっと続くプリマヴィスタのパウダーは、ミラクルな肌変え効果をもたらす今期のイチオシ。過酷な夏の救世主となるはずです。

45年にわたりコスメの最前線を見てきて思うのは、化粧品の進化にゴールはないということ。今、私たちが手にするのは最新の研究と技術力の“結晶”。肌の元気と美しさをまだまだ更新できるのだから、味方にしない手はありません。

A. 肌奥まで侵入するDeep紫外線のカット効果がさらに充実。
富士フイルム アスタリフト D-UVシールド トーンアップ ナチュラルホワイト SPF50+・PA++++ 30g ¥4,290
D-UVシールド トーンアップの詳細はこちら

B. ハリとシワに深くまで長時間アプローチする美容液。即効性も人気。
ディオール カプチュール ル セラム 50ml ¥23,320
カプチュール ル セラムの詳細・購入はこちら

C. 3種のクレイにダブルスクラブ配合。大人の肌を優しくしっかり角質ケア。
SUQQU クリアリング スクラブ 100g ¥4,950
クリアリング スクラブの詳細・購入はこちら

D. 皮脂や汗にも強く、滑らかな毛穴レス肌をロングキープ。
花王 プリマヴィスタ スムースラスティング ルースパウダー レフィル ¥3,080・専用ケース ¥1,100(編集部調べ)
スムースラスティング ルースパウダーの詳細はこちら

E. 10代目が登場。デビューから20年分のシミ予防研究が集結。
資生堂 HAKU メラノフォーカスIV[医薬部外品] 45g ¥11,000(編集部調べ)
メラノフォーカスIV[医薬部外品]の詳細はこちら

エディター・大塚真里さん「進化するコスメが、大人の日常に彩りをくれる 」

エディター

大塚真里さん


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新製品が発売されて読者の方々の手に届く。その数か月前に、私たち美容メディアの者は“新製品発表会”や“研究発表会”に参加し、ブランドの現在の考えや今季打ち出したい製品の概要を知ることになります。メイクの場合、発表会はトレンドの傾向を知りブランドの世界観に浸る場となり、ただただ楽しい。しかしスキンケア、特にエイジングケア製品となると、発表会はさながら授業。近年は「コラーゲンを作る力を応援します」みたいなシンプルなことではなく、人が健やかに生き存らえるための体の生理活性機能に着目して美肌のために応用、というアプローチの研究内容が多いです。若返りやリセットではなく、これから先をいかにすこやかに、かつ美しく生き切るか。人生100年時代、折り返しの道も長いグラン世代にとって、今の本質的なエイジングケアコスメが頼もしい味方になることは確実です。

一方で、化粧品は生活必需品ではなく贅沢品であり、研究も開発もビジネスに直結するもの。理解して発信するジャーナリストも購入するユーザーも理系脳でない人がほとんどですから、わかりやすさが強みになります。研究は本質的で深く、打ち出しは明快で興味をそそる。たとえば、肌のくすみ要因へのアプローチを増やし続け、今季新たに肌の内部反射光へのアプローチを加えたSK-II 美白美容液の「圧倒的にまばゆい、新レベルのオーラ」。日中のダメージによる炎症を網羅的にケアして炎症老化を防ぐFAS デイクリームの「守りながら美しく。発酵生まれのスキンケアUV」。中身にも発信にも工夫を凝らしまくっている製品が今季話題を集めており、この二刀流は今後の主流になっていくと感じました。

さらにもう一方で。美容はエンタメでもあり、肌にいい、悪いだけでなく“気持ちいい”“ワクワクする”、そんな要素も絶対に欲しいもの。ポール & ジョー ボーテのゆるゆる快感ジェリークレンジング、お洒落な見た目と裏腹な中身の本格派ぶりに驚くバイユアのデイリーシートマスク、大人気形状のクッションを眉にあてて度肝を抜かせたHBL BEAUTYのアイブロウなど、コスメ好きの心を躍らせるエンタメ品も今季たくさん見つかりました。

すごいサイエンスに感嘆し、楽しいコスメで心をワクワクでいっぱいにして。進化した今季のコスメは、大変なことも多い大人の日常に明るい彩りをもたらしてくれます。

A. グルタチオンをナノカプセル化して配合。ハリ艶をプラス。
Hamee バイユア グローブースト マルチ V デイリーマスク 20枚入り ¥2,640
グローブースト マルチV デイリーマスクの詳細はこちら

B. 738種もの成分を含有する独自の黒米発酵液を配合。UVクリームでシワ改善&美白ケアも。
シロク FAS ザ ブラック デイ クリーム [医薬部外品] SPF50+・PA++++ 40g ¥6,600
ザ ブラック デイ クリーム[医薬部外品]の詳細・購入はこちら

C. 肌の上でリキッドがパウダーに変化し一体化。眉毛ケアもかなう。
HBL BEAUTY HBL 3Dクッションブロウ 01 ¥3,960
3Dクッションブロウの詳細はこちら

D. 美白のほか、シワ改善や肌あれケアなど8つの承認効果をもつ。
SK-Ⅱ ジェノプティクス インフィニットオーラ エッセンス[医薬部外品] 30ml ¥22,000(編集部調べ)
ジェノプティクス インフィニットオーラ エッセンス[医薬部外品]の詳細・購入はこちら

E.スピーディにすっきり&後肌はしっとりメイクオフ。
ポール & ジョー ボーテ クレンジング ジェル N 160g ¥3,850
クレンジング ジェル Nの詳細・購入はこちら

美容エディター・もりたじゅんこさん「AI技術でコスメの進化も急加速? この時代に生まれたことに感謝」

美容エディター

もりたじゅんこさん


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今年に入って、「AIに聞いてみたら◯◯で〜」という話を何度聞いたことでしょう? もはや私たちは未来を生きる人。子供の頃『ドラえもん』を見て思い描いた21世紀を、はるかに超える新時代を迎えていると思うのです。世が急変する中、人生は100年続くのだから、あと数十年は自前の脳や体を元気にもたせてついていかなくてはいけません。そうなってくると美容も、シミだのシワだの“過去にできたもの”をどうこうするより、未来の肌をいかにたくましく育てていくか、というところに気が向きます。そんな時代の流れを反映してか、2025年上半期はポジティブで未来志向な秀作コスメがたくさん登場しました。

免疫美容のパイオニア「アルティミューン」の研究チームは、老化細胞をやっつける因子がもともと人間の体に備わっていることを解明しました。100歳を超えても元気な人はその因子をたくさんもっていて、そうでない人もケアによって増やすことができるというのだから夢のある話です。AIで時代の流れが急加速したように、アルティミューンも5代目になって目覚ましい進化を遂げました。同様に、コスメデコルテAQ毛穴美容液オイルの未来度もすさまじい。異次元の計算力をもつ「量子コンピューター」を処方開発に用いることで、人間だったら100年以上かけないと作れなかったであろう最良のレシピが完成したとのこと。使ってみると毛穴ケア機能はもちろん、使い心地や後肌の感触も抜群だったりして「お見それしました」とひれ伏す思い。100年分の進化って、歴史に残る快挙だと思います。

一方で、確実にきたる近未来にターゲットを定めて万全の美肌育成環境をかなえてくれるのがポーラ ホワイトショットのUV。日本の夏は年々暑く、長くなっているという現実を逆手にとって、それならば熱を帯びたり汗をかくほどスキンケア効果が上がる処方を開発。まるで将棋のように敵を味方へと引き込み活躍させる知将ぶりは、今まで積み重ねてきた技術が相当厚いからこそできること。あっぱれというほかありません。

私たちが年齢を重ねるよりも、コスメの進化の方が速度が早い。そんな時代に生まれた幸せをしみじみ噛みしめています。肌の未来は、永劫明るい!

A. 抗炎症や美肌機能もそろうマルチな日中用美白クリーム。
ポーラ ホワイトショット セラムUV[医薬部外品]SPF50+・PA++++ 45g ¥7,150
ホワイトショット セラムUV[医薬部外品]の詳細はこちら

B. 老化細胞に着目した、エイジングケア美容液。
SHISEIDO アルティミューンTM パワライジング セラム 50ml ¥15,180
アルティミューン(TM) パワライジング セラムの詳細・購入はこちら

C. 毛穴の角栓を溶解する、クレンジング美容液。1000億通り以上もの組み合わせから算出された、世界初の処方が特徴。
コスメデコルテ AQ 毛穴美容液オイル 40ml ¥11,000
AQ 毛穴美容液オイルの詳細・購入はこちら

メイクアップアーティスト・水野未和子さん「肌で生き方を語る時代にふさわしいファンデーションが登場」

メイクアップアーティスト

水野未和子さん

今シーズンはそれぞれのブランドが打ち出す美しさの定義、美肌の定義、女性像の定義が「ファンデーション」で見えてきたな、と思います。

今までのファンデーションはざっくり言えば「厚い」か「薄い」か。ベースメイクは選ぶ人のライフスタイルが否応なしに反映されるので、例えばクリーンビューティ派が好む「薄づき」のなかには、めちゃめちゃ薄すぎて塗ったか塗らないかわからないぐらいのものもあり、それでは使う意味がほとんどない。肌は決して均一ではなく隠したいところもあるから、ちょっと肌補整したいと思っても薄すぎたら難しい。かといって「厚づき」のものは何でもかんでも隠してくれますが、顔料を多く含むため肌になじまずに毛穴落ちしたり、時間が経った時の崩れ方が汚かったりします。
そこで、スキンケアで肌をどう整えるか、下地に何を使うか、あるいはファンデーションには濡れたスポンジを使う、何度もティッシュオフをするなど、それぞれのファンデーションの利点を残しつつ、いかにその人の肌になじませるかというところに、実はさまざまなテクニックが必要でした。

ところが今季、「厚い」と「薄い」の狭間に位置するファンデーションの細分化が始まったと思います。具体的に挙げればジバンシイの「プリズム・リーブル・グロウ・セラム・ファンデーション」、マキアージュの「エッセンスリキッド EX」、メイクアップフォーエバーの「スーパーブースト スキンティント」。どれもしっかりめにつきながら厚すぎず、ふわっとカバーできる。メイクアップアーティストがかけるべき手間やテクニックがなくても、本当に欲しい肌の補整具合を誰でも手に入れられるようになったのです。

今までのファンデーションとは違い、「練りには練り」「パウダーにはパウダー」といった、その上にのせるコンシーラーやチークのテクスチャーが制限されることもなくなり、ベース作りに広がりがもたらされました。肌はアイデンティティを示すもの、いよいよファンデーションが美容の領域からライフスタイルの領域に入ってきたと思えるのがとても嬉しい。ここを超えられて初めて、赤口紅も今風に付けられる。メイクアップの提案が単なるトレンド提案ではなく、生き方の提案にまでつながってきたシーズンだと感じます。

Written by Yumiko Kizu

A.  独自技術で光を操り、セミ艶肌がロングラスティング。肌悩みも精巧にぼかし続ける美容液ファンデーション。
パルファム ジバンシイ プリズム・リーブル・グロウ・セラム ファンデーション 全12色 ¥8,030
プリズム・リーブル・グロウ・セラム・ファンデーションの詳細・購入はこちら

B. 人気ファンデ美容液のスキンケア効果とみずみずしい艶感がさらに進化。
マキアージュ エッセンスリキッド EX SPF50
+・PA++++ 全5色 ¥3,740(編集部調べ)
エッセンスリキッド EXの詳細はこちら

C. メイク下地不要。ナチュラルカバーし、美しい素肌感のハリ艶美肌に演出。
メイクアップフォーエバー スーパーブースト スキンティント 全9色 ¥5,500

ビューティジャーナリスト・木津由美子さん「香水市場の伸長に日本人の香りに対する感受性の成長を実感」

ビューティジャーナリスト

木津由美子さん

2025年上半期のコスメ市場を圧倒的に華やかに彩ったもの、それは間違いなくハイファッションブランドのプレステージフレグランスでしょう。ディオールの「ラ コレクシオン プリヴェ」、プラダの「オルファクトリー」、ジル サンダー「オルファクトリー シリーズ 1」、バーバリー「シグネチャー コレクション」、グッチ「アルケミスト ガーデン」、ヴァレンティノ「アナトミー オブ ドリームス」、イヴ・サンローラン「ル ヴェスティエール デ パルファム」……いずれも多種多様な香りで構成され、単価は100㎖サイズで4万円前後。リニューアルも含めこれだけのラインナップが同時期に出そろうのは、日本のコスメ史上かなり珍しいことといえます。

プレステージたる理由は明白。希少性の高い原材料、香り立ちで選ぶ抽出技術、熟練の調香師、高品質ボトル、アート性の高いパッケージなど、全てにおいて最高級を追求しているから。さらにハイファッションブランドとなると、それぞれのブランドストーリーやヘリテージに深く結びつけて香りも外見もデザインする。まさにファッションアクセサリーのように、つけこなすことで纏う人のスタイルが醸し出され、その人の体臭と合わさってパーソナリティの一部となり得るのです。

長らく“香水砂漠”と呼ばれていた日本のフレグランス市場は、コロナ禍を経てついに開花。それは全国の百貨店やセレクトショップなどで香水催事が急増していることからも明らかです。そうして密接な相関関係にある市場と消費者は、今なお共に成長を続けています。実際、若い世代はコスパ的発想からオードトワレよりも高価格だけど高賦香率のオードパルファムを買い求め、他者とのダブりを避けるためにニッチなプレステージを選択する傾向にあるようです。それを見越したかのようなプレステージフレグランスの台頭は、当然の流れといえるでしょう。

感性は不可逆的なもの、いったん磨かれたら元の状態にリセットはできません。だから元々香りに対する感受性が高いはずの日本人の嗅覚がさらに磨かれている今、日本のフレグランス市場には明るい未来しかない─そんな期待を抱かせたのが、2025年上半期のフレグランス市場だと思います。

A. アルデヒドをキー成分にコーヒーとアップサイクル・オリスがまろやかに香る。
ジル サンダー オルファクトリー シリーズ1 コーヒー オードパルファム 100ml ¥43,780

B. メゾンを象徴する赤の香りはブラックペッパーを効かせたフレッシュなアンバーアコード。
ヴァレンティノ ビューティ ヴァレンティノ アナトミー オブ ドリームス ソーニョ イン ロッソ パルファン 30ml ¥22,000

C. 抽出法の異なる3種のバニラにシダーウッドを重ねた新グルマンノート。
ディオール ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール ボア タリスマン オードゥ パルファン 200ml ¥63,140
ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール ボア タリスマンの詳細はこちら

D. 1960年代の名作映画に着想したアンバー調の香り。
プラダ ビューティ プラダ オルファクトリー マリエンバート オーデパルファム 100ml ¥53,900

『美的GRAND』2025夏号掲載
撮影/吉田健一(静物) スタイリスト/柿原陽子 撮影協力/Compartment.、AWABEES、UTUWA 構成/北川真澄

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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