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メイクアップニュース
2022.1.14

まつ毛の存在感に見る「ジェンダーニュートラル」【松本千登世「へーっ、美容って自由なんだ!」vol.5】

年齢とともに常識という枠にとらわれがち。美容も例に漏れず。そんな私の凝り固まった価値観や美意識をがらりと変えた「ひと」「もの」「こと」をひとつひとつ丁寧に綴りたいと思います。第五回は、もっともっと自由でありたい、まつ毛について。【松本千登世「へーっ、美容って自由なんだ!」vol.5】

スナイデル ビューティのマスカラ新色で新しい顔

美容に関わるようになってほどなく。もう、25年以上前のことだったと思います。美容ジャーナリストの齋藤薫さんと雑談をしていたとき。

「ミッキーマウスとミニーマウスの違いって、知ってる? 『まつ毛』があるかないか、なの」
えええーっ! ……、確かに。それまでまったく意識をしていなかった大きな違いを知って、驚きました。まつ毛は、「女の子」「女性」であることを主張するパーツ。まつ毛と女の間には密接な関係がある。改めてそう断言された気がして、はっとさせられたのです。

一方で、まつ毛は、年齢を重ねるほどに「目力」を左右する存在として、より重要度を増していきます。大人向けの女性誌に関わる機会が多い私は、マスカラはもちろん、パーマにエクステ、美容液に育毛剤まで、さまざまなアプローチで、どれだけまつ毛に力を込める提案を重ねてきたことか!

でも……、ここからは個人的な話。40代半ばを迎えたころでしょうか? 今日もビューラーでカールし、黒マスカラで強調し、力を込めたまつ毛で、さあ、出かけようと鏡を見た瞬間、「えっ!」。下がった上まぶた、下がった目尻、そしてシワやくすみと、目指したはずの上向きで強いまつ毛が「喧嘩」して、目元の老化、いや、顔全体の老化を悪目立ちさせている気がしたから。それをきっかけに、自分とまつ毛の関係を一から見直すことにしました。

まつ毛は基本的に上げない。上げるとしても、根元部分をほんの少しだけ。マスカラも特別なとき以外は使わないし、使うとしたら、柔らかい色、自然な仕上がりを。まつ毛をむしろ強調しない顔が当たり前になって、ふと気づきました。どちらかというとマニッシュな着こなしが多い私には、この顔がほどよいのじゃないか。まつ毛の存在感が薄いほうが、自分らしい、と。

マスカラのトレンドは大きく変化しています。黒一辺倒だった時代から、ブラウン、グレー、ネイビー、カーキ、バーガンディと「ニュアンス」や「こなれ感」を添える色が増え、さらには、むしろ毛色を弱めることでまた違う「遊び心」や「抜け感」を加える色が生まれ。特に、洗練を極めた提案で注目を集めているSNIDEL BEAUTY「2022 SS メイクアップコレクション」のSNIDEL ディファイニング マスカラの06は、まさに今という時代の軽やかさを表現できる仕上がり。瞳をクリアに見せながら、表情を柔らかく、だからこそ、マニッシュな装いにもぴたりと合う……。
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温もりを感じる春の陽射しや空気に溶け込むようなメイク。柔らかいまつ毛がそのアクセント。SNIDEL BEAUTY「2022 SS メイクアップコレクション」から。

強調するも強調しないも、自由。色だって角度だって、自由。人の数だけ、まつ毛の正解があります。まつ毛の無限なバリエーションはもしかしたら、ジェンダーニュートラルの時代を反映しているのかもしれません。いつか、ミッキーマウスとミニーマウスの違いは、まつ毛ではなくなるのかも……? そんなありえない想像をしながら、新しいまつ毛、新しい顔にわくわくしています。

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瞳の色を明るく見せて、抜け感のある表情に。美容成分が配合され、ぬるま湯で落とせるのも魅力。SNIDEL ディファイニング マスカラ 06 ¥3,080/SNIDEL BEAUTY

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美容エディター
松本千登世
航空会社、広告代理店、出版社勤務を経てフリーランスに。雑誌や単行本など、美容やインタビューを中心に活動。『「ファンデーション」より「口紅」を先に塗ると誰でも美人になれる 「いい加減」美容のすすめ』(講談社刊)『いつも綺麗、じゃなくていい。50歳からの美人の「空気」のまといかた』(PHP研究所刊)ほか著書多数。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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