“Mattママ”桑田真紀「進路選択の季節に思うこと」|美的GRAND 連載 vol.22
夫は野球界のレジェンド・桑田真澄氏、次男は現在アーティストとして活躍中のMatt Rose氏。専業主婦から一念発起し、公私ともに支える桑田真紀さん。根っからの「応援体質」の真紀さんが、彼らの才能をどうサポートしているのか。真紀さんの「応援力」は、夫、子供、義理両親といった身内だけでなく、上司・部下・同僚やママ友、すべての人間関係の参考になるはずです。

どう選んでもすべて正解。迷うのはちゃんと考えている証拠です
親や世間の「正解」は必ずしも正解ではない
春は旅立ちの時。進学や就職など進路の話題が俄然増える季節になると、親のほうがそわそわしてしまう、ということはありませんか。
進学、浪人、就職。地元に残るのか、違う土地で新たな生活を始めるのか。子どもにとっても大きな節目ですが、見守る親にとっても、心が大きく揺れる時期です。
地方に残るか、都会に出るのか。A大学とB大学、どちらを選ぶか。
親は安定した会社員を勧めたいけれど、子どもはアーティストや俳優、音楽の道に進みたいと言う。厳しい道だとわかっているけれど、職人に弟子入りして道を究めたい。「何もそんな苦労しなくても」と思いつつ、親として、何が正解なのだろうかと、答えのない問いを何度も自分に投げかけてしまいます。
わが家の息子たちは、ありがたいことに、自分で動くタイプでした。オープンキャンパスにも面談にも、いつの間にか一人で行ってきて、「ここに行く」と決めてくる。親の出番は、ほとんどなかったように思います。
でも、うちはたまたまそうだっただけで、すべての子がそうではありません。「何がやりたいのかわからない」「どちらを選んだらいいかわからない」。そう悩む子も、たくさんいます。ママ友からも思い詰めたように相談を受けることもあります。
親の立場としては、どうしても「安定」を願ってしまいますよね。きちんと就職して、できれば名前の知れた会社で、堅実に生きてほしい。
でも、もしそこで親の意見を押しつけてしまったら、どうなるでしょう。
後になって、「お母さんがそう言ったから」「あの時、親に止められたから」と、人生の選択を誰かのせいにしてしまうかもしれない。私は、それが一番つらいことだと思っています。
たとえ、俳優を目指して芽が出なかったとしても、バンドで食べていけなかったとしても、その結果を引き受けるのは本人です。だからこそ、選ぶのも本人であるべき。
失敗したときに、「あなたが自分で決めたことだから、次も自分で決めなさい」と言える関係でいたい。そう思うのです。
実際、まわりを見渡してみても、進路がすんなり決まった子のほうが少ない気がします。親の言う通りに進んだ子ほど、どこかの地点で違う道に軌道修正することもある。遠回りかもしれないけれど、それがアンラッキーだとは限りません。ただ、最初から自分で選んでいれば、もっと納得感があったのでは、と思うことはあります。
進路で迷っている理由のひとつに、「何がしたいかわからない」という声もよく聞きます。でも、実際のところ、どこに行っても大きな違いはないのかもしれません。
大切なのは、「やりたいことを見つけに行く場所」として選ぶこと。
親は、「この大学に行ったらこういう環境だよ」「この道を選ぶと、こんな可能性があるよ」と材料を提示することはできます。でも、最後に決めるのは本人。その一線は、越えないようにしたいですね。
「私は産んだだけ」決めるのはどんな時でも本人
親はどうしても、理想の子ども像を持ってしまいます。実は、私だってあります。
でも、たとえば医師の家庭で、親が望んで医師になったとしても、その仕事が楽しくなければ、きっと名医にはなれない。無難にこなすことはできても、心の底から天職だと感じて、日々を充実させ輝き続けることは難しいのではないでしょうか。
口出ししたくなったとき、私が意識しているのは、「この子は私が産んだだけ」という考え方です。
子どもの人生は、私の人生ではありません。親のほうが先にいなくなる可能性だって高い。その後の人生を生きるのは、子ども自身です。
感情的になりそうなときは、少し距離を取って、「この人はひとりの人間なんだ」と考えるようにしています。年齢に関係なく、同じ目線で話す。見下さない。尊重する。
それは、子どもに対してだけでなく、年老いた親に対しても、私たち自身が求めていることなのかもしれません。
受験や就職活動で失敗することもあります。行きたいところに行けず、泣く子もたくさんいます。
でも、失敗は決して無駄ではありません。
悔しさや挫折を知っている人ほど、人生の引き出しは増えていく。後になって、「あの時があったから」と思える日が、必ず来ると信じています。
思い通りの道に進まなかったからといって、それは間違いではない。
全部、正解。
その子にとっての道は、必ずどこかにあります。
親ができることは、先回りして道を整えることではなく、「あなたの選択を信じているよ」と伝え続けることなのかもしれません。
迷いながら進む姿も含めて、その子の人生。
そう思えたとき、重く深刻になりがちな進路の話も、明るい希望に向かう軽やかなものになる気がしています。
Maki’sきれいの素
最初は夫がリハビリで使っていたピアノですが、最終的にはMattのほうが夢中に。基礎を先生に習い、いつのまにか独学で弾くようになりました。
ハレクラニのHEAVENLY FINE COFFEESで購入したコーヒー豆。コーヒーはわが家には欠かせないもの。旅先で購入した豆は、日常に戻った後に旅の思い出をあれこれ語り合うきっかけとなります。
毎年作っているお米です。水素で育てることにより、除草剤なしの完全無農薬が可能に。とてもバランスの良いお米に育ってくれました。水素米は、おにぎりにするとさらにおいしく感じます。
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