子供をすぐに欲しい人も、いずれの人も、まずは「プレコンセプションケア」を!【わたしにもできるフェムテックBeauty】妊活編
2025年の日本国内の出生数は67万1,236人と10年連続で過去最小を更新(厚生労働省)。しかも「高齢出産」とされる35歳以上に初産を経験する人が4人にひとりなのだとか。そんな状況下、女性の健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック」の分野では、「妊活」や「不妊」が主要なテーマになっています。そこで、東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座教授、原田美由紀先生に、妊娠・出産に関する美的世代の質問に答えていただきました。
Q. 結婚して1年、そろそろ妊活したいと思っています。どんなことから始めれば良いですか。
(30歳・会社員)
妊娠も出産も健康な体があってこそ! まずは妊娠できる体作りから始めて
「女性は、毎月の生理が健康のバロメーター。生理が不順だったり、経血量が異常に多かったり、生理痛がひどかったり…といったトラブルがある人は、子宮内膜症や子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの疾患が隠れているかもしれません。また、無理なダイエットやストレス過多が原因で、生理が止まる人も。そんな状態では、体に大きな負担がかかる妊娠・出産を乗り越えられないという体からのサインだと言えます。というのも、人間の体は生命を維持することが優先のため、生殖は二の次。まずは妊娠できる健やかな体に整えることが先決です。
実はこれ、男性にも言えることで、すごく忙しくていつも疲れていたり、ストレスがたまっているなど、体のコンディションが優れないと、精子を作っている場合ではありません。そうなると不調の改善が先で、直接生命の維持に関わらない生殖機能から抑制するのが体の摂理です。
すぐに妊娠したい、したくないに関わらず、パートナーと一緒にしっかり健康管理を行うことは、〝プレコンセプションケア〟の一環としてとても大切。すぐに妊活を始めたいならなおさらで、まずは婦人科検査を受けるなど、自分の体が妊娠できる状況かどうかを知ること、そしてもし病気が見つかったら、早めに治療することが重要です。また、妊娠前に、風疹やインフルエンザなどのワクチンを接種しておくことも、プレコンセプションケアのひとつです」
Point
プレコンセプションケアとは、若い世代の男女が将来のライフプランを考えながら、自分たちの生活や健康に向き合う取り組み。妊娠・出産を希望するしないに関わらずも、性や妊娠・出産について正しい知識を持ち、自分やパートナーの未来を守る、新しいヘルスケアとして注目されている。妊活の最初のステップは、排卵時期に合わせて性交渉する「タイミング法」
「精子は女性の体内で約2〜5日間生存できるため、排卵日の数日前から当日が最も妊娠に適しているとされています。そのタイミングに合わせて性交渉をするのが〝タイミング法〟。妊活の最初のステップです。排卵日をセルフで知るには、毎朝同じ時間に基礎体温を測ってグラフをつける方法が一般的。基礎体温は、およそ28日の月経周期の中で低温期と高温期の二期に分かれ、低温期から高温期に上がる数日間に排卵が起こるとされています。ただし体温が上がりきるまでに2〜3日かかることもあって、グラフだけで排卵日を確定するのは難しいのが現状です」

「排卵日をもっと絞り込みたい場合は、尿に含まれるLH(黄体形成ホルモン)の分泌量を調べる市販の検査薬や、おりものに含まれる粘液(子宮頸管粘液)を調べるデバイスなどを利用する方法もあります。いずれにしても、排卵日をより正確に予測できれば、それだけ妊娠の確率は上がります」
食事や睡眠、運動など、生活習慣を見直して、妊娠しやすい体に
「食生活の乱れを改善したり、睡眠をしっかりとる、適度に運動をするなど、生活習慣や環境を整えることももちろん大事です。偏った食生活を続けていると、たとえ妊娠できたとしても、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症になったり…。そうなると自分だけでなく赤ちゃんの健康への影響も出てきます。また喫煙は血流の低下を招き、生殖機能や胎児の発育に悪影響なので、男女共にNGです」

「こういった生活習慣や環境の改善+タイミング法による妊活を続けてもなかなか妊娠できない状況が続いたら、不妊治療に進むのも選択肢。よく1年してもできなかったらと言われますが、30代以降の初めての妊活となれば、そこまで待たず、早めに医師に相談してみましょう」
次回は、引き続き原田先生に、不妊治療について伺います。
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はらだみゆき/医学博士。2000年東京大学医学部医学科卒業。’07年東京大学大学院医学系研究科生殖発達加齢医学専攻修了。 東京大学医学部附属病院助教、日本学術振興会研究員(米国ミシガン大学)を経て、東京大学医学部附属病院女性診療科・産科講師を務め、’25年より現職。著書に『婦人科外来で始めるプレコンセプションケア』(南山堂)など。