妊娠・出産に備えた「プレコンセプションケア」は基礎体温の測定から！【わたしにもできるフェムテックBeauty】妊娠・不妊編①
婦人科の先生たちは妊娠を希望する女性に対して、よく「毎日、基礎体温を測ってグラフをつけてみましょう」とアドバイスします。毎朝測って記録するなんて結構面倒なことだけれど、妊活するならやっぱり基本！ 最近はスマホのアプリと連携していて測定データを自動的にグラフ化できる基礎体温計もあるので、そういったフェムテック・アイテムを活用すれば、無理なく習慣化できそう。でも、なぜ基礎体温をグラフにするといいのか、そのグラフから何が読み取れるのか、わからない人もいるのでは？ そこで「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」院長の岡田有香先生にお話を伺いました。
グラフが高低の2相に分かれていたら、排卵が行われている証拠
「健康な女性の基礎体温は、約4週間の間で、排卵を境に低温期と高温期の2相に分かれます。通常、月経が始まると体温が下がって、約2週間低温期が続き、排卵すると体温が上昇して、次の月経まで約2週間の高温期が続くというサイクル。基礎体温を毎日記録したグラフをパッと見て2相になっていれば（細かいバラつきはあってOK）、きちんと排卵が行われている証拠です」（岡田先生）
「2相のグラフは、今の自分が妊娠できる体の状態かどうかを知るいちばんの手がかりになります。例えば、低温期がずっと続いて高温期が訪れない平坦なグラフだと排卵が行われていない可能性があるので、まずその原因を突き止めて対処することが重要になります。一方、排卵後に高温期がずっと続いたままで月経が来なければ、妊娠のサインです」
排卵があっても妊娠できない。その原因もグラフから推測できる！
「通常、約28日周期の中で、低温期と高温期はそれぞれ約14日間、１：１程度のバランスです。そのどちらかが短いと、排卵は起こっていても妊娠しづらくなります」
高温期が短いと、卵子が着床できない「黄体機能不全」の可能性あり！
「排卵後の高温期が10日以内で低温期がやってくるような場合、排卵された卵子が精子と結びついて受精卵になったとしても、子宮内膜に着床できなかったり、着床できてもうまく維持できなかったりします。これは、排卵後に分泌される黄体ホルモン（プロゲステロン）の量が不十分で、子宮内膜を妊娠に適した状態に保てなくなる黄体機能不全と呼ばれる病気です。黄体機能不全だと、受精していない場合でも、月経不順や無月経などのトラブルを引き起こすことがあります。不妊の原因にもなるので、妊娠を希望する場合は、黄体ホルモン剤の服用などの治療が必要になります」
低温期が短い場合は、卵巣が正常に働いていない「卵巣機能不全」の疑いが
「低温期が10日に満たないうちに排卵が起こると、卵巣の機能が低下しているため卵子が早く成熟しやすい状態です。低温期が短くなる理由のひとつとして、女性ホルモンを分泌する卵巣の機能低下＝卵巣機能不全が考えられます。女性ホルモンは脳からの指令で卵巣から分泌されますが、卵巣の機能が低下して分泌量が減ると、脳は卵巣を刺激するホルモン（FSH）を出して女性ホルモンの分泌を促そうとします。その刺激によって早い時期に排卵してしまうことがあるのです。そういった症状があると30代でも早めに閉経を迎える可能性があるので、婦人科受診をご検討ください。治療には、不足しているホルモンを補充するホルモン療法や漢方薬などが用いられます」
スマホ連携タイプの基礎体温計なら、ズボラな人でも管理がカンタン♪
高温期・低温期の差はわずか0.3〜0.6℃程度なので、0.1単位の一般の体温計では微細なアップダウンを読み取れません。基礎体温を正確に測るには、0.01単位で測れる専用の体温計が必要です。中でも、測定データをスマホのアプリに転送して自動でグラフ化できるタイプが、いちいち記録する手間を省けて人気です。
オムロン 婦人用電子体温計 MC-652LC 全3色 ￥4,158（編集部調べ）
口にくわえて約10秒で予測検温できるので、忙しい朝の負担が軽減。Bluetooth通信機能搭載で、基礎体温管理アプリ「ルナルナ 体温ノート」（写真右）などと連携し、測定データのグラフ化が簡単にできる。
「基礎体温の測定は、自分の体の変化を知るための重要な資料になります。基礎体温のグラフから、月経周期のトラブルにいち早く気付くことができるため、妊活に限らず、普段の健康管理のためにも習慣化することをおすすめします」
イラスト／リバー・リー（Softdesign） 構成／つつみゆかり
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※価格表記に関して：2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
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おかだゆか／2014年 順天堂大学医学部卒。聖路加国際病院の産婦人科で8年勤務。’22年4月より「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」院長に就任。日本産婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会、婦人科腫瘍学会、日本女性医学会、NPO法人日本子宮内膜症啓発会議に所属。不妊治療に悩む多くの方々を診てきたなかで、プレコンセプションケア（妊娠前からのヘルスケア）の重要性を改めて認識し、指導に努める。生理の知識や妊活、卵子凍結についてInstagramでも発信している。グレイス杉山クリニック：https://grace-sugiyama.jp/