メイクアップニュース
2023.9.27

有沙 瞳さん「退団後初!私物コスメ全部見せます」【宝塚歌劇OGセルフメイク】【スペシャルインタビュー付き】

宝塚歌劇で美を培い、退団されてなお美しさを更新し続けている元タカラジェンヌの方々。この連載では、実際に愛用しているコスメを使った、セルフメイクのテクニックに迫ります。今回は、元星組娘役の有沙 瞳さんが愛するコスメ編です。

退団後約1か月の元星組娘役・有沙 瞳さん。普段のメイクで使うコスメを披露!

宝塚歌劇団を退団してからも輝きを放ち続けている、宝塚歌劇OGの方々のメイクの秘密を探る人気連載。

今回迎えるのは、8月27日に退団したばかりのフレッシュOGの有沙 瞳(ありさ・ひとみ)さん。前編では実際に愛用しているコスメのフルラインアップ、後編ではそのコスメを使ってのセルフメイクテクニックを紹介します。前編となる今回は、有沙さんがいつも愛用している厳選コスメを拝見!

タカラヅカ時代の思い出や退団のきっかけなど、スペシャルインタビューとともにお届けします。

 

自分に似合うものやテンションが上がるもの。実際に試して探した超選抜コスメばかり!

舞台で使うものも含め、とにかくコスメはたくさん持っているという有沙さん。手軽にネットでポチッとすることはあまりなく、自分に似合うものや絶対に使うものを足を使って探すのだそう。

「洋服にも言えるのですが、納得のいかないものを『ま、いっか』と使っている自分がイヤなんです。そしてたぶん、それは使わなくなる。そういうことを避けたくて、コスメもちゃんとショップに行き、色を試して似合うものを買うようにしています。『今日はファンデーションを買いに行こう』とか『この役に合いそうなリップを探しに行こう』と目的を決めていくことが多いですね。

トレンドには疎いのですがショッピングは大好きなので、いろんなところをぐるぐる回りながら、おしゃれな人を見たりBAさんにお話をうかがったりして情報を得ています。自分のこだわりにとらわれ過ぎてしまわないように、ちょっと周りの方のお力をお借りすると新しい発見があって楽しい!」

買うコスメは、作品の役にもかなり左右されるそう。

「普段のお稽古のときから役のスイッチを入れるために、コスメもメイクも変えますね。最近は『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』、『1789―バスティーユの恋人たち―』とフランスが舞台となった作品が続いたので、それまで使ったことのないゲランのコスメを初めて買ってみました。ほか、アメリカが舞台になっていたときはM・A・Cのものが多くなることも。ブランドの特徴や歴史的背景を知るのも好きなんです。

舞台メイクではリップにこだわっていました。公演中も場面やお衣装ごとに唇のニュアンスを変えたり。ベースの色味は決めておいて、ちょっとグロスを重ねてみるとか質感の違うものにしてみたりするから、家にはリップ類が60〜70本くらいあるんです。『赤と黒』ではベージュ系のリップ、『1789』ではピンク系、ショーでは赤系…と思いつつ、お芝居のときは日にちの経過もあるじゃないですか。だからベージュでも少しずつ違う色を何本も使うんです。

髪色に合わせるアイブロウや、アイシャドウとの相性が大事なマスカラは、気に入ったアイテムを全色そろえたりすると、どうしてもコスメが山盛りになってしまいますね」

今回は、光の重なりが美しいツヤっぽシアーメイクに使ったコスメを教えてもらいました。

【ベース】

1.パルファン・クリスチャン・ディオール ワン エッセンシャル シティ ディフェンス 50 [SPF50・PA++++]
「大気汚染物質もブロックしてくれる日焼け止め乳液です。すごく乾燥肌なのですが、お試しでこれを塗った瞬間から肌が潤った感じがして、私の肌にとても合ったので即購入。少しトーンアップして、潤うけれど肌表面はサラサラ。“塗った”感がないのに赤みもカバーできる、すごくいい下地です」

2.パルファン・クリスチャン・ディオール ディオールスキン フォーエヴァー フルイド グロウ 0CR [SPF20・PA+++]
「テクスチャーはちょっとこってりした感じ。毛穴をしっかりカバーしてくれるようで、崩れにくいのもポイントです。自然なツヤをもたらしてくれる仕上がりの質感を見て、BAさんに相談しつつ購入を決めました」

3.パルファン・クリスチャン・ディオール ディオールスキン フォーエヴァー スキン コレクト コンシーラー 0N
「チップタイプのコンシーラー。ファンデーションではカバーしきれない、ちょっと気になる細かな所や、部分的にちょっと明るくしたい所に使います。肌を軽く仕上げたいときは、日焼け止め乳液とコンシーラーだけで十分」

4. パルファン・クリスチャン・ディオール カプチュールトータル パーフェクション ルース パウダー 001
「パール入りの軽やかなお粉です。ギラつかずほのかな輝きをプラスしてくれて、エレガントな肌に仕上がります」

5.エレガンス ラ プードル オートニュアンス Ⅰ
「こちらはセミマットタイプ。テカリが気になる部分を最後にちょっと抑えます。明るい肌に見せてくれるカラー配合で、舞台メイクでも大活躍。早替わり室に持っていき、テカリが出てきたらこれでちょんちょんと。マットになり過ぎない加減もちょうどよく、キメが細かく仕上がって崩れにくくなるので、ずーっとリピートしています」

【ハイライト&チーク】

1.ゲラン メテオリット ビーユ 02
「これ、めっちゃかわいくないですか? この魔法のお粉はテンション上がります! これは透明感が出るタイプで、ハイライトとして使っています」

2.M・A・C #140 シンセティック フル ファン ブラシ
「舞台のときも使っていました。ハイライトやチークなどを細いブラシでつけるとピンポイントでついてしまうので、大きめのブラシでふわっと乗せたくて。これはちゃんと色がつくのに肌触りがソフトなところがお気に入りです」

3. M・A・C エクストラディメンション ブラッシュ イントゥ ザ ピンク
「マリー・アントワネットをやるときに買いました。色を見るとかなりピンクですが、肌に乗せるとほのかなピンクで上品に輝くんです。ちょっとキラッとした感じがかわいくてすっごく好き。舞台ではこれをアイシャドーにも使ってしました。目元にふわっと柔らかい輝きが出るんです。舞台メイクは何色も使わず、トーンを変えてピンクでまとめたり、ベージュ系のグラデーションにしたりしていました」

【目元】

1.ゲラン オンブル ジェ 530
「こういうピンクが大好きなんですよ、すっごくキレイで。『1789―バスティーユの恋人たち―』のお稽古中に買ったものです。マリーが登場するいちばん初めのインパクトを強く残したくて、お菓子が好きで夢の世界に住んでいそうなかわいらしさと異質っぽさ、その中でも自分を持って生きている感じとかを見せたいなと。浮世離れした印象を、コスメの力を借りて表現しました。今では普段メイクのスタメンです。捨て色がないのもいい!」

2.ラブ・ライナー リキッドアイライナー ダークブラウン
「いち公演で何本使っているかわからないくらい、舞台でも愛用している逸品。描きやすくて泣いてもにじまないから、全色持っていますね。以前はブラックを使っていましたが、黒目の色素が薄いせいか黒のラインが目立ってすごく強く見えちゃって。ダークブラウンの方がいいよとアドバイスをいただき、そこからずっとダークブラウンにしています。いつもはもう少し明るいミルクブラウンも併用」

3.UZU モテマスカラ コッパー
「UZUのマスカラも大好き。この色は目元がコケティッシュになる感じで、かわいく仕上がるんです。カーキやバーガンディも最近のお気に入り。カラバリがあるアイテムはそのときの気分に合わせた色を使いたくて、全色欲しくなっちゃうんですよね。大人っぽくしたいのか甘めにしたいのかで、色のチョイスをまったく変えるんです」

【眉】

1.サナ エクセル スタイリング パウダーアイブロウ SE03
2.サナ エクセル パウダー&ペンシル アイブロウEX PD11
3.サナ エクセル パウダー&ペンシル アイブロウEX PD007
「エクセルの眉アイテムも全色そろえています。ヘアカラーに合わせて眉の色を選ぶのですが、ヘアカラーをよく変えるから眉色もたくさんあると安心。これも何度もリピートしていますね」

4.セルヴォーク インディケイト アイブロウマスカラ C 05
「ちょっとピンクなスモーキーピーチカラー。目元のピンクと相性が良いくすみピンクです。目と眉の色をなんとなくそろえて、統一感を出しています」

【リップ】

グッチ ルージュ ア レーヴル ヴォワル リップスティック 201
「『1789―バスティーユの恋人たち―』で夫であるルイ16世役のひろ香(祐、ひろか・ゆう)さんにいただいたもの。『このバラ柄のケースが王妃っぽくて選んじゃった』と言ってくださって。公演では使わずずっと化粧前に飾っていたのですが、卒業してから愛用させていただいています。愛する王様にいただけて、本当にうれしかった。ひろ香さん、ありがとうございます」

【スペシャルインタビュー】たくさんの男役さんとご一緒させていただけたこと、苦手意識のあったショーを克服できたことで見えてきた卒業への道

星組の大劇場公演を支え、多くの別箱公演でヒロインを演じた頼れる元娘役。特に素晴らしい歌声に心を揺さぶられた人も多かったのではないでしょうか。

有沙さんの別箱公演でのヒロインが大好きで、王道ではないかもしれませんが…と挙げさせていただいたのが『ドクトル・ジバゴ』のラーラ役。

「研6(入団6年目の研究科6年のこと)の終わりだったのですが、相手役の轟 悠(とどろき・ゆう)さんのおかげで概念が変わりました。私の初めての宝塚歌劇『黎明の風〜侍ジェントルマン 白洲次郎の挑戦〜』で、『この彫刻のような素晴らしくカッコいい方はどなただろう!?』と衝撃を受けた轟さんとまさか自分がご一緒させていただくことになるとは夢にも思いませんでした。最初のお稽古では轟さんの気迫にセリフが出てこない程だったのですが、絶対についていかなければともがきましたね。自分がどうしたいかということを一旦置いておき、相手の呼吸に合わせると自然と自分の声のトーンも変わるんです。“芝居をする”と意識せず、リアルに役を生きることを学んだ作品でした」

初の東上公演ヒロインの『阿弖流為―ATERUI―』の佳奈も、「好きな役」として挙げていた『龍の宮物語』の玉姫も、劇場を涙で包んだ『ロミオとジュリエット』の乳母も、気高く生きた『王家に捧ぐ歌』のアムネリスも、年下の青年を虜にする妖艶な『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』のレナール夫人も、退団公演となった『1789―バスティーユの恋人たち―』のマリー・アントワネットも。多くの舞台で確かな存在感を示してきました。

「いろいろなお役をさせていただいたことはありがたかったですし、ひとつのところにとどまっていたくない性格なのでとても面白かったです。役作りはすごく大変でお稽古中はとっても悩み、公演が始まってからも高みを目指して進化を求め続けるんですよね。終わりがないけれど、それが楽しかった。

雪組から星組へ組替えをして、専科の方ともご一緒させていただけたからこそ、たくさんの男役さんとお芝居ができたことは素晴らしい経験だったと思います。相手役として自分が肌で感じた相手役さんの魅力を、生き生きとお客さまに届けて幸せを感じていただきたいという想いがあったので、悔いなく卒業を決めました。退団公演ではそれまであまりご一緒したことのなかったひろ香(祐、ひろか・ゆう)さんや天飛(華音、あまと・かのんさん)の相手役をさせていただき、最後の最後まで感謝の気持ちでいっぱいでした」

感情がストレートに伝わってくる有沙さんの歌は、お芝居の要のひとつにもなっていたと言っても過言ではない程。ショーでの歌も素晴らしかったけれどやっぱり有沙さんの持ち味は芝居歌にあったと、私は思います。

「自分に自信がないんですよ。だからお芝居の役になると芸名の自分の上にもうひとつ人生を重ねられるから、堂々と生き切れるんです。でも、ショーで芸名の自分でアピールするのが弱くて。ずっと苦手意識があったショーがやっと楽しめるようになったのが、『Ray―星の光線―』あたりから。ショーを克服できたということで、なんとなく退団を意識し始めたのかもしれません。でもやっぱり、役によって感情が変わるお芝居の歌が大好きだったので、がっつりお芝居ができる1本物で卒業したいなと思ったんです」

退団公演となった『1789―バスティーユの恋人たち―』のマリー・アントワネットも、はっちゃけた登場シーンから、フェルゼンへの抑えきれない想いを経て、夫と子供がかけがえのない存在だと気づいてから運命を神様へ委ねる…と気持ちが変化していきます。

「陛下(ルイ16世)は国民みんなの王様だから、自分(マリー)が迷惑をかけられないという気遣いがふたりの距離になっていたんだと思うんです。でもアクセル(フェルゼン)は、自分の素直な気持ちをぶつけることができて甘えられる存在。私だけのアクセルだったんですよね。

アクセルが最初にロナンに会ったときは、ロナンのことをすごく下に見ていたのではないかと思うんですよ。それが2幕のアルトワ伯が『私が神だ』と歌うところで、命をかけてオランプを守るロナンの姿を見て、アクセルは衝撃を受けたんだと思うんです。だから最後に手紙ではなく死ぬ覚悟を持ってマリーに会いに来てくれた。そのときすでにマリーはフランスの王妃として生きていくと決めていたから心はすれ違ってしまうわけなんですけど、人が自分の命をかける覚悟で起こした行動は、身分関係なく誰かに大きな影響を与えるものなのではないかと。そしてそういう小さななにかがフランス革命につながり、歴史の波になっていくのではないかと」

次回は、紹介したアイテムを使ったセルフメイクテクを詳しく教えていただきます。お楽しみに!

有沙 瞳
ありさ・ひとみ/8月4日生まれ、三重県出身。2012年に98期生娘役として入団、組まわりを経て翌年雪組に配属。2014年『一夢庵風流記 前田慶次』で新人公演初ヒロイン後、バウホール公演初ヒロイン、初エトワールを経験した後に星組に組替え。星組でも多くの公演で存在感を示し、8月27日の『1789―バスティーユの恋人たち―』東京公演千秋楽にて退団。Instagram:@arisa_hitomi

ニット¥28,600(ジオン商事<ドレスレイブ>)  03-5792-8003
デニム¥39,600(フィルム<ダブルスタンダードクロージング>)  03-5413-4141
“イン ムード”のネックレス¥10,450・ピアス¥7150・シルバーリング¥9,900、”アナプノエ”のゴールドリング¥84700・バングル¥31,900(フォーティーン ショールーム) 03-5772-1304

撮影/風香 ヘア&メイク/加藤志穂(PEACE MONKEY) スタイリング/滝沢真奈 構成・文/淡路裕子

※こちらで紹介したコスメは有沙さんの私物です。ブランドへのお問い合わせはお控えください。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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