「まつ毛強調時代」を経た今、まつ毛は個性やセンスを語り出すパーツへ進化【このコスメが、すごい!】美的GRAND
美容エディター・松本千登世さんの人気連載「このコスメが、すごい!」。今回のテーマはマスカラ。まつ毛は「長く、太く、濃く、上向きに塗るもの!」と思っていませんか? 100のメイクがあれば、100のまつ毛がある。まつ毛ってホントは自由でいいのかもしれません。
意志的な「濃密」
長く、太く、濃く、上向きに。マスカラはもちろん、つけまつ毛やまつ毛パーマ、まつ毛エクステだって常識……。価値観が一方向に向かった「まつ毛強調時代」を経て、多様性や個性のムードを反映してか、まつ毛は自由になりました。同じブラックのマスカラでも、大胆な仕上がりから繊細な仕上がりまでさまざまなタイプがそろうし、ブラック一辺倒から、次第にブラウンやネイビー、カーキなどベーシックカラーが充実し、最近ではレッドやイエローなどのヴィヴィッドカラーやピンクやベージュなどのペールトーンもあり。まつ毛を強調して、それ以外のパーツは引き算をする日もあれば、逆に、まつ毛の存在感を弱めて、眉や唇のメイクを楽しむ日もある、といった具合に、100のメイクがあれば、100のまつ毛がある。まつ毛はその人の個性やセンスを語り出すパーツに進化したのだと思います。
ただ……!まつ毛に存在感がないと目力が弱まる、すると疲れて見える、老けて見える。だからまつ毛を強調しなくちゃ。時代のムードがどれほど自由になっても、まつ毛への執着から逃れられないという気持ちもわかります。もしそうなら、ぜひ試してほしいのが、ビューラーを使わず、あえてノンカールで作る意志的な濃密まつ毛です。下向きの直毛はそのまま、黄金バランスのブラックマスカラをさらりと塗ると「生まれつき濃密」かのよう。カールさせていない分、瞳にも目尻にも「影」ができ、アイラインのような効果を発揮して、瞳が大きく濃く見えたり、目が切れ長に見えたり。目周りの肌に力がなくなった大人だからこそ映えるまつ毛メイクに違いありません。
実は私、まつ毛強調型メイクは、早々に手放しました。私の場合は、太く長く濃い上向きまつ毛の線と目尻に刻まれた深いシワの線が格子状に見えて、かえって年齢が強調されると気づいたのが、その理由。まずは、自分を客観的に観察して、まつ毛に頼らない顔を知るところから。まつ毛メイクの面白さは、そこから始まります。
松本千登世が厳選
このコスメが、すごい!【MASCARA】
内面へと引き込む、まつ毛の存在感
(右から)
Brand/ シャネル
Item/ ヌワール アリュール 10
奥の奥にひとさじのレッドを潜ませることで神秘的な存在感が放たれるブラック。主張しすぎることなく、まつ毛に求めるすべてをかなえ、1本1本を美しく。同時にケア効果も備え、塗る度健やかなまつ毛へと導く。¥6,600
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Brand/ ランコム
Item/ イプノ ドールアイ ウォータープルーフN 01 ソー ブラック
セパレート力に優れたブラシが目頭や目尻の短いまつ毛まで逃さずキャッチして1本1本のまつ毛をコーティングし、理想的なまつ毛を演出。ウォータープルーフタイプなので、ノンカールでも下まぶたに落ちにくい。¥4,400
イプノ ドールアイ ウォータープルーフ Nの詳細・購入はこちら
Chitose Matsumoto
エディター・ライター。航空会社、広告代理店、出版社勤務を経てフリーランスに。美容や人物インタビューを中心に活動。著書多数。
『美的GRAND』2023冬号掲載
撮影/シバサキフミト(DONNA) スタイリング/高橋尚美
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。