人類未踏の老化を止める最新サイエンスストーリー
私たちの体は約37兆個の細胞でできていて、日々細胞分裂を繰り返しながら新しいものへと置き換わっています。ダメージを受けても修復できるのは、常に新陳代謝をしているからなのです。
ところが、細胞が老化すると分裂が止まってしまいます。これは人体にとって良くないこと。老化細胞は、生まれ変わることなく居座るだけでなく、“悪い因子”を分泌します。その結果、周りの細胞まで老化して、どんどん老化が加速してしまうのです。
実は今、医学研究の分野ではこの老化細胞を除去する研究が盛んに行われています。専門用語で「セノリティクス」というのですが、特定の医薬品を摂取したり薬剤を塗ったりすることで、できてしまった老化細胞を除去する技術が開発されつつあるのです。
これは本当に画期的なことで、将来「あのときに歴史は変わったね」と振り返れるくらいのインパクト。私は化粧品に携わる研究者として、肌からのアプローチに可能性を感じています。
ちなみにセノリティクス(=老化細胞除去)研究で着眼したのは、私たちの体に元々備わっている「アポトーシス(プログラム細胞死)」という機能。役目を終えて不要になった細胞は、計画的に生命が終えられ消滅します。顕微鏡で観察すると、炎症を起こしたり周りを傷つけたりすることなく、該当の細胞だけがシュッと小さくなり生命を終えていきます。私たちの体では、そういった巧みなシステムが常に働いているのです。
不要な細胞は、計画的に生命を終え静かに消えていく。アポトーシス(プログラム細胞死)は、人間はもちろんのことさまざまな動物や植物にも備わっている生体の仕組みです。
けれど、老化細胞はアポトーシスをかいくぐって生き延びてしまいます。いったん増えると、なかなか厄介な存在なのです。
加齢した肌ではアポトーシスが誘導されにくくなる

セノリティクスとは、いわば人工的にアポトーシスなどの反応を起こし、老化細胞を除去する技術。私たちの研究所では、セリ科ハーブエキスにその働きを認めています。
老化細胞を除去する「セノリティクス」成分として発見されたのが、セリ科のハーブ。
資生堂みらい研究所ではセリ科ハーブエキスを肌の細胞を用いた実験モデルに添加することで老化細胞が除去されることを見いだしています。
セリ科ハーブエキスなし

緑色部分:老化した線維芽細胞
セリ科ハーブエキスを添加

そして大切なのは、細胞のひとつひとつにそういった活動の源となる酸素や栄養を充分に届かせること。そのためには、肌のすみずみにまで張り巡らされている毛細血管を丈夫にすることが不可欠です。加齢と共に、毛細血管の壁を構成している細胞同士の間に隙間ができ、酸素や栄養素が漏れ出てしまいやすくなるのですが、レッドクローバー花から抽出したエキスに、細胞同士の接着を強め、毛細血管を丈夫にする働きが期待できることを突き止めています。
私たちの体は、血液から酸素や栄養を受けとり活動を行います。肌など体の表面近くを走る毛細血管はとても薄い壁でできていて血管の壁を通して酸素や栄養が必要な場所に届けられ、そして老廃物など不要なものを回収していくのです。
体の中を流れている血管は、長さにすると約10万km*にも及びます。そのうちなんと99%は毛細血管といわれます。肌を巡る毛細血管は、とても大切な存在なのです。
*成人男性の場合
老化細胞を除去することで未来の老化を未然に食い止め、そして血流を良くすることで今の肌状態を底上げする。そのふたつのアプローチが組み合わされば、老化を止めることも夢ではありません。肌年齢を日々のケアで変える時代がいよいよ現実のものとなりつつあります。
毛細血管は、細胞一層でできているとても薄い血管。そんなに繊細なのにもらさず血液を運ぶことができるのは周りに細胞同士の接着を強化する〝味方〟が寄り添っているから。
免疫細胞の一種「鎮静型マクロファージ」が血管へのダメージによる悪影響を抑え、血管の壁を丈夫に維持します。レッドクローバー花エキスには、このマクロファージの遺伝子発現を増やす効果が。

協力/クレ・ド・ポー ボーテ
0120・86・1982
この特集で使用した商品の価格はすべて税込み価格です。
- 撮影/李 有珍(aosora)
- イラスト/リバー・リー(softdesign)
- 構成/もりたじゅんこ


老化細胞とは、分裂が止まってしまった細胞のこと。新しい細胞へと生まれ変わることなく肌に居座り続けます。しかも、炎症などを引き起こす悪い因子を分泌するため周りの細胞がダメージを受けて老化してしまいます。
ほとんど機能していないのに周りの存在をどんどん仲間へと引き込んでしまうことから「ゾンビ細胞」と呼ばれることも。増えれば増えるほど加速度的に増えうるのでいかに食い止めていくかがカギとなります。