お悩み別ケア
2016.5.3

にわかに見えてきた「白くなれない原因」。ハッキリ言おう。美白はむしろこれからが面白い!! 文・齋藤薫

《2016 美白コスメを斬る!》

いきなりだけれど、ズバリ今年の美白は買うべきなのか? そもそも美白は効くのか否か? そこでまず聞いてほしいのが、一見同じように見えても、昔の美白と今の美白は、ハッキリ別ものになっているという事実。それも「美白はもう諦めた、使うのをやめてしまった」という人が少なくないからなのだ。

例えば今年、“速攻美白”を謳うたう美白が目立つが、以前に何度も聞いたことがある言葉。なーんだ、変わってないじゃん? と言うかもしれないが、昔の“速攻”とはもうレベルが違う。そういえば“DNA美白”の言葉も随分前から使われていたが、ウソだったわけじゃない。かつては“理論上そうなるはず”という段階だったが、今は研究が一気に進んだ上にテクノロジーが劇的に進化。だからそこには、子供と大人の違い、いやそれ以上の差があるのだ。だから昔効かなくても、今は効く。美白程“進化すること”に、真摯に取り組んできたジャンルはほかにないのだから。

で、最初の“進化”といえるのが、“可視化の革命”。シミのある肌のメラニンの状態を面ではなく立体で、2次元でなく3Dで、いわば水槽のように360度から見られるようになったのだ。これによる発見が、実はたくさん。まず新製品の度に“新発見”を掲げる資生堂HAKUが、この3D可視化※1 によって、消えないシミの奥では、すり鉢状の真皮のへこみにメラニンがたまっていたことを突き止め、対策として3Dターゲティング処方を生んだ。

一方、SK-IIは“肌曇り”※2 あるいは“もやもやジミ”※2 への美白を打ち出したが、これも水槽を見るように肌の中を3Dで見た結果の発見。実は多くの肌を悩ませていたのは、“くすみ以上、シミ未満”の“もやもや”だったことを知らしめた。ちなみにSK-IIは今回、美白ラインを整理させる形で“ジェノプティクス”シリーズとして新作を発表したが、これは“ゲノム学=遺伝学”という意味。まさに本当のDNA美白が始まったという宣言なのだ。“肌曇り”を晴らして“快晴肌”に導くのは、DNAレベルでの未体験の手応えなのである。

さらにシミの原因は紫外線だけじゃない。なんと“常在菌”※3 や“悪玉タンパク”※3 もメラニンを生んでしまうことが解明された。そもそも、“誤作動”のような肌機能の狂いがメラニンを過剰発生してしまう仕組みもいくつか発見されていて、クラランスは“がん細胞の転移”にも関わるというエクソソーム※4 に、知られざるメラニン生成ルートを見いだした。

全く逆にラグジュアリー系のブランドは、“名画の天使に見るピンク肌〟(ゲラン)や“ドレスに負けないクチュール美白〟( イヴ・サンローラン)を提唱しているが、これもただのイメージ戦略じゃない。ちゃんとサイエンスに裏打ちされたもの。例えばYSLは睡眠ホルモン“メラトニン”の血中
濃度とメラニン活性の関係に着目するなど、これまでの美白処方とは、全く異なるいくつものカギが今回提示されたのだ。

もちろん、テクノロジーの進化も目覚ましい。成分の“ナノ処方”も確実に進化。ナノテクで群を抜く富士フイルムのアスタリフトは、美白力を10倍にアップさせていて、半端じゃない“速攻”に胸を張る。さらにメディカル美白の旗手、ロート製薬のエピステームは、製薬会社として皮膚科医が治療に使うハイドロキノンのシェアNo.1の強みを生かした“治療美白”を強化させている。

クリニークのダブルボトル美白もユニークで、肌色均一ケア×抗酸化ケアで、肌色の過去と未来の両方を同時に浄化する1本として、“効きめ”に絶対の自信を見せた。また“敏感肌のエイジングケア”という新ジャンルを確立させたコスメデコルテのフィトチューンは、毛穴の黒ずみたるみを抗酸化ケアする“目に見える美白”を発表。“目に見える”といえば、なんといっても角質を白く染めるアルビオンの“セルフホワイトニング美白”が筆頭に上げられるが、新生セルホワ美白※5 は、“表皮全体”を白く染めてしまう。これ以上の“速攻美白”はないはずで、かつての“速攻”とは次元が違うことがわかるだろう。だからハッキリ言おう。美白はむしろ、これからが面白い!!

 

《キーワード》
※1…3D 可視化
3次元での肌解析により、皮膚深部のメラニン凝集の発見など、新事実が続々。解決策も進み、美白界最大のニュースに。

※2…〝肌曇り〟〝もやもやジミ〟
目立つシミはないのに〝なぜか肌がキレイに見えない〟要因は、潜在ジミ、拡散したメラニン、慢性的な炎症の3つと判明。

※3…〝常在菌〟〝悪玉タンパク〟
本来、細胞活性における重要な役割を担う。生成過剰などの誤作動により細胞外にあふれ出すと、メラニン生成の要因に。

※4…エクソソーム
メラニンの過剰生成を促す信号を送る細胞外小胞。従来のシミ生成メカニズムに関わる新たな原因として注目される。

※5…新生セルホワ美白
今までの角層アプローチを、表皮全体に拡大。深層から肌を白く染め上げるような発想だから、光反射による透明感がアップ。

 

 

プロフィール
さいとうかおる/美容ジャーナリスト。本誌連載『齋藤 薫の馨る女 EX』をはじめ、製品の特徴を的確に捉えた美容記事の執筆や、化粧品開発のアドバイザー、講演会など幅広く活躍中。

 

 

撮影/唐澤光也、辻郷宗平 デザイン/GRACE.inc 文/森本恵子 構成/堀田順子・中島麻純・横山千春(スタッフ・オン)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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