美的クラブ
2023.2.28

箱根五感美容旅(視覚編)〜アートからステイホームとこれからを考える〜【美的クラブ通信】

By 高橋 里佳

高橋 里佳

こんにちは、美的クラブの高橋里佳です。

今回は体感アートを通して、私たちが長い時間を過ごしている“部屋”について、今一度見直すきっかけを与えてくれた展覧会のご紹介します。

 

ポーラ美術館は、箱根の国立公園の森にとけこむように建っている美術館です。

私にとってポーラ美術館は自然・美しい絵画・美食を含め、センスの良いものが集まっていると思う、お気に入りの場所。

普段の生活からかけ離れることができる、まさに英気を養う場所です。

パンデミック以降、私たちの生活様式は大きく変化し、誰もが多くの時間を過ごしたのが、自宅の「部屋」という空間です。

安心感をもたらすように見えた室内での生活は、外の世界からの隔絶された閉塞感と隣り合わせになり、その空間で過ごす親しい人との関係は、変化の乏しい日々を生き抜くために、より尊重されるものとなりました。

先日訪れた展覧会では、19世紀から現代に至るまでの、部屋にまつわる作品を手掛ける作家を取り上げ、この小さな世界のなかで織りなされる親密な記憶や夢想のありようが表現されていました。

ステイホームの経験を通じて静かに変容した私たちの生活は、改めて部屋という空間を見直すきっかけになったことでしょう。

そんな今の私たちに響く『部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで』展をご紹介します。

9組の作家ごとにお部屋が分けられた展示になっており、今回はその中で特に印象深かった部屋をピックアップしました。

 

①髙田安規子・政子 の部屋

髙田安規子・政子 「Inside-out/Outside-in 」2023年

 

髙田安規子・政子 「Open/Closed」2023年

コロナ禍以降、部屋という空間は大きく変化しました。
リモートでのコミュニケーションによって、屋外との隔たりは縮まって…自分の部屋というのは、今まではプライベートな空間だったのに、パブリックとプライベートの境界が曖昧に。

そうした状況を踏まえて、室内外を繋ぐ役割をしている窓とドアに着目して、それを物理的な面と心理的な面での内と外の境界を表すモチーフとして作品に引用したとのことです。
この日の窓を覗いてみると…雪景色!

髙田安規子・政子 「Inside-out/Outside-in 」2023年

光が重要な要素である窓のインスタレーションは、時間帯や季節によって表情を変えてくれます。
この日の雪景色はとても綺麗でした。

 

② アンリ・マティスの部屋

大好きな画家の一人、アンリ・マティスの部屋。

アンリ・マティス作品の展示風景

マティスの絵は、部屋の壁紙や床の模様が可愛くって、華やかで…モデルが着ている服もカワイイ。
どちらも柄が多いのに調和しています。

左)アンリ・マティス 「室内: 二人の音楽家」 1923年

右)アンリ・マティス 「襟巻の女」1936年

 

アンリ・マティス「リュート」1943年

また、展示されている空間のピンクの壁紙や窓もかわいくて。
鮮やかで色彩豊かなマティスの作品を存分に楽しむことができました。


アンリ・マティス作品の展示風景

この部屋で撮った色々な方の写真が見てみたいものです。

 

③ 草間彌生の部屋
「ベッド、水玉強迫」という作品は、草間彌生さんの芸術を解き明かすいくつかの特徴が集約されているそうです。

草間彌生 「ベッド、水玉強迫」 2002 年

水玉模様は、今日に至るまで草間さんの代名詞ともいえる特徴。
そのモチーフを集積させるという行為はもとはというと、幼少期における幻覚や幻聴の経験に由来しているそうです。

草間彌生作品の展示風景

遠くで見ると、「水玉かわいい♡」と思うのですが、近くで見ると…

ゾッとする瞬間も体感してみてください。
このようなベットをモチーフとした作品は、世界に2つしかないそう。

貴重な作品を見られるので、ぜひ!!

その他にも、素敵なお部屋がたくさんあり、部屋ごとに画家の色を感じることができて、終始楽しめました。作品に触れながら、今一度、自分の部屋について考えるきっかけになるかもしれません。

 

ヴォルフガング・ティルマンス作品の展示風景

 

佐藤翠+守山友一朗作品の展示風景

 

 

ヴィルヘルム・ハマスホイ 「陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地」 1899 年

 

ピエール・ボナール 「静物、開いた窓、トルーヴィル」 1934年頃

 

 

【展覧会情報】

部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで

会期:2023年1月28日(土)~ 2023年7月2日(日)会期中無休

会場:ポーラ美術館 展示室1, 3

 

【今回滞在した場所】

ポーラ美術館

開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

休館日:会期中無休(悪天候により臨時休館あり)

HP:https://www.polamuseum.or.jp

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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高橋 里佳

五感美容研究家

高橋 里佳

自分らしいナチュラル美人を目指し、「肌・心・体」のキレイのために五感を活用した丁寧な暮らしを心がけています。非日常体験から、また違った視点のキレイ習慣を大好きな美的読者の皆さんと一緒に情報交換しながら「心身ともにキレイになる」方法を発信していたいです。

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