渡辺佳子のナチュラルコスメ入門（70）ブランドいちごのスキンケア効果に着目したメイドインジャパンコスメ「白いちご」

今回は、日本産のいちごを使った「白いちご」というブランドを紹介します。

白いちごは、宮城県山元町で生産されている「ミガキイチゴ」の中の種類です。

ミガキイチゴは、1粒1,000円もする超高級いちご。「食べる宝石」とも言われる、産地、製法、流通までを一環して管理しているブランドいちごなのですが、このいちごが生まれる背景には、東日本大震災がありました。

代表取締役の岩佐大輝さんは、宮城県山元町の出身。

「故郷が津波の大被害を受けてしまい、農地の復旧支援をしてきたものの、１年経っても農業が再開できた農家は129軒のうちの数軒という状況だったのです」と岩佐さん。

「祖父がいちご農家をしていたこともあり、何とかいちごの生産を復活させたいと考えた結果、塩害でやられた土を使わず、高く設置した柵に養液を流して栽培する方法に切り替えようと思ったのです。この農法ですと、水、太陽、肥料などの量をコンピューターでコントロールしながら与えられます。常にいちごにとって最良の環境が保てる、と同時に農薬の量も少なくてすみ、ビタミン豊富な品質のよいいちごを生産することができるのです」

実は、岩佐さんはソフトウェア開発の会社を起業しており、そうしたコンピューター制御の管理は専門。
故郷の農業を立て直すことと、自分の得意な分野とを結びつけたのでした。

「そうはいっても、温度や湿度、二酸化炭素の量などの微妙な調整には、長年いちご作りをしてきた匠とも呼べる作り手さんの感覚が必要です。どういう湿度になった時に窓を開けるか、など、熟練者の感覚を再現することを目標に生産を進めました」
いわば、ITと職人の技が融合されたブランドいちごが、こうしてできあがったのでした。

宮城県山元町にある農業生産法人ＧＲＡは、農水省、産官学と連携し、情報通信技術を応用した最先端大規模施設農園芸に取り組んでいる。
環境にやさしい高設養液栽培で、高品質ないちごを生産している。栽培品種は「とちおとめ」と「もういっこ」。これらの品種から規定の糖度と品質をクリアしたものに「みがきいちご」と名づけブランド化。これまで難しかったいちごの通年収穫も目ざしている。

「みがきいちご」は2012年の冬に、伊勢丹新宿店での扱いがスタート。一躍、高級いちごとして名前が知られるようになりました。
いまではミガキイチゴを使用したスパーウリングワインの生産も。