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2017.4.23

【齋藤 薫さん連載 vol.61】人生は何度壊してもやり直せる!

美貌も知性も品性も持ち合わせた“完璧主義”な女性は、その完璧さゆえに、パートナーとの別れ、人間関係、仕事など、自ら人生を壊してしまいがちです。ただ、彼女たちがスゴイのは、どんなに潰れても逃げない! 次へ行くこと。這い上がり、さらにもっと素敵な女性になっていく――
そんな女性からの学びを薫さんが語ります。

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完璧主義であるがゆえに、自分の人生を
力ずくで壊してしまうアンジーという女

結婚離婚が、夫婦それぞれの好感度を乱高下させるのは、ハリウッドでも同じこと。特に離婚はその人の本質を世の中に再認識させるようで、例えば夫ジョニー・デップのDVを訴えて、離婚劇に持ち込んだ若妻アンバー・ハードは、被害者だったはずなのに、終わってみればすっかり悪者になっていた。周囲がジョニデを、「そんな人じゃない」と擁護し、アンバー・ハードを性悪と位置付けたから。そして最近になって全く同じパターンになってきたのが、ブランジェリーナ=ブラピ×アンジェリーナ、ハリウッド一の〝おしどり夫婦〟のはずが、こちらも当初はブラピが息子を虐待したから、というニュースが流れたのに、今や世間はみなそのブラピの味方となっている。

一体なぜ? 実際の離婚の理由は、どうもアンジーの尋常ではない嫉妬にあったのではないかと言われているのだ。この2月に公開された話題作『マリアンヌ』でブラピが共演したフランス女優マリオン・コティヤールへの嫉妬! 夫の共演者にヤキモチを焼くなんて、アンジーってそんなに子どもっぽい? と意外だったけれど、改めて考えてみるとこれは極めてアンジーらしい判断なのだ。ブラピは事実婚状態になってからは、 極力〝恋愛系映画〟を避けてきたが、ラブシーンもたっぷりあるこの映画出演には、妻を長い時間説得してまで出演を切望したという。これに対しアンジーは、彼女だけはやめてと言ったとか。自分とどこか似ているのに、女としては正反対の穏やかで物静かなコティヤールには激しく嫉妬の炎を燃やしたというのだ。離婚はこれが決裂した結果なわけだが、妻にはこれがどうしても許せず、夫はそんな妻にさすがに辟易したということなのだろう。完璧主義な女ほど、自ら人生を壊すようなことをするのだ。少なくとも妻は夫を激しく愛していたはず。だから許せずに、関係を自ら破壊してしまう、噓までついて。〝激情型完璧主義の女〟が陥りがちな行動だ。これでアンジーは満足なのだろうか。いや半分満足で、半分は絶望的なのだろう。〝夫の心変わり〟を妻としてどうしても避けたいという、強固なプライドによる目的は果たせた、でもその夫を失った。悲しいことに、コティヤールとブラピの間には何もなかったらしい。アンジーがこの女優だけは絶対にダメという激しいこだわりを持ったのも、正反対である自分の性格に強いプライドを持っている現れに違いないのだ。

アンジーはもちろん信念の人。今年久しぶりに香水のミューズとなったが、ギャラは全額寄付という人。素晴らしいけれど、すさまじい。立派だけれど、立派すぎる。そして素敵だけれど激しすぎる。自分でもその性格を持て余しているのだ。まさにこういう人は、自分の強さに人生を潰されてしまうことが起こりうる、それはとても悲しいことだけれど、でも同時に、そのまま潰れたままであるはずがない人。またむくむく起きだして、新しい人生をあっという間に構築してしまうのだろう。そういう意味でのスピード感もすさまじい。生きる上で誰も真似のできない推進力、でも自分で作った積み木のお城を、完璧でないからと自分で壊してしまう。ある意味不器用でもある人なのだ。少なくとも自分のプライドに対し完璧主義になってはいけない、今回の離婚の顚末は、その教えである。

自分の人生を自分で壊すのは、ありかなしか?
〝あの電撃引退女優〟に、学ぶ

アンジェリーナ・ジョリーを〝自分の性格で、自分の人生を壊してしまう人〟と言ったけど、もちろん離婚がイコール人生を壊すことでは全くない。ただ、皮肉にも一生懸命生きている人ほど、自分で自分の人生を壊してしまいがちなのは確かなのだ。

先ごろも、大きな波紋を呼んだ〝若手女優の芸能界突然の引退劇〟。そこには、賛否両論多くの意見が寄せられた。もちろん基本的には、たくさんの人が関わっている仕事を、個人の都合だけで途中で投げ出す無責任さを非難する声がほとんど。でも一方に、まだ20歳そこそこの若さというエクスキューズと、自分の意にそぐわない仕事をさせられる社会に対する批判もあって、この人を擁護する声も少数派だけれどもあったりする。

確かに、これまで懸命に今の仕事をこなしてきて、一生懸命すぎたから限界まで疲弊してしまったのだろう。本当にまだ若い女性たちが、必死に生きているからこそ限界まで働いてしまい、そして壊れてしまうという悲劇が少なからず起こっている時代だから、100%非難にまわってしまうこともできない気もする。

本当に辛ければ、本当に悲しければ、生きる場所を変えてもいいと思う。ただあくまで、まだ社会に出て間もなければ、生きて行く場所を変えるその方法すら知らず、自分を辛い場所に置いたまま、 心も体もすり減らしてしまうことってあるはずで、そういうことがあってはならないから、ドラスティックな方法で、自分の立ち位置を変えてしまう事も、場合によっては必要という意味で。

ただ、フツウは彼女の場合のように、次に行く場所など用意されていない。ましてや前の場所への不満を並べても誰も聞いてくれない。前の場所の文句を言ったら、言った分だけ自分に返ってきてしまう。この人の場合は、次の舞台が完璧に用意されていたから、唐突に逃げてしまえたわけだし、そこで不満も聞いてもらえた、だから余計に批判を浴びているのだと思う。きっと出家という用意がなかったら、こうはなっていなかったはず。そう、次の場所がないから、みんな今の場所で頑張っているのだ。恋愛も仕事場も人間関係も、ここを逃げたら次がないから、みんな黙々と頑張っている。でも今や、人生は何度でも積み立て直せるレゴのようなもの。思い切って壊していい。それが何度も何度もになると、何が何だか分からなくなり、前の経験が活かせなくなるから逆効果だけれども。そんなデータはないが、2回までは全然オッケー。で、 3度目の正直を狙うのが得策なのかもしれない。大丈夫。勇気がある人だから壊せるのだし、頑張れる人だから壊せるのだ。積み木と一緒で一度壊した方が、経験値からもっと高いもっと立派な積み木ができるはずだから。

でも大切なのは、「逃げる」のではなく、次に行く。逃げるから無責任になるわけで、強い意思を持って次に行きたい、それが伝わればどんな転職だって許される。きっとすぐにみんな忘れてしまう一女優の引退からも、そんなことを学び取りたいのだ。これからは人生100年。20代30代は、 まだほんの入り口。 何度出直しても、何度やり直しても、何度壊してもいい。ただ1つ、逃げなければ何をしてもいい、それを学んだはず。

アンジーだってまだやっと40 歳。まだ全然半分も生きていない。この人のエネルギーがあれば、これから何度やり直せるか分からないほど。だからどんどん壊せばいい。壊さなければ、新しい積み木は組み立てられない、 新しい人生は始められないのだから。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)、『The コンプレッ クス 幸せもキレイも欲しい21人の女』(中公文庫)など多数。

美的5月号掲載
文/齋藤 薫 イラスト/緒方 環 デザイン/最上真千子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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