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2016.8.23

【齊藤 薫さん連載 vol.53】“気立てのいい女”は、幸せを掴む

〝気立てがいい〞と世間で言われる女性は、持って生まれた性格がまっすぐで邪気がない女(ひと)のこと。後天的ではないので、誰もが簡単に真似できるものではありませんが、彼女たちの〝素直さ〞は見習いたい!  だって〝素直な〞女性に心惹かれない男はいないのだから。

かおる女_ILL

気立てのいい女性と結婚して、
幸せになりたい男たち

東大生男子に、将来の夢を聞くインタビューで、「中世の日本文化に関する新たな学問領域を作ること」とか「金融工学を学んでアクチュアリーになること」とか、理解不能ながら、極めて具体的な夢を語る、いかにも東大生な回答が多い中、こんな答えを見つけてハッとした。「気立てのいい女性と結婚して、幸せな家庭を築きます」

ウケ狙いなのかもしれないが、1周回って、ひとつの原点に戻ってきてしまったのかもしれないと言う気もした。東大生なればこそ、そういうこともあり得るのではないかと。

気立てのいい女性と結婚したい……なんだか心地の良い言葉だ。昭和な響きも、いっそ新鮮に聞こえたりする。いずれにせよ、なるほどそういう視点を持つエリート男子が、改めて増えていく時代なのかもしれないと思ってみた。

もちろん見様によっては、〝女は気立てがよければそれでよし〞という、とことん男尊女卑の回答にも見えるけれど、でもそれが世界共通、時代を問わず普遍的な理想の妻像であることは間違いないのだ。ここはひねくれた見方はやめて、素直に考えてみたい。平成男子にも愛される、厳密に言えば、「結婚したい」と思わせるのは、気立ての良さなのだって。

気立てがいい……言うまでもなく、性格が良いこと。特にそこには、生来の気質として、素直であることと言うニュアンスが感じられる。つまり、社会性があるから、礼儀正しく感じがいい……と言うよりは、学習も計算も何もなく、持っ
て生まれた性格がまっすぐで邪気がないことを意味する言葉である。

そしてもっと言えば、天真爛漫で明るく元気、健康であることまでが、そこにイメージできるのだ。だから、かの東大生も、幸せな家庭を作る上では不可欠の登場人物として、気立てのいい女性をあげたのだろう。なんだかいつも、家でニコニコしているイメージまでが伝わってくるから。

ちなみに、〝気立てが良い〞は、男性に対してはあまり使われない。基本的に女性用語。ましてやあまり年齢を重ねた女性には使われない。〝気立ての良い娘〞という常套句があるように、やはりこれは、単なる形容詞じゃなく〝理想の花嫁〞の条件にこそ使われる言葉なのだ。じゃあ、具体的にそれは誰のイメージかと言うなら、今や時の人となった平愛梨なイメージ。長友選手との熱愛が報道された時、きっと誰もが「いい感じ」と思ったはず。それはアモーレ長友の好感度の高さもさることながら、誰もが気づいたからだった。平愛梨こそ、気立てのいい花嫁タイプだったこと。

不思議なもので、交際報道や、結婚報道が出た途端、世の中が潜在的に持っていたその人のイメージがにわかに表面化してくるが、彼女はまさに幸せを呼ぶ女だった。しかも、長友という人自身がいかにも〝気立ての良い女性〞を選びそうであり、確信を持って幸せな家庭を築きそうであることも手伝って、世間はこんなに「いい感じ」はめったにないと思ったに違いないのだ。ましてや、ああいう気立ての良い女性が幸せになるのは、なんとも気持ちの良いものだって。いちばん、幸せな暮らしが似合う女……だからちょっとこちらまで幸せな気持ちにしてくれる。気立てがいいって、偉大だ。

〝気立てのいい天然〞こそ、
世にもうらやましい女たちである

かくして、この平愛梨という人に、私たちは直ちに関心を持つことになった。女優としてもタレントとしても、なかなか稀有な存在で、簡単には理解ができない。うらやましい結婚をした女性として、なんだかお手本にしたいものの、一体どこから手をつけていいかわからない、そんな存在だからである。

この人にはもっぱら、〝天然〞の噂がつきまとい、果たしてあの天然ぶりは本物か?という声も上がったほどだが、逆に狙ってできるレベルじゃないほどの、天然発言も多々。少なくともアザとさが見えてこないから、疑惑が解けたの
だろう。もちろん、「天然=気立てが良いこと」ではないけれど、少なくともこの人の場合は、気立ての良さが、天然を強調させているタイプ。いつ何時も自分を作ったり飾ったり、自分をよく見せようという発想がないから、天然が丸見えになってしまう。そういうふうに好意的に見たくなるタイプなのだ。

言いかえれば、天然も気立ての良さも装えない。だからこの人が〝気立ての良い天然〞であること自体、見ればわかるはずなのだ。そもそもが〝作った天然〞の計算高さは半端じゃなくて、ぶりぶりする計算高さや、家庭的なふりをする計算高さ、門限ありの家で厳しくしつけられたふりをする計算高さより、もっと狡猾。はっきり言って気立ての良さとは対極にあるタイプ。だから見間違えたりはしないはずなのだ。

まあ今時、天然のふりもないだろうが、たまたまの天然発言がたまたま受けて、妙に男たちにもてはやされてるのに味をしめ、無駄な天然発言を繰り返す。そんな危険は犯すべきじゃない。天然はやっぱり特別気立ての良い人の特権に他ならないのである。

もちろん、本物の天然にも〝気立ての良くない人〞はいるわけだが、そういうタイプは、ただただ空気の読めない身勝手な女に見えてしまう。だから天然発言も許されない。単にズレまくっている女として処理される。天然は、気立ての良い女にだけ許されるのだ。唐突に奇妙なこと言って許されるのも、天然発言を可愛いと思われたりもするのも、人柄が大前提。だからふたつはセットで持っていないと、全く意味が無いのである。

そういえば、綾瀬はるかも同じバランスをもっている。それが、女としての魅力のひとつなのは間違いないのだ。

知っていただろうか?長友選手との交際は、初対面のご飯をしたその日のうちに、平愛梨が「私、もしかしたら好きになったと思います」と言ったらしいこと。もちろんこの日、〝親友〞であるという三瓶ほか1名が一緒であったと言
うが、そうであってもなくても、初対面の日にこのセリフをするりと言ってしまえることそれ自体が、天然のなせる技と言えないだろうか。普通は言えない。もちろん女として自信があるからこそ言える言葉なのかもしれないし、単に「ファンになりました」という意味なのかもしれない。真相はわからないが、でもおそらくは〝気立ての良い天然〞だからこそ、変に構えず言えた一言なのではないか。

漏れ聞こえてくるのは、意外に人見知りで、自分からうまく話せるタイプではないからこそ、三瓶がいつも一緒らしいこと。そういう人だけに、あっちでもこっちでも「好きになったと思います」と言ってるわけではない。本当にそう感じ、おそらくは何らかの運命をとても強く感じたから、ぽんと出てしまったひと言なのだ。

なんかうらやましい。この自然体、この素直さ、この不意の突き方……少なくても天然のふりは厳禁だけれど、〝素直な気立ての良さ〞は幸せになる最強の手段として、覚えておかなくては。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)、『The コンプレッ クス 幸せもキレイも欲しい21人の女』(中公文庫)など多数。

美的9月号掲載
文/齋藤 薫 イラスト/緒方 環 デザイン/最上真千子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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