健康・ボディケア・リフレッシュニュース
2009.4.16

西の国から美的通信#25 五島の旅(2):塗ってよし、食してよしの椿油を堪能する!

A:「五島では椿の実のことを“硬し(かたし)の実”と言うんです」と説明してくれた女将さん。
B:これが椿の実が入っている「硬し(かたし)」。形もなかなかかわいらしい!
C:おちょぼ口のような小さな注ぎ口から椿油を注ぐ。自ら壺を持って実演していただきました。
D:やっと出合えた手作りの椿油。暗室に保管されていただけあって、かなり状態がいい。
E(写真上):民宅のお母さんが惜しげもなく、椿油を注いでくれました。 F(写真下):アジのすり身を揚げているところ。もちろん、椿油100%の贅沢なお料理ですよ♪

前回の五島の旅はビジネスホテルでしたが、今回はより地域に密着できるように上五島では旅館、小値賀(おぢか)島では民泊を体験しました。五島列島は美しい大自然とおいしい食べ物がある魅力的な島ですが、なにせ頭の真ん中に椿油のアンテナがドーンと立ってしまっているゆえ、現地に行くとどこにいっても椿油のことを聞いてしまう自分がいました。すると、不思議と願えば叶うもので…、初日にお世話になった永田旅館の女将・永田孝子さんから貴重なお話を(写真A、B)伺うことができました。

「ここ青方地区では、ほんの30年前まで椿油は自家製だったんです。うちの姑も作っておりましたよ。作り方ですか? ちょっと聞いてきてあげましょう!」。そういって、大正6年生まれ、今年92歳になるおばあちゃん直伝の椿油の作り方を教えていただいたのです。

採った椿の実をよく乾燥させる。
(乾燥があまいと油のできが悪くなるとか)
大きな鍋で実を乾煎りする。
その後、杵や小槌などで細かく砕く。
熱湯に細かくなった実(粉)を入れると、油が浮いてくる。
浮いた油を丁寧にすくいとる。
油に湯が混じった時は、もう一度火にかけて油だけをすくいとる。実1升で油2合なり。
永田旅館には以前、椿油を保存していた専用の壺も残っていて、女将さん自ら「こうやって使っていたんです」と、実演(写真C)までしてくださいました。今でこそ自家製ではなくなった椿油ですが、当たり前に生活に密着していてヘアケアはもちろん、スキンケア、お料理と多岐にわたって使われています。なかでも女将さんが教えてくれた活用法で心に残ったのが…以下の2点。

スキンケア編

「夜、お風呂に入ったとき、まずお化粧を落としますね。その後、椿油を数滴、顔につけて湯船に浸かるんです。その時、蒸したタオルを顔の上において、10〜15分塗布した後、ざっとオイルを流してください。翌朝のお肌がしっとりします! 特に乾燥なさっている方におすすめですよ」

お料理編

「揚げ物に使うととってもおいしいのですが、地元においても贅沢な使い方です。私は南蛮漬けなどを作るときに、通常はサラダ油で魚を揚げるところを素焼きにして、出汁に漬け込みます。その中に椿油を数滴入れると味がまろやかになって味にコクも出るんです。油で揚げていない分、ヘルシーですよ! 五島の油は香料など一切入っていない純粋なものだから、こうして食用にも使えるんです」

いずれもすぐに活用できそうなものばかり。気軽に教えてくださった女将さんに感謝です。しかし、「おいしい椿油の揚げ物って…どんな味なんだろう?」。女将さんのさりげない言葉を聞き逃さなかった私は、未知の味に思いを巡らせていました。「椿油の揚げ物が食べたいな」。とはいっても、地元の人も贅沢とされている料理。そんなに簡単にありつけるものではありません。

翌日はまた船に乗って、上五島から北上して小値賀島へ。民泊の体験プログラムが、農業、漁業、畜産などがある中で、私が体験したのは郷土料理。料理好きの私としては願ったり叶ったりで、民宅のお母さん(山田ヨシ子さん)と一緒に地元名産のかんころ餅作り(これは次回にご紹介!)や、新鮮なアジで作ったすり身の揚げ物…など、その日の夕食を一緒に作りました。料理を作りながら、またまた椿油のことを伺っていると、「そうそう昔、椿油は各家庭で作っとったんよね」という話になり、スキンケアで椿油は必須よ! とのこと。そこへたまたま、手伝いに来てくださっていた町長の奥さまが「中野さんとこは今も自家製やもんね。そういえば、以前いただいた手作りの椿油がうちにあるんやなかったっけ?」。思わず目を輝かせると、「持ってきてあげる!」となんともうれしいお言葉。

持ってきていただいた油は(写真D)、椿油の黄色を色濃く残した状態のいいもので、とにかくたっぷりの量。「椿油の揚げ物っておいしいんですってね!」と、ちょっと前に私が話していたことを覚えていてくださったのか、「これでアジのすり身を揚げてみよう!」ということになりました。なんとまぁ、食の神様は私をお見捨てになられなかったようで…「椿油の揚げ物が食べたい」という願いは一日足らずで叶ったのでした。

念願の椿油100%の揚げ物(写真E、F)は、通常の油とは比べモノにならないほど、サクっと揚がりました。もちろん、味も格別。余分な油分がないので、素材本来の味が楽しめます。小アジの身をスプーンでほぐし、頑張ってすり鉢ですったかいがあり、とってもおいしくいただきました。なんというか、椿油で揚げたものは冷えてもおいしいんですね。時間が経ってもベチャっとならないのは、正直驚きでした。途中、比較するために、野菜のかき揚げはサラダ油を混ぜて揚げてみたのですが、やはり椿油100%の方がきれいにカラっとしていて、断然おいしく揚がりました。つくづく塗ってよし、食べてよし、揚げてよしの椿油は万能なのだということ実感。ここまで堪能できたら、もう思い残すことはありません。大満足です。

でも、最終日の夜にして、「椿油の手作りしているところを見たかったら、中野さんところが作るときにまた来るとよかたい」と小値賀島の町長さん。たまたまお世話になった民宅に遊びにいらした町長さんご夫婦と夕食をともにしたのですが、そこでまたまた椿油の話で盛り上がり、このようなありがたいお言葉をいただきました。永田旅館の女将さん、民泊でお世話になった山田さんご夫婦、小値賀島の山田町長さんご夫婦、本当にありがとうございました。

<次回は五島・椿の旅、番外編として、繊維質たっぷりの美容食・かんころ餅作り体験を綴ります!>

<取材協力>
永田旅館
長崎県南松浦郡新上五島町青方郷1119
TEL 0959-52-2055
NPO法人おぢかアイランドツーリズム協会
http://nozakijima.jp/

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事