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2013.11.28

大高博幸の美的.com通信(191) 『利休にたずねよ』『ブリングリング』 試写室便り Vol.56

©2013「利休にたずねよ」製作委員会
©2013「利休にたずねよ」製作委員会

時の権力者をも畏れさせた茶聖・千利休が、本当に愛したものとは?
彼の心に秘められた謎に迫る。
利休にたずねよ』 (日本映画、123分)
12.7 ロードショー。www.rikyu-movie.jp

【STORY】  雷鳴がとどろく雨嵐の早朝、三千もの兵に取り囲まれた利休屋敷。大閣・豊臣秀吉(大森南朋)の命により、今まさに稀代の茶人・千利休(市川海老蔵)は 自らの腹に刃を立てようとしていた。死に向かう夫に対して 妻・宗恩(中谷美紀)がたずねる。「あなた様には ずっと想い人が いらっしゃったのでは…」 その言葉が、利休の胸中に秘められた、遠い時代の記憶を蘇らせていく。 (プレス資料より)

原作は第140回直木賞を受賞した山本兼一の同名歴史小説。既に上映された海外の映画祭では“日本の美を体現する作品”として大きな注目を集め、第37回モントリオール世界映画祭・最優秀芸術貢献賞を獲得しています。
利休を演ずるのは市川海老蔵。「海老蔵さんが松竹系の歌舞伎俳優という事情等があり、東映としては 出演交渉が成立しなかった場合、この企画は あきらめざるを得ないと考えていました」と、製作担当の方が上映前の御挨拶で おっしゃっていました。

物語は切腹の日の夜明けに始まり、少しづつ時代を遡って 若かりし日の利休の情熱的な恋(“純愛”と言っても よさそうな恋)に辿り着き、切腹の場面に戻るというスタイルで展開します。
語り口は比較的淡々としていますが、それを各時代ごとに潔よく切って繋ぐという演出法により、緩かなテンポが引き締められている感じでした。また、十代の場面はベツとして終始物静かな利休に対し、秀吉の粗野な言動と表情とが鮮やかなコントラストを見せています。

主要な脇役としては、秀吉を演ずる大森南朋のうまさが極立っていました。利休を妬んで切腹に追いやりながら、自分自身の心の卑しさを“自覚”せずにはいられないようなニュアンスを デリケートに表現しているところが特に良かったです。
もうひとり、非常に印象的だったのは、ラスト近くの5~6場面に登場する置屋の女将:たえ役の大谷直子。個性的なアクの強い演技で知られていた彼女が、その持ち味を保ちつつ、今までになかった雰囲気を全身から発散していて、実に実に秀逸でした。

 

©2013 Somewhere Else, LLC. All Rights Reserved
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“セレブの家って、簡単に入れるの”
“泥棒したい”
“シャネルが欲しい”
“パリスの家に行こう”
ブリングリング』 (アメリカ・フランス・イギリス・日本・ドイツ合作映画、90分)
12.14 ロードショー。blingring.jp

【STORY】  舞台はハリウッドスターや人気モデルが数多く暮らす、ロサンゼルス郊外の高級住宅地カラバサス。セレブリティの生活に憧れるニッキーたち5人の少年少女は、セレブの豪邸をインターネットで調べ、次々に侵入し、きらびやかなブランド服やジュエリーの数々を盗み出す。まるでショッピングでも楽しむかのように。しかし、ほんの悪ふざけのつもりだった無謀な冒険は次第にエスカレートし、彼女たちを二度と後戻りできない場所へ追いやっていく――。 (プレス資料より)

全米を騒然とさせた衝撃の事件、ハリウッドセレブの豪邸をティーンエイジャーの窃盗団が襲ったというセンセーショナルな実話を、ソフィア・コッポラ監督が映画化した作品。物語のベースとなっているのは、パリス・ヒルトン、リンジー・ローハン、オーランド・ブルームらの自宅が、“ブリング・リング(キラキラした やつら)”と呼ばれる少年少女によって狙われ、計300万ドル相当の服や靴や宝飾品が奪われた窃盗事件。なんと、実際の被害者であるパリス・ヒルトンがロケ場所として事件現場となった自宅を提供、ラグジュアリー・ブランド・アイテムが所狭しと並ぶクローゼットやクラブルームetc、ゴージャスな暮らし振りを惜しみなく披露している点が一番の見どころといった感じです。

S・コッポラは、「今、我々が直面している様々な問題が凝縮されていると考え、この話の映画化を決意した」と述べているそうですが、その考えが十分に表現されていたかどうかは不明。なにしろ僕が一番驚かされたのは、留守中の豪邸の鍵が玄関前のマットの下に置かれていたり、庭に面したガラス窓が施錠されていなかったり、少年少女が侵入しても非常ベルさえ鳴らないという、セレブ連の不用心振りでしたから…。

窃盗団のひとり:ニッキーを演じているのは、かのエマ・ワトソン。目元に線的にグリッターを入れた彼女が、リップグロスを塗るシーンが何度かありましたが、その顔がビューティページ等に登場する多くのモデル以上に魅力的。彼女のくっきりとしたアゴの線がキラキラメークを強力に引き立てているってコトに、僕は今回初めて気づかされました。

 

ビューティ エキスパート
大高 博幸1948年生まれ、美容業界歴46年。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸の美的.com通信 https://www.biteki.com/article_category/ohtaka/

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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