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2017.6.20

『 しあわせな人生の選択 』『 いつまた、君と 』『 結婚 』 試写室便り 【 大高博幸さん連載 Vol.400 】

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© IMPOSIBLE FILMS, S.L. /TRUMANFILM A.I.E./BD CINE S.R.L. 2015

スペイン・アカデミー賞 < ゴヤ賞 > 最多 5 部門受賞。
全米映画批評 NO.1 サイト、ロッテントマト 100 % フレッシュ。

今年最高のスペイン映画!

しあわせな人生の選択
スペイン、アルゼンチン/ 108 分/ R15+
7.1 公開/配給:ファインフィルムズ
http://www.finefilms.co.jp/shiawase/

【 STORY 】 フリアンは スペインで俳優として活躍し、愛犬 トルーマンと暮らしていた。一方、トマスは カナダの大学で教鞭をとりながら 家族と暮らし、2 人は それぞれの人生を送っていた。
年月は流れ、ある日 突然 フリアンの前にトマスが姿を現す。それは、フリアンのいとこ パウラから 彼の具合がよくないと聞かされたからだった。フリアンは すでに治療をやめ、身辺整理を始めていた。彼は 説教されることを嫌がり、最初はトマスを追い出そうとするが、そんなことは おかまいなしに 4 日間 滞在するという。そして 2 人は 次第に 昔の遠慮のない関係に戻り、フリアンの残り少ない時間を 愛犬 トルーマンの里親探しなどに費やすことに。それは 2 人が 一緒に過ごせる 最後の日々でもあった――。はたして、フリアンにとって しあわせな選択とは。( プレス資料より )

この映画には冒頭から引き込まれ、自分でも少々驚くような集中力を持って全篇を観ました。たゞしヘンな緊張感は 全くナシで…。そして観終えてから心の中で泣きました。それも 不思議な安堵感と充実感に包まれた気持ちで…。唯一無二の こゝまでの親友関係って 本当に いゝな、羨ましいな という感覚もあり、僕は この映画を 決して忘れないだろうと思いました。

ファーストシーンは、静かに小雪が降っているカナダの住宅地。早朝、まだ ぐっすり眠っている奥さんにキスをしたトマス ( 額が広いほうの男性。演ずるのは ハビエル・カマラ ) が、そっと自宅を出て スペインへと向かいます。肺ガンで余命幾何もない親友のフリアン ( 演ずるのは リカルド・ダリン ) に会うために。ラストシーンは、フリアンとパウラ ( 演ずるのは ドロレス・フォンシ ) に見送られてカナダへ戻る、飛行機内の トマスの 横顔…。これは その間の、ふたりの 4 日間の交流を描いたヒューマンドラマです。

フリアンの余命の件が 物語の柱となっているので、「 気が重くなる種類の映画かも 」と 半ば 覚悟の上で 観たのですが、実際は むしろ 明るく 晴れ晴れとしたような気持ちにさせてくれる内容で、そこが 実に実に素晴らしく 貴重でした。

4 日間の出来事の中に、とても印象的なシーンが ふたつ ありました。ひとつは、フリアンがトマスを伴い、オランダで 学生々活を送っている 息子 ニコの 誕生日を祝いに、突然 出向く場面。もうひとつは、スペインへ戻ったフリアンとトマスが、フリアンの 元妻 グロリアと 街で 偶然に 出会う場面。詳しくは書きませんが、このふたつの場面には 誰も知らない〝 つながり 〟があって、わずか 4 日間の物語に 大きな膨らみを与えています。これらは〝 人間の心の機微 〟に関して 優れた 洞察力と 想像力を持つ方々にとっては、深い共感と 喜びとを もたらすでしょう ( 逆に、それが不足している より多くの方々には、貴重な気づきの機会を与えてくれるはずです。それは 人生を より充実させるために、とてもとても 大切なコトなのです ) 。

もうひとつ、愛犬トルーマンの里親探しは どうなったか…。それは 最後のシークエンスで 唐突に分かるのですが、映画の中盤で 僕が直感したとうりの結果になっていて、それが 本作を 非常に後味の良いモノにしています ( 犬好きの方々にとっても、これが 忘れがたい作品となるコトは 絶対確実 ) 。

いつも以上に 思うように書けないコメントとなってしまいましたが、少しでも 何かを感じ取ってくださった方々には 絶対に オススメします。ゴヤ賞 最多 5 部門受賞 + ロッテントマト 100 % フレッシュを信じて、ぜひ 観に行ってください。
監督は、日本では ほとんど知られていませんが、ゴヤ賞や世界各国の映画祭で 数々の受賞歴を持つ セスク・ゲイ ( 1967 年生まれ ) 。映倫 R15+ 指定は、男同士特有の 性的な冗談 ( とはいえ、実にサッパリとしています ) などが 出てくるから でしょうか?

 

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©2017「いつまた、君と ~何日君再来~」製作委員会

どんなに貧しくても、父ちゃんとなら、笑顔で乗り越えられた――。
時代の波に翻弄されながらも、日本人としての誇りを失わずに懸命に生きぬいた愛の物語。

いつまた、君と
何日君再来 ( ホーリー ジュン ザイライ )
日本/ 114 分
6.24 公開/配給:ショウゲート
itsukimi.jp

【 STORY 】 81 歳になった芦村朋子は、不慣れな手つきでパソコンにむかい、亡くなった夫・吾郎との思い出を手記として記録していた。しかし、朋子は突然倒れてしまう。そんな朋子の代わりに、孫の理が手記をまとめていくことに。
そこに綴られていたのは、今まで知ることのなかった祖母・朋子と 祖父・吾郎の波乱の歴史と 深い絆で結ばれた夫婦と家族の物語だった。その手記は、進路に悩んでいた理に、そして 朋子に対して ずっとわだかまりを抱いていた娘・真美の心に変化を もたらしていく――。 ( プレス資料より。一部省略 )

人気俳優・向井理が 映画化を熱望し、7 年の歳月をかけて実現した意欲作。
原作は、彼の母方の祖母・芦村朋子の半生記「 何日君再来 」。向井理が大学生時代に祖母の手記をパソコンで打ち直し、家族や親戚と共に自費出版、卒寿 ( 90 歳 ) を迎えた祖母へプレゼントしたもの とのコトです。
衣食住も まゝならない敗戦後の混乱期、吾郎 ( 理の祖父 ) と その妻・朋子が、時代の波に翻弄されながらも 誇りを失うコトなく必死に生きた〝 愛の実話 〟。現代の朋子 ( 野際陽子、1936年生まれ ) が書き綴った手記を 理 ( 成田偉心、’96年生まれ、新人 ) が一冊の本にまとめ上げる過程で、若き日の朋子 ( 尾野真千子、’81年生まれ ) と 吾郎 ( 向井理、’82年生まれ ) の姿が 回想形式で描かれていきます。

映画は 背景となる舞台だけでも、太平洋戦争勃発前の日本から、中国の南京と上海、敗戦後は 引き揚げ先の愛媛から、茨城、福島、大阪を 転々とするという変化に富む内容。これを 114 分で描き切るのは 当然ながら難しく、そのため やゝダイジェスト的な印象を与えはします。
しかし、時代の雰囲気を巧みに再現した映像と 出演者の熱のある演技によって、見応えのある作品となっているコトは確か。とりわけ 特筆に価するのは、若き日の朋子役・尾野真千子の好演。朋子は 生来 ハッピー・ゴー・ラッキーな性格のようですが、四面楚歌状態に置かれても 絶望的な気持ちを懸命に振り払い、夫を明るく励まそうとする 健気さ・殊勝さを、力強く、かつ 繊細に演じて 見事でした。

映画のサブタイトルにもなっている「 何日君再来 」は、朋子と吾郎が初めてデートした喫茶店で、ラッパ型の蓄音機から流れてくる 78 rpm レコードの曲名。映画のエンドロールでは、高畑充希が澄んだ声で、詩情豊かに歌い上げています。
重要な脇役を演ずるのは、岸本加世子 ( 朋子の娘 ) 、駿河太郎 ( 吾郎を思いやる先輩 ) 、イッセー尾形 ( 朋子の父 ) ら。監督は 深川栄洋。

 

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(c)2017「結婚」製作委員会

結婚しよう ―― それが、彼の別れの言葉。
ディーン・フジオカが、女性の夢を破り、それでも愛される < 結婚詐欺師 > に挑戦!

結婚
日本/ 118 分
6.24 公開/配給:KADOKAWA
KEKKON-MOVIE.JP

【 STORY 】 完璧なヴィジュアルに 知性と優しさが にじみ出る会話、何よりも匂い立つ その色気で 女性たちを虜にする男がいる。彼の名は 古海健児、ある時は 小説家、ある時は 空間デザイナーを名乗っているが、その真の姿は 結婚詐欺師だ。年齢も境遇も色とりどりの女たちの 愛されたいと願う気持ちを翻弄し、心と金銭を奪った途端、彼女たちの前から 忽然と姿を消す。ある日、偶然か 運命のいたずらか、騙された女たちが繋がり、共に 古海の行方を探し始める。なぜ、彼は 嘘をつかなければ生きられないのか、彼の本当の目的は何なのか? そこには、女たちの想像も願望も鮮やかに裏切る〝 秘密 〟があった――。 ( プレス資料より )

人気絶頂の ディーン・フジオカが、髪を 一筋 二筋 パラリと垂らし、ニヒルな雰囲気を漂わせる 結婚詐欺師役を演じています。直木賞作家・井上荒野が 男女の孤独と欲望を描いた同名小説の映画化で、演出は NHK 連続テレビ小説「 あさが来た 」で ディーン・フジオカの魅力を存分に引き出した 西谷真一監督。
映画は 主人公・古海健児の〝 トラウマ 〟 = 〝 秘密 〟を、徐々に明らかにしていく展開。しかし その描きかたは、残念ながら 成功しているとは言いがたい。にも拘らず、寂し気に「 浜辺の歌 」を口ずさんだり、格好よく社交ダンスを踊ったり、ピアノを弾いたり、シャワーを浴びたりする上、キスシーンとベッドシーンが それぞれ 3 ~ 4 回、さらに イメージシーンながら、騙した女性 三人と一度に絡むベッドシーンまで御覧に入れるというサービス振り。彼の大多数の熱烈なファンにとっては、おそらく垂涎モノでしょう。
共演者は、柊子、貫地谷しほり、中村映里子、安藤玉恵、萬田久子ら。

この映画を観ながら 僕が想像したのは、知的なヒネリのあるコメディでの結婚詐欺師役や、時代劇の眠狂四郎のような 真にニヒルな役を演じたならば、ディーン・フジオカのファン層は さらに拡大し、従来からのファンの方々も 一層 熱を上げるのでは? というコトでした。

 

 

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biteki-m@shogakukan.co.jp
(個別回答はできかねますのでご了承ください。)

ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸さんの 肌・心塾
http://biteki.com/beauty-column/ootakahiroyuki

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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