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大高博幸さんの 肌・心 塾
2017.5.16

『 素敵な遺産相続 』『 ローマ法王になる日まで 』『 ハロルドとリリアン 』『 夜明け告げるルーのうた 』 試写室便り 【 大高博幸さん連載 Vol.395 】


© 2015 Faliro House & Haos Film
© 2015 Faliro House & Haos Film

人生、恋愛も お洒落 ( しゃれ ) も
まだまだ これから!!
アカデミー賞® 2 大女優競演で贈る
人生 リスタートの物語!

素敵な遺産相続
アメリカ/ 92 分
6.3 公開/配給:ファインフィルムズ
finefilms.co.jp/isan

【 STORY 】 夫に先立たれた元教師のエヴァ ( シャーリー・マクレーン ) を、40 年来の親友 マディ ( ジェシカ・ラング ) は 明るく励ましていた。そんな中、夫が遺した生命保険 5 万ドルが 保険会社の手違いで 500 万ドルも振り込まれる。間違いに気づいたエヴァは 返金しようとするが、マディは そのお金で「 美しい島でバカンスを楽しもう 」と提案。2 人は早速、ヨーロッパの人気リゾート地 カナリア諸島へ向かう。
オシャレな服を購入し、豪華なホテルで豪遊三昧の 2 人は、貿易商のチャンドラー ( ビリー・コノリー ) と出会う。感じの良い老紳士だが、約束を忘れたり、会話がループしたり、単語が言えなかったりと 話が かみ合わない。しかし、チャンドラーの穏やかで優しい態度に エヴァは惹かれていく。
その頃、保険会社の職員 ヴェスプッチ ( ハワード・ヘッセマン ) は 保険金の回収の為に、エヴァの娘 クリスタル ( デミ・ムーア ) を連れて グラン・カナリア島へと向かう――。 ( プレス資料より。一部省略 )

還暦を迎えた女同士の友情と バカンス先でのロマンスに、ほんの少し怖いサスペンスをミックスした軽快なコメディ。全篇に漂う やゝ外れた感のあるユーモアのセンスが 却って新鮮で、面白い一篇となっています。
主演は、『 愛と追憶の日々 』( ’84 ) でアカデミー賞®主演女優賞に輝いた シャーリー・マクレーン ( ’34 年生まれ ) と、『 トッツィー 』( ’83 ) で同助演女優賞を、『 ブルースカイ 』( ’95 ) で同主演女優賞を獲得した ジェシカ・ラング ( ’49 年生まれ ) 。
S・マクレーン演ずるエヴァも J・ラング演ずるマディも 年齢相応の分別は備えてはいるものの、赤ん坊のようなところがある性格なので、とんでもない破目に遭うのでは? と、僕は ついつい心配しながら ふたりの行動を見守るコトに……。

S・マクレーンは、マンガチックで善良なコメディエンヌ振りを 遺憾なく発揮 ( たゞし地道なダイエットが必要 ) 。J・ラングは、すれっからし風でいて 自分にも親友にも正直な 恋多き女を好演 ( たゞしネックケアが絶対マスト。スリムなせい or 洗いすぎ or 保湿不足 or ハリウッドの乾いた空気のせいなのか、首筋のシワが とても目立っています。But、彼女の口元の表情の魅力は、皆さんの誰もが見習うべき ) 。さらに、露骨な描写ではないもののが、それぞれが セックスシーンまで披露するというサービス振りです ( 笑 ) 。
脇役では H・ヘッセマンの味のある演技が素晴らしく、説明的でモタつきがちな場面をも 巧みに切り抜けていました。母親思いの娘を演ずる D・ムーアは、率直に言って 影が薄い印象。黒ブチめがねが似合っていないのかも……。
ロケが行われたのは、大西洋のハワイと呼ばれているカナリア諸島。大人気のリゾートホテル ( ロペサン・ホテル・グループ ) を含め、その美しさは眼福です。
監督は『 メラニーは行く! 』『 最後の恋のはじめ方 』等の アンディ・テナント。

 

©TAODUE SRL 2015
©TAODUE SRL 2015

バチカン史上 最も民衆から愛されている現法王 フランシスコ。
彼の知られざる激動の半生を綴った
感動の実話。

ローマ法王になる日まで
イタリア/ 113 分
6.3 公開/配給:シンカ + ミモザフィルムズ
roma-houou.jp

【 STORY 】 アルゼンチンの貧しい地域に生まれ育った心優しき一人の青年が、史上初のアメリカ大陸出身のローマ法王に就任するまでの道のり。コンクラーヴェ ( 法王選挙 ) のためにバチカンを訪れたベルゴリオ枢機卿は、運命の日を前に自身の半生を振り返る――。
化学を学んだ学生時代から、やがて神に一生仕えることを選び、神学を学び始めた。時はビデラ軍事独裁政権下、多くの市民が反勢力の嫌疑で迫害され、仲間や友人も失った。この苦難の時代こそが 後にローマ法王となる彼の信仰と勇気を より強いものにしていく……。 ( 試写招待状より。一部省略 )

2013 年 3 月、第 266 代ローマ法王に就任したフランシスコ = ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ ( 1938 年生まれ )。常に社会的弱者、貧困にあえぐ人々に寄り添い、’14 年には 米国とキューバの国交回復の仲介役を果たし、最近では 壁を作ると宣言した選挙運動中のトランプ大統領候補 ( 当時 ) に苦言を呈すなど、世界の政治にも多大な影響力を持つ人物……。
これは、自身の純粋な良心に従って 苦難の時代を生き抜いた現法王の 若き日を描いた、いわゆる聖人伝モノとは異質な 人間的感銘と共感に満ちた作品です。
同時に 非常に驚愕させられたのは、1976 年から ’83 年の約 8 年間に及ぶアルゼンチンの軍事独裁政治の実態 = ヒトラーによるナチスの時代さながらの、信じがたい非人道的行為の数々でした。

密度の濃い 113 分間中、特に印象的だったのは次の場面。
① 1961年、若きベルゴリオ ( ロドリゴ・デ・ラ・セルナ ) が、化学の恩師 エステル・バッレストリーノと会話を交わす場面 ( エステルは 後に反勢力者として、同士たちと共に殺されてしまう )。
② 1985年、ドイツに招聘されていたベルゴリオが、ふと立ち寄った教会の礼拝堂で、ベネズエラ出身の中年女性から「 結び目を解く聖母マリア 」の絵にまつわる話を聞き、とめどなく涙をこぼす場面。その中年女性の真実そのものの自然な演技に強い説得力があり、ベルゴリオは その時点で、新たな回心と より強靭な信念 or 指針を得たようです。
③ ブエノスアイレスに戻ったベルゴリオが、ある暴動が激化する現場でミサを執り行い、スラムに暮らす人々の窮地を救う一連の場面。
④ ラスト直前、法王フランシスコとなったベルゴリオ ( セルヒオ・エルナンデス ) が、サンピエトロ大聖堂のバルコニーから 広場を埋め尽くした大群衆に「 ボナ セーラ 」と親しみを込めて呼びかける場面 ( 広場は歓喜に沸き、熱狂の渦に包まれる ) 。

本作は、良心と信念を貫くベルゴリオの生きざまと、彼が愛し 彼を支えた人々の姿を描いたヒューマンドラマであり、宗教に無関心な方々の心にも必ず響くと思います。
監督は『 我らの生活 』『 ハッピー・イヤーズ 』の ダニエーレ・ルケッティ。

 

(C)2015 ADAMA FILMS All Rights Reserved
(C)2015 ADAMA FILMS All Rights Reserved

1960 年代以降のハリウッド映画を支えた職人夫婦、
絵コンテ作家の巨匠 ハロルドと、
名リサーチャー リリアンの
知られざる〝 ラブ・ストーリー 〟。

ハロルドとリリアン
ハリウッド・ラブストーリー
アメリカ/ 94 分
5.27 公開/配給:ココロヲ・動かす・映画社〇
www.harold-lillian.com

【 INTRODUCTION 】 第 2 次世界大戦の兵役から帰還したハロルドは、リリアンと出会い 恋に落ちる。厳格なユダヤ人家庭に育ったハロルドは 孤児のリリアンとの結婚に強く反対されるも、馳け落ち同然で移住したハリウッドで結ばれる。週 53 ドルの収入ながら 仲睦まじく暮らすふたりに、やがて第一子が誕生。ハロルドは自分の作品を各映画会社に売り込み、絵コンテ作家として仕事をスタートさせる。( プレス資料より抜粋 )

’56 年の超大作『 十戒 』をはじめ、『 ベン・ハー 』『 スパルタカス 』『 ウエスト・サイド物語 』『 鳥 』『 卒業 』『 俺たちに明日はない 』etc、etc、ハリウッド全盛期を代表する名作の 絵コンテを手掛けたハロルドと、リサーチ係として働いたリリアンの 心温まるドキュメンタリー。映画の裏側で 映画作りに貢献してきた 職人夫妻にスポットを当てる、極めて珍しい作品です。
2007 年に他界したハロルドとの人生を 笑顔で回想するリリアンの話を軸に、ハロルド作の絵コンテと、それに基づいて仕上げられた実際の場面とを同時に紹介する 94 分。

小学生の頃から、僕が 胸をときめかせて観てきた映画の数々……。監督は C・B・デミルや W・ワイラー、A・ヒッチコック等々ですが、世界的な巨匠である彼らも、ハロルドとリリアンの 創造力・アイディア・リサーチなしでは、あれだけの映画は作れなかったというコトが、今回初めて よく分かりました。特に映画ファンの皆様には、決して見逃がせない一篇です。

 

 

(C)2017ルー製作委員会
(C)2017ルー製作委員会

本当のことは 歌の中にある。
いつもなら
照れくさくて言えないことも。

夜明け告げるルーのうた
日本/ 112 分
5.19 公開/配給:東宝映像事業部
lunouta.com

【 STORY 】 寂れた漁港の町・日無町 ( ひなしちょう ) に住む中学生の少年・カイは、父親と祖父との 3 人暮らし。もともとは東京に住んでいたが、両親の離婚によって居を移したのだ。父や母に対する複雑な想いを口にできず、鬱屈した気持ちを抱えたまま 学校生活にも後ろ向き。唯一の心の拠り所は、自ら作曲した音楽をネットにアップすることだった。
ある日、クラスメイトの国男と遊歩に、彼らが組んでいるバンド「 セイレーン 」に入らないかと誘われる。しぶしぶ練習場所である人魚島に行くと、人魚の少女・ルーが現れた。楽しそうに歌い、無邪気に踊るルー。カイは、そんなルーと日々行動を共にすることで、少しずつ自分の気持ちを口に出せるようになっていく。しかし、古来より日無町では、人魚は災いをもたらす存在。ふとしたことから、ルーと町の住人との間に 大きな溝が生まれてしまう。そして訪れる町の危機。カイは 心からの叫びで 町を救うことができるのだろうか? ( プレス資料より。一部省略 )

圧倒的な独創性でファンを魅了する、湯浅政明の初の完全オリジナル劇場用アニメーション。同調圧力がマンエンする現代社会に於いて、湯浅監督が「 心から好きなものを、口に出して『 好き 』と言えているか? 」と疑問を抱いたコトが、この映画の出発点になったそう。

カイとルーを中心に 国男と遊歩のキャラクターがイキイキしていて、それだけでも面白いのですが、線と面で描かれた人物と 写実的に描き込まれた背景とのコントラストとハーモニー、及び 空想や回想シーンの画調の違いに眼が釘付け。特に暗い夜のシーンの美しさは感動的です。声優陣の台詞も いわゆるアニメ声とは異なり、録音技術の高さと相まって 耳に心地良く感じられました。
ひとつ気になったのは、場面が転換する際のブツ切れ感。But、それも湯浅監督の作風やリズムに 僕が慣れていないせいだろうと思った程度で、この映画は 特に主要キャラクターが愛らしくて好き。中でも 一番上のスティルの左側、遺伝性のハゲを恐れて ヘアケアに〝 必要経費 〟をかけている国男 ( 遊歩を誰かに取られたくないと、心ひそかに思ってもいる ) が、親戚の男の子のように 愛おしく感じられました。
これは 誰と観ても楽しめる作品。試写で見逃した『 夜は短し歩けよ乙女 』( 既に公開中の湯浅監督作品 ) 、僕は映画館で観るつもりです。

 

 

アトランダム Q&A企画にて、 大高さんへの質問も受け付けています。
質問がある方は、ペンネーム、年齢、スキンタイプ、職業を記載のうえ、こちらのメールアドレスへお願いいたします。
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biteki-m@shogakukan.co.jp
(個別回答はできかねますのでご了承ください。)

ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸さんの 肌・心塾
http://biteki.com/beauty-column/ootakahiroyuki

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