健康・ボディケア・リフレッシュニュース
2016.7.12

【大高博幸さん連載 Vol.349】 『 フラワーショウ! 』『 生きうつしのプリマ 』『 ミモザの島に消えた母 』『 地球に落ちて来た男 』 試写室便り 第119回

web用フラワーショウ!
© 2014 Crow’s Nest Productions

アイルランドの田舎娘が、“雑草”で世界最高峰の《 チェルシー・フラワーショー 》に挑む!?
エリザベス女王も感動した、本当に美しい庭とは――?

実話に基づく、大逆転 サクセス・エンターテインメント!!

フラワーショウ!
アイルランド/100分
7.2より公開中/配給:クロックワークス
flowershow.jp

【 STORY 】 アイルランドの田舎で育ったメアリーは、「 自分のデザインした庭で世界を変えたい! 」という夢を叶えるため 有名なガーデンデザイナー、シャーロットのアシスタントに応募。晴れて採用されるも、高慢で貪欲なシャーロットにコキ使われた挙句、長年 書き溜めていたデザインノートまで盗まれて クビに……。どん底のメアリーが ひらめいたのは、世界中が注目する「 チェルシー・フラワーショウで 金メダルを獲る 」ということ。コネも お金も 経験もないメアリーだが、わずか 8 枠に殺到した 2,000人の応募者の中から 見事 合格――。ヒッピー風の庭師や 密かに思いを寄せる植物学者のクリスティらで 寄せ集めチームを結成し、一路 チェルシー・フラワーショウへ。果たして――? ( プレスブックより )

英国王立園芸協会( 総裁は エリザベス女王 )が主催する庭園品評会に、雑草とサンザシの木だけという型破りなアプローチで参加した メアリー・レイノルズ……。権威主義的かつ保守的なショウに新風を吹き込み、ショウの歴史と考えかたをも変えたメアリー( 後に世界有数のランドスケープデザイナーとなった実在の人物 )の、大逆転・爽快 サクセス・ストーリー。

想像していた以上に面白く、のめり込んで観てしまったのは、メアリーの心意気 = 成功や富よりも「 植物の命と美を守るコト 」が何よりも大切で、「 ほんの少しでも、自然保護に関する 人々の意識を 目覚めさせたい 」という 断固たる願望と真剣さに、心を動かされたからだと思います。
そんな彼女が見舞われる数々のピンチを、親友のイヴ、協会の中年秘書で 花粉症のマリーゴールド、若くハンサムな植物学者のクリスティ、ルネッサンス時代の大工のようでもある ヒッピー風の庭師のコンビらが 助ける という展開も、とても気持ちが良かったです。

以下、心に残った台詞を3つ。
1)「 アイディアは 頭と心の中にあるでしょ? デザインノートは なくても大丈夫。新しいデザインが 常にベストだしね。シャーロットみたいに強欲な人間は 山ほどいる。でも、メアリー・レイノルズは ひとりだけ。あなたの真似は 誰にも できない。それを 忘れないで 」( デザインノートを盗まれた上、職場を失ったメアリーに、親友のイヴが 語りかける台詞 )。
2)「 最近の庭からは 自然の良さが伝わってきません。雑草が生え、蜂が飛び回るのが 本当の姿なのに、芝生は 殺虫剤と除草剤まみれ……。自然を無視した庭が多すぎるんです。私は、自然を助けてあげたい 」( メアリーが、庭師たちのグループに 協力を求める場面での台詞 )。
3)「 君のアイディアは 最初は否定されるかもしれない。でも いつか、皆が 君を支持する時が 必ず来る 」( 傷ついたメアリーを、クリスティが 慰め 励ます台詞 )。

P.S. この映画は、花や庭園、サクセス・ストーリー好きな方へは勿論、エコやオーガニックコスメを愛する皆さんにもオススメです。

 

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『生きうつしのプリマ』 7月16日(土)、YEBISU GARDEN CINEMA他全国順次ロードショー ©2015 Concorde Filmverleih / Jan Betke

父が 偶然 ネットで見つけた、亡き母に瓜ふたつの有名オペラ歌手。
彼女は 一体 誰なのか? 母との関係は?!
その謎が解ける時、娘の心も解き放たれる――。

生きうつしのプリマ
ドイツ/101分
7.16 公開/配給:ギャガ
gaga.ne.jp/ikipri

【 STORY 】 「 話があるんだ 」と思いつめた声で 父から呼び出されたゾフィは、ネットのニュースを見せられて唖然とする。そこには、1 年前に亡くなった 最愛の母 エヴェリンに 生き写しの女性が映っていた。彼女の名は カタリーナ。メトロポリタン・オペラで歌う著名なプリマドンナで、同じ歌手でも ドイツの名もないクラブをクビになったばかりのゾフィとは 住む世界の違うスターだ。父は どうしても彼女のことが知りたいと、ゾフィを 強引に ニューヨークへと送り出す。気まぐれでミステリアスなカタリーナに振り回されながら、彼女と母の関係を探るゾフィ。どうやら 母には、家族の知らない もう一つの顔が あったらしい――。( プレスブックより )

ヨーロッパで数多くの賞を獲得し、日本でもスマッシュヒットを記録した『 ハンナ・アーレント 』( 通信 182 )。その監督:マルガレーテ・フォン・トロッタと 主演の バルバラ・スコヴァが 再びタッグを組んだ ミステリー・ドラマ。「 欠点や あやまち、行き違いや不運を含めて、それが人生の味わい。ミステリーを楽しみながら、生きることを 愛する術に変えてくれる感動作 」という 宣伝文通りの内容です。

ストーリーに ナチスの影はなく、『 ハンナ・アーレント 』とは 異質の趣。しかし 小気味よく叩き込むような導入部の展開 etc、作風は M・V・トロッタ監督ならでは。さらに 聞くところによると、監督には“異父姉”が存在し、「 姉妹をテーマにした作品を撮り続けてきた監督でもある 」とのコトでした。
結末は晴れやかで、ゾフィが 真相を追い続けて良かった、やはり 謎は 解くべきだと、誰もが感じるコトでしょう。

B・スコヴァ( 1950年 生まれ )は、カタリーナとエヴェリンの ひとり二役。ゾフィを演ずるのは『 帰ってきたヒトラー 』の カッチャ・リーマン( 1963年 生まれ )。前者は オペラを、後者は ジャズとブルースを披露……。ふたりは 女優であると同時に 歌手でもあり、映画の中の 歌唱が 吹き替えではないと知っても 驚くコトは ありません。
B・スコヴァは『ハンナ……』での彼女とは 別人のようなヘア&メークで、特に 引退間近のオペラ歌手として、グラマラスな魅力の残り香を感じさせる演技が実に見事。
K・リーマンは 繊細かつ力強い性格描写が素晴らしく、特に 影を飛ばした 明るいライティングの下でのクロースアップが美しい。
脇役では、ゾフィの父の兄役を演ずる グンナール・モーラ―、カタリーナの 一文なしの夫役を演ずる アウグスト・ツィルナー、認知症が進んでいる カタリーナの育ての母役の カリン・ドールらが、いい味を出しています。

 

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© 2015 LES FILMS DU KIOSQUE FRANCE 2 CINÉMA TF1 DROITS AUDIOVISUELS UGC IMAGES

もし、語られてきた家族史が
すべて偽りだとしたら――?

ミモザの島に消えた母
フランス/101分
7.23 公開/配給:ファントム・フィルム
mimosa-movie.com

【 STORY 】 「 ミモザの島 」と呼ばれる風光明媚な避暑地で、謎の溺死を遂げた美しい母親。10歳のアントワーヌは 心に大きな傷を負い、妹のアガットは 母の思い出を記憶の中から消し去った。それから 30年、家族の中で 母の話は タブーとなり、再婚して新しい家庭を築いた父は 過去を完全に封印した。しかし、そんな生き方に疑問を抱いたアントワーヌは、母の死の真相を追い始める。やがて 浮かび上がってくる 母の もうひとつの顔。頑なに口を閉ざす父や祖母と 対立を深めながらも 真実を追い求めるアントワーヌは、母の死の背景に渦巻く 禁断の家族の秘密を つきとめる……。( プレスブックより )

原作は『 サラの鍵 』( 通信 78 )の原作者として知られる タチアナ・ド・ロネのベストセラー小説。母の謎の死のトラウマに 30年間 苦しみ続けてきた主人公が、封印された真実を掘り起こすコトによって 心の解放と救いを得ていく姿を描いた、一種の サスペンス・ドラマです。

映画としては、物語が核心に迫るまでの展開が 緩やかな上に やゝ長く、中盤以降は 重要なはずの描写に省略法を用いている部分もあり、個人的には少々不満……。しかし、家族( 本作では 父と祖母 )によってヒタ隠しにされた真実というモノが、子供( 本作では アントワーヌ、及び アガット )の心に 深い闇を もたらすという、世界一般に よくあるパターンを描いている点で、この映画は 興味を そゝります。しかも ホモフォビアの要素を含んだ内容は、今日の社会的現象をも反映している感じです。

監督と脚本は フランソワ・ファヴラ。彼独得のセンチメンタリズムの持ち主なのかもと、僕は 幾つかの場面で感じました。

 

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© 1976 Studiocanal Films Ltd. All rights reserved.

地球に降り立った美しき宇宙人、
デヴィッド・ボウイ。
待望の初主演作を、ふたたびスクリーンで!

地球に落ちて来た男
イギリス/139分
7.16 公開/配給:boid
www.bowiechikyu.jp

【 INTRODUCTION 】 2016年 1月 10日、この世を去った デヴィッド・ボウイ。その 2日前に 69歳の誕生日を迎え、2年ぶりのアルバム『 ブラックスター 』を発表したばかりだった。架空の ロック・スター「 ジギー・スターダスト 」を演じることで 世界的な大スターとなった彼は、それだけではなく、それぞれのアルバムでは 常に 自分ではない誰か を演じることで、「 デヴィッド・ボウイ 」となってきた。映画初主演となった本作では、ニコラス・ローグ監督は 俳優として、被写体としての デヴィッド・ボウイを要請。地球外から来た男の、悲しさを帯びた きらめく身体が眩しい。劇中の挿入曲として使われる ルイ・アームストロング「 ブルーベリー・ヒル 」、ロイ・オービソン「 ブルー・バイユー 」、アーティ・ショウ「 スターダスト 」などの懐かしの名曲が、その眩しさの裏側の悲しさと痛みを浮かび上がらせる。( 試写招待状より )

約 40年前の デヴィット・ボウイ 初主演作です。
今回は デジタル化されての リバイバル公開というコトで、試写は 僅か 1回限り。
初公開時、映画館に観に行く予定で 前売り券まで用意していたのに、突然のスケジュール変更で NGとなり、今回は たまたま 仕事が入っていたため、 再び NGに……。なので、ここでは 紹介のみと させていたゞきますが、『 戦場のメリークリスマス 』に出演する 7年前 = 29歳の彼に会える絶好のチャンスです。東京は ユーロスペース( 渋谷 )、大阪は シネマート心斎橋を皮切りに、全国順次公開の予定。詳しくは、www.bowiechikyu.jpへ。

 

 

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ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸さんの 肌・心塾
http://biteki.com/beauty-column/ootakahiroyuki

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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